ČD371形電気機関車
ČD371形電気機関車とはシュコダ・プルゼニ社がČD372形電気機関車を近代化改造し、チェコ鉄道が保有・運用する交直流電気機関車である。
概要[編集]
1996年から2000年にかけて372形から6両が改造工事され、7両目の201号機はドレスデンでのチェコ鉄道の機関車の損傷事故に対する補償としてドイツ鉄道から譲渡されたもの(元形式は180-001)である。
近代化の主な目的はオリジナルの最高速度の120km/hから160km/hへ引き上げ、ドイツでも運用できるようにすることだった。しかし大して性能は向上しなかった。
このことから、372形と同様に製造当時の技術が時代遅れで運用信頼性がないことから、鉄道ファンからは、英語で偽物、雑種、粗悪品を意味する「バスタード(Bastard)」というあだながつけられてしまった。ドイツからダンプリングを意味する「クネーデル(Knödel)」と呼ばれた。
歴史[編集]
1990年代初頭にジェチーンとバート・シャンダウ間で国境輸送を共同で運行するという目的でČSD372形電気機関車とDR180形電気機関車(どちらも同形車)が運行を開始した。しかし、ドイツ側の路線で大幅な改修工事が行われたため、当時の最高速度の120km/hという速度はすぐに限界となった。1994年に西ドイツ国鉄と東ドイツ国鉄が統合されると、ドイツ鉄道が成立した。DBでは1両が160km/hに試験的に改造され、残り6両はチェコで改造された。
372形からの改造後も改造前のオリジナルの番号(001号機、002号機、003号機、004号機、005号機、015号機)を維持した。そのため欠番が発生している。ひどく損傷した372-006の事故補償としてドイツ鉄道から譲渡されたDB180-001(現201号機)は形式がドイツ鉄道式でチェコ鉄道では非定型だったためとりあえず200番台として371形に編入した。この車両は2004年に運用を開始した。この201号機は2023年8月から運用離脱している可能性が高い。
運用[編集]
2017年まではプラハ-ドレスデン間でユーロシティ列車(ハンブルク-ベルリン-プラハ-ブダペスト間)を牽引していた。また2013年まではライプツィヒやベルリンまで乗り入れていた。また2004-2007年にかけてはポーランドのジェピンまで運用されていた。2017年からはヴェクトロンの導入で、プラハ-ドレスデン間の長距離列車の運用から撤退した。
長距離列車からの運用撤退後、371形の主な運用はプラハ=ジェチーン線で地域列車を運行することである。2021年のダイヤ改正以来、プラハ-ウースチー・ナト・ラベム間で新規のインタージェット列車とともにR15号線の列車で運用している。2025年は一部車両が、プラハ-ジェチーン間のR20号線と臨時列車「サマー・コメット」と「クリスマス・コメット」で運用される。2026年12月のダイヤ改正にはこれらの路線でETCSの導入に伴い、全車引退する予定である。性能があれなので転属先も特にない。