ブスなんて言わないで

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ブスなんて言わないで』(ブスなんていわないで、英語: Never Say Ugly)は、とあるアラ子によるルッキズムを題材とした漫画

概要[編集]

講談社のWebサイトであるアフタヌーンWeb増刊&Sofaにてサイト公開となる2021年10月25日[1]より、休載を挟んで2025年10月6日まで連載された。全40話。単行本は既刊5巻(2024年11月時点)。

さまざまな角度からルッキズムの問題について描く作品である。

アナウンサーの宇垣美里は『週刊文春』(文藝春秋)で連載している「宇垣総裁のマンガ党宣言!」で本作を紹介している[2]。宇垣は本作について、「ブス」と言われて育った女の子の視点、そうじゃない視点、男性の視点といった全ての目線を拾い上げている公平性を評価している[2]

あらすじ[編集]

山井知子は、高校時代に自身の容姿をバカにされたことで、顔を見られることに恐怖を覚えるようになった。なるべく人に会わないような仕事を選び、質素に過ごしていた知子であったが、高校時代に自分をイジメていた同級生・白根梨花が美容研究家として成功していることを知る。梨花は雑誌のインタビューで「ブスなんて1人もいない」と、高校時代とはまったく違う考えを語っていた。絶望と怒りに駆られた知子は梨花への復讐を決意し、梨花の経営する会社で非正規で働くことになる。

梨花をストーカーから救ったことで、梨花と過去について話す機会を得た知子だったが、梨花がイジメに関わっておらず、イジメに屈しなかった知子を尊敬していることが分かる。梨花がイジメに関わっていたというのは、知子の完全な勘違いだったのだ。

知子と梨花が出会った大川有紗はきらびやかな世界に憧れており、「多様性のミスコン」と銘打ったミスDVSに挑戦するが、落選してしまう。多様性を標榜していても「太った美人」、「髪型が奇抜な美人」がいるだけであった。知子と梨花は改めて世間のルッキズムと向き合うことになる。

以上、単行本2巻まで。

登場人物[編集]

山井 知子(やまい ともこ)
白根 梨花(しらね りか)
大川 有紗(おおかわ ありさ)
小坂
仕事を通して知子と知り合った男性カメラマン。知子をデートに誘う。
顔はイケメンであるが、低身長でありミソジニーを拗らせている[3]
知子は反ルッキズムを唱えているのだが、「なんだかんだイケメンには惹かれる」というエピソードのために登場したキャラクターである[3]。知子が小坂の中身に惚れたのか外見に惚れたのか、わかるように「ちょっとイヤな奴」として設定されている[3]

執筆までの経緯[編集]

とあるは以前から、ルッキズムに漫画を描きたいとは思っていたが、いろいろな編集部に企画を持ち込んでも、うまくいかずにいた[3]。これには、ルッキズムという言葉の意味、ルッキズムに苦しむ女性たちの現状を説明するところから描こうとしていたためで、前置きばかりが長くなりストーリーが面白くなくなっていたためでもあった[3]

&Sofaは「社会問題にも興味をもつ女性たち向け」の漫画サイトとして立ち上げが企画されており、読者層はルッキズムを社会問題としてとらえている人たちであるから、その先を問うようなストーリーを描けるのではないかと、本作の原型となるイメージが次々とわいてきた[3]。だが、この時点では主人公は1人の予定であった[3]。本作の梨花の立ち位置で、ルッキズムにとらわれずに生きてきた美人の女性が美容メディアの編集部で働き、天然な意見で周囲をかきまわすといった内容であったが、「ルッキズムにとらわれていない女性が美容メディアで働きたいと思うか?」と頓挫する[3]

そこで、「ブスが復讐する物語」にして復讐される相手が美人という、当初とは違う方向に話が転んでいっ[3]た。設定先行であったため、ブスと美人の両方の視点から描くことは計算して出来たものではなく、どうせならどちらかを一方的に「イヤな人」として描くよりも、双方の視点から社会が変わっていくほうが良いと、流れで決まったものであった[3]。真逆の視点を交互に描くことで、エンターテイメントとして楽しめる、という構成上の理由もある[3]

賞歴[編集]

脚注[編集]

外部リンク[編集]