フランス語のアルファベット

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本項ではフランス語で使われるアルファベットについて解説する。

概要[編集]

ラテン文字を用い、全部で26文字、ダイアクリティカルマークの付くものも含めると43文字もある。

文字一覧[編集]

文字 読み 音価 備考
A,a [a]/[ɑ]
B,b [b]
C,c [k]/[s] a,o,u,子音が後続または語末では[k]、e,i,yの前では[s]。
D,d [d]
E,e [ə]/[e]/[ɛ] 語頭・語中でe+子音と語末では[ə]もしくは無音化、語中でe+子音×2と語末でe+子音は[e]となる。稀に[ɛ]になる。
F,f エフ [f]
G,g ジェ [g]/[ʒ] a,o,u,子音が後続すると[g]、e,i,yの前では[ʒ]。
H,h アッシュ - ラテン系言語あるあるの無音のH。有音のHもあるが下記参照。
I,i [i]
J,j [ʒ]
K,k [k] 外来語、アルザス=ロレーヌ地方の地名のみ。
L,l エル [l]
M,m エム [m] 母音が前にある場合、母音と結びついて鼻母音になる。
N,n エヌ [n] 母音が前にある場合、母音と結びついて鼻母音になる。
O,o [o]/[ɔ]
P,p [p]
Q,q [q] 普通はquのように用いる。
R,r エール [ʁ] 巻き舌ではなく、舌の先端を下前歯にくっつけ、後ろの方を盛り上げて、喉の奥で発音するr。アゼルバイジャン語Ĝカザフ語Ғなどに相当。
S,s エス [s]/[z] 母音に挟まれると[z]になる。
T,t [t]
U,u [y] 口を丸めてイの舌でウと発音。ドイツ語などのÜ
V,v ヴェ [v]
W,w ドゥブルヴェ [v] 外来語、アルザス=ロレーヌ地方の地名のみ。
X,x イクス [ks]/[gz]/[s]/[z] ex+子音で[ks]、ex+母音で[gz]、基数数詞で[s]、序数数詞で[z]。
Y,y イグレク [i]
Z,z ゼッド [z]

ダイアクリティカルマーク付き[編集]

  • É,é
語頭、語中、語末の[ə]を[e]と発音するもの。
  • È,è/Ê,ê
必ず[ɛ]と発音するもの。
  • Ë,ë/Ï,ï/Ü,ü
ダイグラフを無効化し、独自の音で発音する。
  • À,à/Ù,ù
発音に影響はしない。
  • Â,â/Î,î/Ô,ô/Û,û
発音に影響はしない。
  • Ä,ä/Ö,ö/Ÿ,ÿ
使われることはほとんどない。
  • Ç,ç
後続する母音がa,o,uであっても[s]と発音させるもの。セディーユという。
  • Œ,œ
[ø]/[œ]を表す。普通はœuのように用いる。

ダイグラフ[編集]

  • au/eau
[o]/[ɔ]と発音する。
  • eu/œu
[ø]/[œ]と発音する。
  • ai/aî/ei
[ɛ]と発音する。
  • ou/oú/oû
[u]と発音する。

半母音[編集]

  • i/y+母音
[j]となる。例:Ryon(リヨン)
  • ou+母音
[w]となる。例:Oui(ウィ)
  • u+母音
[ɥ]となる。例:huit(ユイ)
  • il/ill
[ij]となる。例:travail(トハヴァイユ)
  • oi
[wa]となる。例:voir(ヴォワール)
  • ay/ey
[ej]/[ɛj]となる。例:pays(ペイ)
  • oy
[waj]となる。例:voyage(ヴォワイヤージュ)
  • uy
[ɥij]となる。例:appuyer(アピュイエ)

鼻母音[編集]

  • an/am/en/em
[ɑ̃]となる。アンと転写されるが、実際はオンに近い。
  • in/im/yn/ym/ain/aim/ein/eim
[ɜ̃]となる。アンに一番近い発音。
  • un/um
[œ̃]となる。こちらもアンに近くなる。
  • on/om
[õ]となる。オンとなる。

子音[編集]

  • ph
[f]となる。
  • ch/sch
[ʃ](シャ行)となる。
  • sc
e,i,yの前で[s]
  • ss
母音に挟まれても[z]ではなく[s]と発音する。
  • gn
[ɳ](ニャ行)となる。イタリア語と同じ。
  • gu+母音
[g]
  • qu+母音
[k]
  • ge+a,o,u
[ʒ]

発音上の注意[編集]

語末の子音

c,f,l,rを除くすべての子音は一部を除き読まない。ただしc,f,l,rでも読まないものはある。

h

無音のhと有音のhがあるが、これはリエゾン、エリジヨンができるかの違いで、有音だからと言って[h]などと発音するわけではない。

リエゾン

語末の読まない子音、特にs,x,z,d,t,n,fは、次に母音ないしは無音のhで始まる単語が後続するとその子音を後続の単語とつなげて読むというリエゾンという現象が発生する。s,x,zは[z]、d,tは[t]、nは[n]、fは[v]となる。例:

  • les amis(レザミ)

ただし有音のhやetなどリエゾンしてはならないものもある。

エリジヨン

母音が連続するのを防ぎ発音しやすくするために、母音ないしは無音のhで始まる単語の前の単語の母音を取り除いて、アポストロフで結合させる現象。例:

  • Je ai feim.→J'ai feim.
アンシェンヌマン

発音する語末の子音を次に来る母音ないしは無音のhで始まる単語と結びついて発音される現象。例:

  • Il est (イレ)

関連項目[編集]