バックネットの青い影
『バックネットの青い影』(バックネットのあおいかげ)は、手塚治虫によるSFミステリー野球漫画。
『別冊冒険王』(秋田書店)の1962年10月秋季号に読み切り掲載された。雑誌掲載時のタイトルは『バックネットの青い彼』であった。本作を「手塚治虫が描いた唯一の野球漫画」と評することもある。
発表当時は、SF作品そのものが人気が無かったこと、タイムマシンを一躍有名にした『ドラえもん』など藤子・F・不二雄作品なども発表前ということもあり、本作のSF的トリック(1分後の自分が見える)というのが分かりづらかったためか、人気はいまひとつだった。
タイトル通りに異色な野球マンガを選んだアンソロジー『異色野球漫画短編集 変華球』(2022年、小学館、選者:野球漫画制作工房、ISBN 978-4091793775)にも採録されている。
あらすじ[編集]
学生時代はエースだった犬丸と万年ベンチだった江田。2人はプロ野球入りしたが、立場は逆転し、江田はエースに、犬丸は万年二軍となっていた。
犬丸は江田をドライブに誘い、成功の秘密を聞き出す。
ベンチで腐っていた江田に老人が薬を託した。その薬を飲むと青い人影が見えるようになり、その影の動きを真似することで、巧く行くようになったのだと。その老人は、薬の危険性も伝えてきたので、江田は成功するようになってからは薬を飲むのを控えるようになり、今ではほとんど飲んでいないとのこと。
犬丸は薬を奪うと、江田を殺して沼に沈めた。薬を飲み、青い影の動きに従って投球するようになった犬丸は好投するようになり、一軍で活躍するようになった。しかし、犬丸は薬なしでは何もできなくなっていった。
ある日、白骨となった江田の死体が発見され、犬丸が殺人犯として疑われる。その頃、亀井戸化学研究所の所長の亀井戸という老人が警察に出頭してきた。亀井戸は、江田が飲んでいた薬を作っていたと言い、江田を人体実験に使ったのだと言う。その薬を飲むと1分後の自分の運命が見えるのだと説明した。また、薬を乱用すると精神錯乱になるという副作用があることも説明した。
犬丸は既に薬による錯乱状態に陥っており、青い影を自分に取り憑いた江田だと思い込んだ。バットを握りしめた青い影が犬丸に迫る。犬丸は青い影をバットで殴った。そこへ警察が踏み込んできたので、犬丸は逃げたが、急に誰かに殴られたように死亡した。
関連項目[編集]
- 手塚治虫の野球漫画
- 野球選手が主要登場人物だったり、野球シーンが描かれている漫画を以下に挙げる。
外部リンク[編集]
- バックネットの青い影 - 手塚治虫公式サイト