CSX8888号暴走事故

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CSX8888号暴走事故とは、2001年アメリカで起こった列車暴走事故である。

事故の流れ[編集]

鉄道貨物輸送会社・CSX社のスタンレー操車場で、貨物列車(EMD SD40-2形)8888号を本線へ誘導していた機関士が、線路のポイントが切り替わっていないことに気付いた。彼は手早くブレーキ(空気ブレーキとダイナミックブレーキ)を操作して機関車を降り、ポイントを手動で切り替えた。

しかし、ダイナミックブレーキを作動させるには「レバーを操作してから数秒待ち、モードが切り替わってからレバーを加速方向に動かす」という操作が必要だが、機関士はモード切替を待たなかったため、機関車はフルパワーで加速し始めてしまった。

この時、空気ブレーキは作動していたものの、3000馬力(2240KwEF65程度)出力を誇るディーゼルエンジンにはかなわず、機関車は加速を初めてしまった。機関士は車両(以下、「暴走列車」と呼ぶ)を追いかけたものの、乗ることはできず、機関車は無人のまま暴走を始めた。

暴走列車に連結されているタンク車は、2万リットルという大量の「液状フェノール」で満たされていた。この物質は、加熱によって空気と混ざれば爆発性混合ガスへ変化する。しかも列車の100キロ先のケントン市には、周辺に民家やガスタンクなどの危険物施設が密集する、下り勾配の急カーブが存在した。暴走列車が高速で突入すれば確実に脱線、転倒してしまう。最悪の場合、積荷の液状フェノールが大爆発を引き起こし、ケントンを大惨事に陥れる危険性があった。

停車作戦[編集]

暴走列車を止めるため、いくつかの作戦が実行された。

まず、非常用スイッチをショットガンで破壊する作戦。よく「非常用スイッチは長押ししなければならなかったためこの作戦は無謀であった」と言われるが、スイッチを破壊できればよっぽど運が悪くない限り非常用装置が作動するはずであったため、無謀ではなかったと考えられる。しかし、暴走列車が早すぎたため、また、スイッチが小さすぎたため、この作戦は失敗

次に、ポイントを切り替え、暴走列車を脱線させる作戦が実行された。しかし、暴走列車が早すぎたため、ポイントが跳ね返されてしまい、失敗

解決[編集]

暴走列車と同じ線路を逆向きに走行している貨物列車、Q96号があった。この列車は待避線に逃れ正面衝突をまぬがれた。その時、暴走列車を追いかけるという作戦が提案され、実行された。Q96号は暴走列車と逆を向いていたため、運転士と車掌が連絡を取り合い、バック走行で追いかけた。

そして、暴走列車と連結が成功、Q96号はブレーキをかけ、暴走列車に先回りしていた別の機関士が飛び乗り、暴走列車を停止させた。急カーブまで残りわずか2キロメートル、時間は2分足らずであった。