ステアリングホイール

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ステアリングホイール(steering wheel)とは、自動車操舵装置の一部である。日本においてはハンドルということが多い。

概要[編集]

ステアリング機構の一端を成す重要なパーツである。ステアリングホイールを回すことで、ステアリングシャフトを通じてステアリングギアに回転が伝わり、フロントタイヤのステアリング機構を操作し、舵角を変化させることで車両を旋回させる。この回転力の伝達について、ステアリングシャフトの室内側にはセレーションと呼ばれる細かい溝が刻まれており、ステアリングホイール側のスプラインと噛み合うことで、遊びの少ない確実な固定が行われている[注 1]

ステアリングホイールは車両操作の安全に直結する重要な入力装置であると同時に、運転者が最も長時間触れる部分でもある。そのため、デザイン性や操作感、素材の質感が重視され、上級車では本革巻きステアリングや加飾パネルを採用することも多い。さらに近年では、ホーンボタンに加えて各種スイッチ類が統合される例も多く、操作性の中心的要素となっている。

なお、二輪車では環状のステアリングホイールは用いられず、バーハンドルやセパレートハンドルなどが一般的である。

ハンドルの操作方法[編集]

ステアリングの操作について、おおむね10時10分の位置[注 2][注 3]で握ることが正しいとされる。ハンドル操作は回すというより、曲がる方向とは逆側の手を押し上げるようにして、徐々に舵角を与えていくのが基本である。

ハンドル操作の方法には、大きく分けて「クロスハンドル」と「送りハンドル」の二種類がある。

クロスハンドル

教習所などで広く教えられる一般的な操作法で、両手を交差させながらハンドルを回す方法である。一度に大きく操舵できるため、交差点での左折や駐車時など、低速域での操作に適している。ただし腕を交差させることで姿勢が一時的に崩れやすく、高速走行時には不向きとされる。

送りハンドル

教習所ではあまり指導されない操作法で、ハンドルを持ち替えず、手を滑らせるようにしてハンドルを「送る」方法である。大きな舵角を一度に与えることは難しいが、微調整がしやすく、常にハンドルの上半分を把持できるため、高速道路のランプ部など曲率のきついカーブでも姿勢が安定するという利点がある。


なお、日本ではハンドルの握る位置は先述の10時10分[注 4]が推奨されるが、全米自動車協会ではエアバッグ作動時の安全性を考慮し、9時15分または8時20分の位置で握ることを推奨している。

変遷[編集]

1980年代の自動車のステアリングホイールは中央部にホーンボタンがついている程度であったが、1990年代になるとSRSエアバッグの義務化により、中央部にエアバッグモジュール[注 5]が組み込まれるようになっていった。2000年代後半からはオーディオ類やクルーズコントロールなどの様々なスイッチ類がステアリングハンドルに組み込まれていくなど、ステアリングホイールには様々な機能を持たせている車種が多くなった。形状も従来の円形からD字型のデザインが採用されることもある。

また、車種やグレードによりハンドルの位置調整機能も増えており、上下位置を調整するチルト機構、ハンドルの前後位置を調整するテレスコピック機構、両方を併せ持つチルトテレスコピック機構を備えた車も増えている。高級車に至っては乗り降りを容易にするため、エンジンキーの抜き差しやスイッチ状態によって電動で動作するもの(オートアウェイ機能)も存在している。

アフターパーツ[編集]

かつてエアバッグが義務化する以前は手軽に交換できるパーツの一種であり、ドレスアップ目的やチルトテレスコでは調整しきれないドライビングポジションを狙って交換するユーザーも多かった。一般的なカー用品店でも社外品のステアリングハンドルが多く展示されていたほどである。しかし、近年では前述のような高機能化だけでなく、有名なアフターパーツメーカーであるMOMOがエアバッグ付きで純正採用されるなど交換するユーザーはめっきり減っている。

しかし、純正ハンドルの経年劣化やドライビングポジションの追究、操作感など、デメリットを越えるメリットを求めるユーザによる社外ステアリングホイールへの交換は現在でも行われている。

将来的に[編集]

かつてはステアリングホイールからシャフトを通じて直接[注 6]操作していたが、近年では電気信号により操舵するステア・バイ・ワイヤ技術が進んでおり、ステアリングの形状がさらに自由になる可能性が指摘されている。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. 固定自体はナットで行われる
  2. ハンドルを時計に見立て、左手を10時、右手を2時の位置で握る姿勢
  3. 2024年の時点では古い教え方とされることも多く、9時15分の位置が一般的になりつつある
  4. または9時15分
  5. エアバッグと展開させるインフレータ(火薬)がセットになったもの
  6. パワーステアリング機構による補助を含む