生殖の碑
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『生殖の碑』(せいしょくのいしぶみ)は、あさりよしとおの図書室ジュブナイル漫画[1]。
『楽園 Le Paradis [ル パラディ]』(白泉社)にて、第23号(2017年2月28日)[2]から第32号(2020年2月発売)まで連載された。全10話。単行本は全1巻。
タイトルは新田次郎の山岳小説および、小説を原作とした鶴田浩二主演の1978年の東宝映画『聖職の碑』(読み、同じ)から。
あらすじ[編集]
男子中学生・ヨリミツ カケルは図書室にある医学書で無修正の性器写真などを見ながらエッチなことを想像するのを日課としている。そんなカケルを、図書委員女子の織江は問題視しながらも気にしていた。
そんなある日、カケルは自分と同じように図書室で男性性器の描かれた医学書を読んでいる見覚えのない女子生徒(三つ編みおさげの眼鏡娘)と遭遇。謎の女子生徒から「生殖はお好きですか?」と話しかけられる。逡巡の末、カケルが二つ返事で肯定すると、謎の女子生徒は「やっとY染色体が手に入る」と、どこからともなく糸をはき、カケルを絡めとろうとする。
宇宙探査機パイオニア10号・11号に取り付けられた金属板に刻まれた人間の男女の姿に興味を抱いた宇宙生命体が地球を訪れ、10年かけて地球の言語を学習し、人に擬態したのであった。眼鏡は装飾品だが、人間の顔に見える部分は擬態であり、人間の頭髪部分が本来の顔の蜘蛛型である。
登場人物[編集]
- ヨリミツ カケル
- 図書室に入り浸って医学書を読みふける中学生男子。「ひと一倍長い賢者の時間を過ごしている」と自負する。
- 父、母と同居している。
- 織江(おりえ)
- 図書委員の女子生徒。カケルのことは名前もわからなければ、クラスも知らない(カケルが貸出を行わないので、貸出簿に記帳しないため)。
- 数々のカケルの奇行や発言により、次第に意識するようになる。
- 江口(えぐち)
- カケルの友人の女子生徒。女子の体を揉むことを趣味としており、図書室で織江の胸を揉みしだく。通称エロ子。
- カケルに頼まれ、謎の女生徒を探す。
- 胤(つづき)
- 男子生徒。寺の息子であり、人ならざるものの気配を図書室から感じ、調査に乗り出す。
- 謎の女生徒
- 図書室で男性器の医学書を読んでいた女生徒。
- その実態は、精神生命体的な宇宙生命体が地球で作り上げた端末のようなもの。外観は黒髪おさげ、眼鏡着用で、この外観のモデルは昔の女生徒であるが、卒業を待たずに死亡したため、卒業アルバム、卒業名簿などには記録されていない。
- 人血を栄養源としており、病気などにならない程度に生徒たちから血を吸っている。
- カケルに生殖行為をもちかけたが、生殖の後にはカケルを出産までの営業源として食する予定。なお、麻痺させて少しずつ食べるので日持ちするとのこと。
- カケルは「新郎新婦」から、「新郎・絡新婦(ジョロウグモ)」とダジャレを想起している。なお、絡新婦(ジョロウグモ)は蜘蛛の女郎蜘蛛とは異なり、妖怪である。
その他[編集]
- 『20億の針』 - 1950年刊行のハル・クレメントによる長編SF小説。原題は『Needle』。ゼリー状の半液体生物の探偵と逃亡犯がそれぞれ地球に不時着。それぞれ地球人に寄生して追跡劇が繰り広げられる。邦題は20億(当時の地球総人口)の人間のなかの1人に潜む犯人をみつけることを意味する。『ウルトラマン』や『寄生獣』といった寄生バディ物の元祖とも言える。本作ではカケルの部屋にあった本として登場する。
脚注[編集]
- ↑ “生殖はお好きですか?あさりよしとおが描く図書室ジュブナイル「生殖の碑」”. コミックナタリー (2020年4月30日). 2025年9月5日確認。
- ↑ “あさりよしとおが生殖に興味津々の学生描く新連載、黒井緑の軍艦エッセイも”. コミックナタリー (2017年2月28日). 2025年9月5日確認。