モスク

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モスク(英:mosque)は、イスラム教の礼拝施設。アラビア語ではマスジド(masjid、مسجد)といい、「平伏する場所」を意味する。ムスリム(イスラム教徒)が集まって祈るほか、教育や地域の交流の場にもなっている[1]。

役割[編集]

イスラム教の礼拝はモスク以外の場所でも行えるが、モスクは信徒が集団で礼拝するための施設として設けられる。礼拝では、メッカのカーバに向かう方向であるキブラに向いて並び、イマーム(導師)のもとで祈る[1]。

特に金曜日の正午の集団礼拝は重要で、これを行う中心的なモスクは「金曜モスク」「ジャーミー」などと呼ばれる。金曜の集団礼拝ではフトバと呼ばれる説教も行われる[2]。

モスクは歴史的に、クルアーン(コーラン)などを学ぶ教育の場、住民が情報を交換する場としても機能してきた。学校や図書館などを伴うものもあり、礼拝と地域社会の生活が結び付く施設となっている[1]。

建築と設備[編集]

建物の規模や形には地域・時代による違いがある。大きな中庭を持つもの、ドームで礼拝室を覆うもの、小規模な礼拝室からなるものなど、さまざまな形がみられる[2][1]。

代表的な設備には、次のようなものがある[3]。

名称 役割・特徴
ミフラーブ キブラを示す、壁のくぼみ。礼拝の方向を示す目印となる。
ミンバル 説教に用いられる壇。階段状のものが多く、ミフラーブの近くに置かれる。
ミナレット モスクに付属する塔。礼拝を呼びかけるアザーンと関わる設備で、都市の景観上の目印にもなる。
洗浄用の水場 礼拝前に手足や顔などを洗うウドゥーのための設備。中庭に泉や水槽を設ける例がある。

内部の装飾には、アラビア文字による銘文、幾何学模様、植物を図案化したアラベスクなどが使われる。人物や動物の像は一般に避けられ、文字や文様を用いた装飾が発達した[3]。

歴史[編集]

初期のモスク建築の原型とされるのが、7世紀にムハンマドがメディナに設けた住宅と礼拝の場である。住宅の中庭に信徒が集まり、礼拝の方向に面した側には日差しを避ける屋根が設けられた。この構成は、後世のモスク建築に影響を与えた[3]。その場所は、現在の預言者のモスクの起源となっている[2]。

イスラム教の広まりとともに各地にモスクが建てられ、地域の気候や建築材料、従来の建築文化を取り入れた様式が生まれた。アラブ地域の多柱式の礼拝堂、イランのイーワーンを持つ構成、トルコの大きなドームを用いた建築などが知られる[2]。

主なモスク[編集]

日本のモスク[編集]

日本では、1935年に神戸市で神戸モスクが完成した。神戸に暮らしていたトルコ人、タタール人、インド人の貿易商らが出資した、日本で最初のモスクである[4]。

東京都の東京ジャーミイは、1938年に建てられた東京回教礼拝堂を前身とする。旧建物は1986年に取り壊され、2000年に新しい礼拝堂が開館した[5]。礼拝に加え、イスラム教や文化についての講座、教育的な催しなども行われている[6]。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ↑ a b c d 用語解説1:モスク 東京大学東洋文化研究所、2026年10月22日閲覧。
  2. ↑ a b c d e f g h モスク 『改訂新版 世界大百科事典』『日本大百科全書(ニッポニカ)』ほか、コトバンク、2026年10月22日閲覧。
  3. ↑ a b c The Mosque メトロポリタン美術館、2026年10月22日閲覧。
  4. ↑ 神戸ムスリムモスク 神戸公式観光サイト「Feel KOBE」、2026年10月22日閲覧。
  5. ↑ 東京ジャーミイの歴史 東京ジャーミイ・ディヤーナト トルコ文化センター、2026年10月22日閲覧。
  6. ↑ 東京ジャーミイ 2020 東京ジャーミイ、2026年10月22日閲覧。