ストリシ

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ストリシ(ロシア語:Стриж、ラテン転写:Strizh)とはロシア鉄道が運行する列車の名前である。ロシア語で速いなどの意味合いを持つ。車両はスペインタルゴ社から発注した車両である。ロシア国内の高速列車や、ヨーロッパ方面の列車で運用されていたが、2022年にEUの制裁で検査が不可となり休車された。

概要[編集]

2014年にロシア鉄道は国内での高速輸送ができるかつ、ロシアヨーロッパを結ぶ車軸変換形の車両を導入することになり、スペインのタルゴ社からタルゴ250形を18両編成を7編成購入した。

車両[編集]

ストリシは昼行用の5編成と夜行用の2編成に分かれる。夜行用には軌間可変装置(車軸変換型)と車内には寝台が備えられている。

運用[編集]

2025年現在ではストリシは走っていない。

モスクワ-ニジニ・ノヴゴロド線[編集]

導入当初の2015年、ストリシはモスクワ-ニジニ・ノヴゴロド間の長距離列車の運用に就いた。それまで4時間かかっていたのが、3時間半までに短縮された。この列車は途中ジェルジンスクコヴロフウラジーミルに停車し、タルゴの低床設計に合わせてこれらの駅に低床ホームが設置された。

モスクワ-ニジニ・ノヴゴロド間ではストリシは人気を博し、2016年にはたくさんの乗客を輸送した。それは1日7往復までも運行されるほどだった。

2022年の欧州連合による制裁により、検査ができなくなり、この路線でのストリシの運行は廃止された。

モスクワ-ワルシャワ-ベルリン線[編集]

2016年12月17日にモスクワ-ワルシャワ-ベルリン間のユーロナイトで夜行形のストリシの運行を開始した。この列車は週2回運行され、途中スモレンスクオルシャミンスクブレストテレスポルワルシャワポズナンジェピンフランクフルト・アン・デア・オーダーに停車する。所要時間は22時間程度。途中のブレスト中央駅で軌間可変を行うが、台車交換場を通ることなくすらっと行っていた。

2020年新型コロナウイルスのパンデミックの拡大により運休した。

サンクトペテルブルク-モスクワ-ニジニ・ノヴゴロド-サマラ線[編集]

上記のベルリン方面の列車が運休したことにより余剰となった夜行形のストリシ2編成は新たにサンクトペテルブルク-サマラ間の運用に2020年8月21日より転用、運行開始した。サマラへは2日おきに、モスクワへは4日おきに運行された。サンクトペテルブルク-サマラ間の所要時間は19時間40分だった。

2021年3月15日にサンクトペテルブルク-サマラ間の列車はモスクワを通過するようになった。

2022年の欧州連合による制裁に伴い、これらの列車は全車休車され、運行中止となった。

牽引機関車[編集]

ストリシのロシア国内での主な牽引機関車はEP20形電気機関車EP2K形電気機関車TEP70BS形電気機関車が用いられた。

現在[編集]

2022年ロシアによるウクライナ侵攻に伴い、EUはロシアに制裁を出した。これにはタルゴ社の検査も含まれており、ストリシの検査ができなくなり、運行できなくなった。ストリシ全車はモスクワ・キエフスカヤ車両基地で休車中である。

ロシア鉄道はストリシのその性能と人気さから運行再開を模索しているが、タルゴ社の特殊技術を自国の代替技術では賄うことができずに放置されている。停戦して情勢が落ち着いてきたら、また線路上を走る姿が見られるだろう。

関連項目[編集]