ČSD810系気動車
810系気動車(1988年1月1日まではM152系、試作車はM151系)とはチェコ鉄道で最も広く運用される気動車である。旅客輸送の少ない路線を中心に運用される。1975年から1982年までにストゥデーンカ・ヴァゴンカ社によってチェコスロバキア国鉄向けに合計680両製造された。(試作車は1973年に開発。)うち2両はロシア軌間線向けの広軌用の800番台(810.8系)である。(当初はM152系800番台)1990年代半ばに後継会社(チェコ鉄道、スロバキア国鉄(後のZSSK))に継承され様々な近代化改造が行われた。今でも一部の車両は改造されず原形をとどめて運行される。また、民間事業者に譲渡された車両もある。
構造[編集]
自立型の溶接鋼製車体は軽量構造で2つの車軸台車に接続される。車両は床下機器のディーゼルエンジンで駆動され、ターボチャージャーなしのLIAZ ML634ディーゼルエンジン、自動油圧機械式のプラガ2M70セミオートマチックトランスミッション、カルダン制御、及び1つの車軸逆転装置で構成される。最初の2つのコンポーネントは当時清掃されていたカロサŠM11から流用された。トランスミッションは機械式ブリッジングが可能な油圧コンバーターと2段トランファーケースで構成される。また、後に油圧コンバーターの多重度増加、進行方向の変更位置のブロックmオイル冷却の強化、48Vの車載電圧制御の調整などの改造が行われた。
車内は2つの運転台、2対の乗降ドア(前方ドア付近にはトイレ、配電盤、折りたたみ式座席5席を備えた荷物室がある。)、そして中央に客室がある。2+3の配置のボックスシートが合計50席配置される。乗降ドアは空気圧制御である。車内はできる限りエンジンの排熱の温風で暖房をする。また、ディーゼルエンジンによってエンジン冷却回路と組み合わせて予熱することも可能である。
この車両にはジャンパ栓が取り付けられており、最大2両での運行が可能である。3両以上で運行は不可能である。
背景・製造・運用[編集]
すでに旧型車両のM131系100番台をM240系気動車(現820系)で置き換えることが失敗したため、信頼性の高いバスのエンジンを搭載した新しい気動車を制作することとなった。1971年に2両のM131系100番台に試験的に搭載されM131系300番台に改番された。この試験が成功したため、1973年にバスエンジンを搭載した試作車2両(M151系)がストゥデーンカ・ヴァゴンで製造された。1両は試験運転に用いられ、もう1両は製造後すぐに運用開始された。製造中に重量が適合しなかったために、1974年にいずれの車両はM152系に形式変更された。量産車の製造は1975年より開始された。
チェコスロバキア国鉄は当初、M152系を150両(別資料によると300両)を導入する計画だった。M152系は短距離地方路線で使用されることになっていた。しかし、長距離地方輸送で使用される予定だったM474系気動車の量産がまだ開始されていなかったため、M152系の量産は数倍に増加し最終的に680両製造された。量産は1975年から1982年まで6回に分けて行われた。2000年代に行われた改造の結果、原形をとどめる個体は約4分の1にまで減った。チェコでは現在、中央ボヘミア州を中心に一部の路線で運行される。スロバキアでは、本形式を名乗る車両はもはや消滅しており、811~813系に改造されるか、売却されるかで消滅した。当形式を保有する民間事業者はKŽC輸送、GWトレイン・レギオ、レイルウェイ・キャピタルが保有している。2017年にチェコ鉄道はポーランドの運送事業者のSKPLカーゴに810系4両を売却した。また2024年-2025年に同じく4両が同社に売却された。
チェコ鉄道は他のインターパンターやシティエレファントと同様に動物の愛称を付けた車両としてこの車両をブランド化する予定でレギオマウスと名付けた。最初のレギオマウスは2018年夏に運行を開始した。
2024年には当形式及び改造車量、派生車両を段階的に運用離脱させていくと発表した。これによると2030年以降には全社引退すると予想された。sかしチェコ鉄道はこれはあくまでも概算にすぎないとしている。
運用[編集]
2024/2025年のダイヤによると以下の区間で運用される。
- 中央ボヘミア州
- ペチュキ-コウジム間
- チャースラフ-トジェモシュニツェ間
- チェルチャニ-ズルチュ・ナト・サーザヴォウ間(一部列車)
- ベネショフ・ウ・プラヒ-ヴラシム (-トルホヴィー・シュチェパーノフ (季節運行))間
- ベネショフ・ウ・プラヒ-セドルチャニ間
- ザドニー・トジェバニ-ロホヴィツェ間
- ロジュミタール・ポト・トジェムシーネム-ブジェズニツェ間
