ヘイジーIPA

ヘイジーIPA(英語: Hazy IPA)は、ビールのスタイルの一種。
概要[編集]
IPA(インディア・ペールエール)から派生したスタイルであり、「Hazy」という単語の意味通りに液が濁っていて、色味はオレンジ色や黄色の見た目をしているのが外観の特徴である[1]。
IPA(ウエストコーストIPA)は強い苦みやドライな飲み口を重視していたが、ヘイジーIPAは対照的に濁った外観とホップに由来するジューシーさが特徴となっており、「IPAの概念」を大きく拡張することになった[2]。
2010年代半ばごろからアメリカ合衆国で人気となり、世界中に広まった[1]。
特徴[編集]
味の特徴[編集]
一般的なIPAと比べると苦さが控えめであり、ヘイジーIPA以前の強い苦みを特徴とする「ウエストコーストIPA」と対照的な味わいから、苦みを好まないビール好きが好んで飲んでいる[1]。
二つ目の特徴には、ホップのアロマが強く感じられる「華やかでジューシーなフレーバー」が挙げられる[1]。ホップに由来するトロピカルフルーツやシトラスを思わせる香りから、「ジューシー」な印象が強い[2]。実際に果汁が加えられているわけではない[2]。
口当たりはソフトである。
外観の特徴[編集]
液色は淡い麦わら色から薄い琥珀色をしている[2]。
ヘイジーIPAの見た目の特徴としてはオレンジ色や黄色に「濁った」液という点が挙げられる[1]。
濁りの主要因として「ホップや麦芽の外皮に含まれるポリフェノール」、「タンパク質」が挙げられる(これ以外にも要因はある)[1]。
製法の特徴[編集]
ホップは熱を加えると苦みが出るので、一般的には発酵前に麦汁を煮沸する際に投入される[1]。また、加熱によって苦みは出るが、ホップの香りは消えてしまうことになる[1]。
ヘイジーIPAで用いられている「ドライホッピング」という製法では、発酵がある程度終了した段階でホップを入れる[1]。これによってホップの苦みは残らないが、ホップの香り豊かさだけは残る[1]。
21世紀に登場したアメリカ産のフルーツ系ホップがヘイジーIPAには用いられている[1]。
麦芽やオーツ麦などを使うことが多く、これによってタンパク質を多くに含む[1]。ドライホッピングで抽出されたホップ由来のポリフェノールがタンパク質と結合することで、ヘイジーIPA特有の濁りが生じる[1]。
歴史[編集]
アメリカ合衆国バーモント州のブルワリー「Alchemist(アルケミスト)」が製造する「Heady Topper(ヘディートッパー)IPA」がヘイジーIPAの起源とされる[1]。
ヨーロッパでは、2015年に設立されたデンマークのガンマブリューイング(Gamma Brewing)がヘイジーIPAを追求しており、「ヨーロッパでのヘイジーIPA人気を確立した醸造所」と称されている[3]。
日本では2017年頃から広く知られるようになり、日本で紹介されてから10年と経たずにビールファンの間で強い人気を得ている。
別称[編集]
ヘイジーIPAは、多くの別称を持っており、以下に例示する[1]。
- ニューイングランドIPA
- バーモント州がニューイングランド地方であることから。
- イーストコーストIPA
- ヘイジーIPA以前のIPAトレンドであったアメリカ西海岸発祥の強い苦みが特徴の「ウェストコーストIPA」の対比としてアメリカ東海岸のIPAの意味合いで。
- ジューシーIPA
- 味わいの特徴から。
脚注[編集]
- ↑ a b c d e f g h i j k l m n o 羽柴観子 (2023年10月1日). “Hazy IPAってどんなビール?世界中で大ブーム!その味わいやおすすめの楽しみ方を徹底解説”. ビール女子. 2026年7月21日確認。
- ↑ a b c d 一般社団法人日本ビール文化研究会 「ヘイジーIPA/ニューイングランドIPA」『知って広がるビールの世界第2版日本ビール検定公式テキスト 2026-2027年版』 翔泳社、2026年、172頁。ISBN 9784=798195858。
- ↑ 「鮮烈なジューシーさ!「ヘイジーIPA」を知っている?」、『ELLE gourmet』No.27 【日文版】、ハースト婦人画報社、2022年、 11頁。