アインシュタインの光子箱
アインシュタインの光子箱とはエネルギーと時間の間に不確定性関係があるにも関わらず、光子のエネルギーを任意の精度で、任意の時間、任意の精度で測定できるとされる仮説上の装置である。この装置は、1930年のソルベー会議にて、アルベルト・アインシュタインがニールス・ボーアとの議論中に提唱された。ニールス・ボーアは、このパラドックスを説明し、基準系を決定する測定機器自体と、研究対象であり量子効果の影響を受ける機器の部分を区別する必要性を強調した。
パラドックスの定式化[編集]
アインシュタインの光子箱は、壁に開口部のある箱で構成されており、箱内部の時計機構によって開閉が可能である。箱が放射線で満たされ、時計機構が指定された瞬間に非常に短い時間だけ開口部を開くようにプログラムされているとする。これにより、任意の精度で指定された瞬間に、開口部から1つの光子が通過できるようになる。この瞬間前後の箱の質量差を軽量によって測定することで、エネルギーと時間の不確定性関係に反して、アインシュタインの質量とエネルギーの関係式に従って、任意の精度で光子のエネルギーを測定できるとされる。
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パラドックスの説明[編集]
仮に重量測定用の光子箱がバネに吊り下げられ、その上に指針が取り付けられ、箱の下部には測定スケールのゼロ位置に指針を正確に設定するための重り付きスタンドが取り付けられているとする。光子箱の計量には、箱に取り付けられた秤の針を、あらかじめ設定された精度で計量スケールのゼロ位置に設定すれう必要がある。しかし不確定性関係によると、この操作によって箱の運動量の不確定性が生じる。
この不確定さは、重力場によって質量の物体に伝達される衝動よりも小さくなければならない。この衝動は計算過程が行われる時間の間に伝達される。
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一方一般相対性理論によると、重力場内でだけ変位した時計は、その進路を変えて、時間間隔におけるその表示はだけ変化する。
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式(2)及び(3)から、計量の結果、時計の表示には不確定さが含まれていることがわかる。
そして、この式と式(1)から、時計の表示の知識と不確定さと光子のエネルギーの知識の不確定さは、不確定関係に従って関係していることがわかる。