- プラハ-スミーホフ - ホスティヴィツェ - ルドナー・ウ・プラヒ間
- ホスティヴィツェ - ノウトニツェ (-スラニー)間
- ラコヴニーク-ベチョフ・ナト・テプロウ間(一部列車)
- クラルピ・ナト・ヴルタヴォウ-スラニー間
- クラルピ・ナト・ヴルタヴォウ-ネラトヴィツェ間
- クラルピ・ナト・ヴルタヴォウ-ヴェルヴァリ間
- クラルピ・ナト・ヴルタヴォウ-ロウニ間
- ペチュキ-プラニャニ間
- カルロヴィ・ヴァリ州
- (ヘプ-)アシュ-アシュ市間
- ロケト-ホドフ-ノヴァー・ロレ間
- カルロヴィ・ヴァリ-メルクリーン間
- ベチョフ・ナト・テプロウ - ホルニー・スラフコフ-コウニツェ間
- ウースチー州
- ベネショフ・ナト・プロウチュニツィー-カメニツキー・シェノフ間(季節運行)
- ジェチーン-クルプカ間(季節運行)
- ヴァルンスドルフ・ピヴォヴァル・コツォウル-イェドロヴァー間
- ルンブルク-パンスキー-ミクラーショヴィツェ・ドルニー間
- ドルニー・ポウスヴナ-ミクラーショヴィツェ・ドルニー-ルンブルク間
- フラデツ・クラーロヴェー州
- トルトノフ-クラーロヴェツ間
- ヴィソチナ州
- モラフスケー・ブジェヨヴィツェ-イェムニツェ間(季節運行)
- 南モラヴィア州
- ブゼネツ-モラフスキー・ピーセク間
- ヴェセリー・ナト・モラヴォウ-キヨフ (-ブルノ)間(一部列車)
- オロモウツ州
- プロスチェヨフ-セニツェ・ナ・ハネー-チェルヴェンカ間
- リトヴェル-ムラデチュ(季節運行)
- ハヌショヴィツェ-スタレー・ミェスト・ポト・スニェジュニーケム間
- シュンペルク-ヤヴォルニーク・ヴェ・スレッスク間
- イェセニーク-ミクロヴィツェ-ズラテー・ホリ間
- シュンペルク-ソボティーン間
- モラヴィア・スレスコ州
- オパヴァ-フルチーン間(一部列車)
- オパヴァ-リーマジョフ間()一部列車
- ミロティツェ・ナト・オパヴォウ-ヴルブノ・ポト・プラジェデム間
- オパヴォ-スヴォボドネー・ヘジュマニツェ間
また、必要に応じて、814系や840系、841系の代走をすることがあり以上の他路線でも運用されることがある。
チェコでの改造[編集]
1990年代半ばにワンマン運転に対応するために28両改造された。
試作車2両が改造された。最大の変更点は車両の再設計で、内装も部分的に改装された。現在は814系への改造及び廃車され、消滅した。
モラヴィア・スレスコ州の地方路線向けになぜか上記の811系を名乗って14両が改造された。
2001年に1両のみが改造された。全面の顔が大幅に変更された。この1両はエスメラルダと名付けられ普通はČD792形制御車とペアを組んで運行される。812系はのちに改造される814系(レギオノヴァ)の試作車となった。
813系200番台はスロバキアのZSSK813系100番台をベースに改造された。これらの車両はŽOSズヴォレンでKŽC輸送向けに2両改造された。
2005年から2012年にシュコダ・パルスは810系とČD780形連結客車との2両編成または3両編成を一部低床化の上814系に改造した。
2017年にGWトレイン・レギオはヴェセリー・ナト・モラヴォウのDPOV社に810系4両の近代化工事を依頼した。これらの形式の改造は2018年に完了し、816系に変更された。改造工事には、空調設備を備えた新しい車内設備、制御システムを備えた新しい電気設備、そして新しいTEDOMエンジンの搭載などがある。
- 検測車
M152系2両が検測車に改造された。1978年に試作車の152.0001がMTHコシツェ社でFST-2系に改造された。この車両は1988年から1992年に892.602、1993年から1994年まで810.701と呼ばれた。1994年に検測台車MD1に変更したMD.1-1に改造された。また、M152.0272が1988年にFS3系に改造された。
- 自動運転車
810系を複数保有するAŽDプラハは2023年に811系(2代目)を用いて2025年にバコフ・ナト・イゼロウ=コピドルノ線で自動運転による試運転をしたいと発表した。
スロバキアで改造[編集]
1990年代後半に改造された。一部は011系連結客車から改造された。
811系の後継として2000年代に810系から改造された。最初の10両は連結客車から改造された。
810系のスロバキアにおける最後の改造車である。2006年から2010年にかけて改造された。
813系の後継として低床部分を備えた。2両固定の100番台が登場した。
- 813系110番台
813系100番台の若干の改良版。
関連項目[編集]
- ČD780形連結客車
- ČSD892系気動車
- Bzmot - ハンガリー国鉄における当形式の派生車。