ボンバ!

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ボンバ!』(英語: BOMBA!)は黒手塚治虫のスリラー漫画作品。

概要[編集]

別冊少年マガジン』(講談社)にて1970年9月号から同年12月号まで連載された。全148ページであり、手塚の長編作品としては短く、短編作品としては長い中編と言える。『恐怖短編集1「妄想の恐怖編」』(2000年、講談社)、『ボンバ! [手塚治虫ダーク・アンソロジー]』(2019年、立東舎)などのアンソロジーにも収録されている。

読後に暗い、嫌な気分にさせる作品であり、手塚自身もあとがきにて指摘している。この作品の執筆当時の手塚治虫は、虫プロ虫プロ商事にまつわるトラブルを抱えていた時期であり、漫画制作においても劇画の台頭などにより、自分の漫画スタイルを模索している時期でもあった。社会的には新左翼への支持が高まり、新左翼支持を表明する漫画・劇画評論家によって、独善的な漫画評が盛んに発表されていた。こういった評論を真に受けて執筆ができなくなった実力ある劇画家(白土三平つげ義春水木しげるなど)も何人もいたし、手塚自身へも一方的な中傷だらけの批評がなされており、精神的に弱っていた時期であった。

本作の連載後、『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)で連載された『アラバスター』も本作同様に暗い復讐譚であるが、同時期の『小学一年生』(小学館)には暗さと無縁の性教育的な漫画『ふしぎなメルモ』を連載していたりするあたりが、手塚治虫という人物の奥深さを表している。

あらすじ[編集]

男谷哲は内向的なおとなしい中学生。優しくて美しい水島礼子先生に想いを寄せている。

哲は、担任教師の鬼頭から理不尽な体罰を受けていた。鬼頭が水島先生に婚姻を申し込んだことを知り、哲は鬼頭に殺意を抱くようになる。哲が鬼頭の死を願うと、馬が幻覚となって現れ、その翌日、鬼頭が水死体となって発見された。哲には、その馬が第二次世界大戦中に父親が飼育していた軍馬・ボンバであることがすぐに判った。

以降、哲が怒りや憎しみを抱くたびボンバが現れては、次々と哲の怒りや憎しみの対象となった人間を殺していった。

哲の水島先生への想いは強くなる。哲は中学を卒業し、水島先生も東京へ転任となった。しかし、再会を約束していた水島先生は東京で事故死してしまった。自暴自棄になった哲はボンバに次々と関係者の殺害と街の破壊を命じ、ボンバは東京のいたるところに出現しては、大量殺戮を行った。

ついに哲は自分自身を憎んでしまい、ボンバの標的となった。

外部リンク[編集]