福建 (空母)

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

福建(ふっけん、艦番号18)は、中国人民解放軍海軍の3隻目の航空母艦である。003型航空母艦の1番艦として、上海市江南造船で建造された。従来の空母とは異なり、電磁式カタパルトを搭載していることが特徴である。

概要[編集]

福建は、中国が独自に設計・建造した3隻目の空母であり、初のカタパルト式航空母艦である。その名称は、中華人民共和国福建省に由来する。本艦は、中国の海洋戦力投射能力を大幅に向上させると期待されている。

開発と建造[編集]

福建の建造は、極秘裏に進められていたが、2018年頃からその存在が示唆されていた。衛星画像などから、上海市長興島にある江南造船で建造が進められていることが確認されていた。

2022年6月17日、進水式が挙行され、正式に「福建」と命名された。進水式には、中国共産党中央軍事委員会の要人らが出席した。進水後、艤装作業が開始され、各種システムの搭載や試験が行われた。

2024年5月8日には、初の海上公試が行われたと報じられた。これは、艦の推進システムやその他の重要システムの性能を確認するための重要なステップである。

特徴[編集]

福建の最も顕著な特徴は、従来のスキージャンプ方式ではなく、3基の電磁式カタパルト電磁式航空機発射システム、EMALS)を搭載していることである。これにより、より重い航空機やより多様な航空機を効率的に発艦させることが可能となる。また、航空機の損耗が少なく、発艦サイクルも短縮される利点がある。

排水量は8万トン級とされており、アメリカ海軍ニミッツ級航空母艦ジェラルド・R・フォード級航空母艦に次ぐ大型空母となる。動力は、従来の空母と同様に通常動力とされている。

航空機搭載能力については、J-15戦闘機、KJ-600早期警戒機、その他ヘリコプターなどが搭載されると予想されている。

諸元[編集]

運用と戦略的意義[編集]

福建の就役は、中国の海軍戦略において重要な意味を持つ。従来の遼寧山東がスキージャンプ方式であるのに対し、福建はカタパルト方式を採用しているため、より多様な作戦が可能となる。

特に、南シナ海インド太平洋地域における中国のプレゼンスを強化し、長距離での戦力投射能力を向上させる。また、将来的な台湾有事における台湾侵攻作戦においても、その役割が注目されている。

アメリカやその同盟国は、福建の能力向上を警戒しており、地域の軍事バランスに与える影響を注視している。

豆知識[編集]

  • 福建は、中国人民解放軍海軍が保有する航空母艦の中で、初めて漢字二文字の地名が艦名として採用された。これまでの空母は「遼寧」「山東」と一文字の地名であった。
  • 福建の建造は、非常に高い機密性の中で進められ、進水式の直前までその詳細は公にされなかった。

関連項目[編集]

参考書籍[編集]

  • 『世界の艦船』海人社
  • 『中国海軍ハンドブック』大石英司(著)、潮書房光人新社