ダイアナ元妃
ダイアナ（英語: Diana Frances Spencer, 1961年 7月1日 - 1997年 8月31日）は、イギリスのウェールズ公妃。イギリス王室史上、最も注目された人物の一人である。
生涯[編集]
ダイアナ・フランセス・スペンサーは、1961年 7月1日にノーフォークのサンドリンガムにあるパークハウスで、第8代スペンサー伯爵であるエドワード・ジョン・スペンサーと、その最初の妻であるフランセス・シャンド・キッド（旧姓ロッシュ）の間に生まれた。彼女は、王女であるエリザベス女王の別荘であるサンドリンガム・ハウスに近接するロイヤル・エステートで育った。スペンサー家は古くからの貴族であり、何世代にもわたって英国王室と密接な関係を持っていた。
ダイアナはウェスト・ヒース・ガールズ・スクール、後にリドゥルワース・ホールで教育を受け、スイスのインスティテュート・アルパン・ロゼーにも留学した。学業成績は平均的であったが、音楽、ダンス、スポーツに才能を発揮した。ロンドンに戻った後、幼稚園の教諭として働いていた。
チャールズ皇太子との結婚[編集]
1981年 2月24日、チャールズ皇太子（後のチャールズ3世）との婚約が発表された。当時、ダイアナは19歳、チャールズ皇太子は32歳であった。結婚式は1981年 7月29日にセント・ポール大聖堂で行われ、世界中で7億5千万人がテレビ中継を視聴したと推定されている。この結婚は「おとぎ話の結婚」として広く報じられた。
結婚後、ダイアナは「ウェールズ公妃」の称号を得た。彼女とチャールズ皇太子には、2人の息子が生まれた。
- ウィリアム・アーサー・フィリップ・ルイス（1982年 6月21日生）
- ヘンリー・チャールズ・アルバート・デヴィッド（1984年 9月15日生）
公務と慈善活動[編集]
ダイアナ妃は、そのカリスマ性と親しみやすい人柄で、すぐに国民的な人気を集めた。彼女は特に、エイズ、地雷、ホームレス支援などの分野で、数多くの慈善活動に積極的に関与した。エイズ患者との握手をためらわない姿勢は、この病気に対する社会的な偏見を減らすのに大きく貢献した。また、彼女の地雷廃止運動は、国際的なオタワ条約（対人地雷の使用、貯蔵、生産及び移譲の禁止並びに廃棄に関する条約）の締結に大きな影響を与えた。
結婚生活の破綻と離婚[編集]
ダイアナ妃とチャールズ皇太子の結婚生活は、当初の華やかさとは裏腹に、次第に困難に直面するようになった。メディアによる過度な注目、ロイヤルファミリー内での適応、そして個人の関係性の問題などが原因で、結婚は破綻していった。1992年、夫妻は別居を発表し、1996年 8月28日に正式に離婚が成立した。離婚後も、ダイアナ妃は「ダイアナ妃」の敬称と、慈善活動家としての役割を維持した。
死去[編集]
1997年 8月31日、ダイアナ妃はパリで自動車事故により死去した。彼女は当時、交際相手のドディ・アルファイド、運転手のアンリ・ポール、そしてボディガードのトレヴァー・リース＝ジョーンズと共に、パパラッチに追跡されている最中であった。事故現場はアルマ橋のトンネル内であり、ドディ・アルファイドとアンリ・ポールもこの事故で死亡した。唯一の生存者はボディガードのトレヴァー・リース＝ジョーンズであった。
彼女の死は世界中に衝撃を与え、多くの人々が深い悲しみを表明した。葬儀は1997年 9月6日にウェストミンスター寺院で行われ、推定25億人がテレビで視聴したとされている。ダイアナ妃の遺体は、スペンサー家の領地であるオルソープにある小さな島に埋葬された。
人物像と影響[編集]
ダイアナ妃は、そのファッションセンス、人道的な活動、そして型破りなアプローチで、世界中の人々に影響を与えた。彼女は王室の伝統に変化をもたらし、より現代的で親しみやすい王室像を提示したと評価されている。その死後も、彼女の遺産は、特に慈善活動の分野で、多大な影響を与え続けている。
豆知識[編集]
- ダイアナ妃のウェディングドレスは、300万個以上の真珠が縫い付けられ、7.6メートルのトレーンを持つものでした。
- 彼女は、自身が支援する慈善団体に直接寄付を募るために、個人的なアイテムをオークションにかけることもありました。
- ダイアナ妃は、クイーンのボーカリストであったフレディ・マーキュリーと親交があったとされています。
関連項目[編集]
参考書籍[編集]
- モートン, アンドリュー. 『ダイアナ妃の真実』（原題: Diana: Her True Story in Her Own Words）.
- ブラウン, ティナ. 『ダイアナ・クロニクル』（原題: The Diana Chronicles）.