ジュノー問題

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ジュノー問題」とは、小惑星(3)Junoの日本語表記が、伝統的なラテン語読みルールに従った「ユノー」ではなく、英語読みの「ジュノー」と表記されている問題である。

ラテン語読みルール[編集]

17世紀のガリレオ以降、望遠鏡で月や惑星などが詳しく観測され、月面の地形や新たに発見された衛星などの多くは、当時の神聖ローマ帝国の公用語であるラテン語で命名された。このため、日本語でも、多くの天体名がラテン語読みやその翻訳名で呼ばれるようになった[1]

「天文同好会」(東亜天文学会の前身、山本一清会長)が執筆した昭和3年版「天文年鑑」では、「ユノ」と書かれてあり、それは冨田弘一郎が「天文年鑑」1970年版にも書いている。しかし、翌1971年版に神田泰は「ジュノ」と書いており、これが「ジュノー」の起源と考えられる。

表記の変遷[編集]

年月 表記 書籍名 執筆者 出版社
1928 ユノ 「天文年鑑」1928年版 天文同好会 新光社
1968 ユノ 「天文年鑑」1968年版 冨田弘一郎 誠文堂新光社
1971 ジュノ 「天文年鑑」1971年版 神田泰 誠文堂新光社
1978.2.15 ユノー 「天文・宇宙の辞典」    恒星社
1986.7 ジュノー 「天文学辞典」P.281 鈴木敬信 地人書館
2025 ジュノー 「天文年鑑」2025年版 相馬充 誠文堂新光社
2025 ユノー 「藤井旭の天文年鑑」2025年版 相馬充監修 誠文堂新光社

木星探査機「ジュノー」[編集]

アメリカが2011年に打ち上げた木星探査機Junoは、人工天体の命名権が製作者にあるため、英語読みの「ジュノー」となる。これにより、小惑星を「ユノー」と呼んだ方が区別しやすいということになる。

脚注[編集]