センターメーター
センターメーターとは、自動車におけるメーターレイアウトの一つ。コンビネーションメーターが運転席の正面前方ではなく、ダッシュボード上部に設けられるものである。
概要[編集]
多くの自動車は運転席の前方にメータークラスタを配置するレイアウトが一般的である。これはドライバー以外がメーターを確認する必要がほとんどなく、室内空間を有効に活用するためには合理的だからである。一方、運転中は車外前方に目のピントを合わせていることが多く、手前のメーターと奥の進行方向を交互に見る際はドライバーの目に対して少なからず負担をかけるものであった[注 1]。また、ハンドルの調整の際はメーターにハンドルがかからないように調整する必要もあり、特に小径ハンドルの場合は自由なハンドルポジションを取れないことも珍しくなかった。
これに対し、センターメーターは通常よりも遠い位置に配置され、視点が遠くなることから車外とメーター間でのピント調整にかかる負担が少なく、メーターがハンドルの陰に隠れて判読しにくいという現象が少ないという利点がある。また、世界戦略車など右ハンドル・左ハンドルの両方を生産する必要がある場合、それらの部品の共通化がしやすくコスト削減につながるという製造上の利点もあった[1]。
センターメーターはもともとイギリスが発祥といわれ、BMC・ミニはその代表的なモデルでもある。これはBMW・ミニとなってからも踏襲されたものである[注 2]。一方で他車への普及は限定的だったものの、90年代末のトヨタがプリウスやヴィッツに採用し、同車の車種に多く採用されたほか、軽自動車などでも広く普及を見せたものである。
2020年代にはセンターメーターの採用が一気に少なくなり、普及のきっかけとなったプリウスも5代目からは通常のメーターになっている。背景には大画面のディスプレイが装備されるようになってきたこと、宣伝されるほど見やすい[注 3]ものでもなかったこと、軽自動車やファミリーカーへの採用が多く、高級感がなく廉価なクルマの装備というイメージがついてしまったのではないか、ともいわれている。[2]
脚注[編集]
- ↑ https://kuruma-news.jp/post/846422 メリットあったのに「センターメーター」なぜ廃れた? 初代「プリウス」から普及するも最新モデルは“運転席前”へ移動! 廃止が相次ぐ意外な事情とは? - くるまのニュース
- ↑ https://response.jp/article/2021/11/09/351196.html 絶滅危惧種? センターメーターのクルマ…なぜなくなったのか - Response.