海猫亭へようこそ
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『海猫亭へようこそ』(うみねこていへようこそ)は、原作:剣名舞、作画:村尾忠義による人情漫画、グルメ漫画。
『週刊漫画サンデー』(実業之日本社)にて連載された。話数表記は「Menu.〇」。単行本は全10巻。
あらすじ[編集]
22歳にして三ツ星レストランの総料理長に就任したこともある天才料理人・吹雪高志。高志は日本に戻り、実家のある海猫島で妻・羽純とレストラン「海猫亭」を営んでいたが、交通事故によって帰らぬ人となってしまった。
高志の実弟・吹雪涼二は「海猫亭」の総料理長として後を継いだ。
(いろいろあって)
涼二は全国フランス料理大会に出場し、優勝したら羽純にプロポーズしようと考えた。仔羊肉という食材を指定された予選会をトップ得点で通過した涼二であったが、魚介類を料理人自身が目利きして調理する決勝大会では海猫亭の・兄のポリシーである「1000円以内で提供できるフランス料理」のコンセプトを守った料理を出したことで、第2位に終わった。実は過去にパリに渡る前に高志が過去に一度だけ出場した料理コンテストであり、その結果が予選落ちで「天才料理人」の天狗の鼻を折られたことを羽純から告げられた涼二は、鱒田からも、高志にこだわる必要がないと後押しされ、江波と時枝の結婚式の後に改めて羽純にプロポーズするのだった。
登場人物[編集]
- 吹雪 高志(ふぶき たかし)
- 故人。天才料理人と称された。
- 22歳のときにパリの三ツ星レストランで総料理長となり、その時に開発したスペシャリテは「伊勢海老のソース・タンペット」。ソース・アメリケーヌに味噌などを加えて日本風にアレンジしたソースを用いる。「タンペット(フランス語: tempête)」はフランス語で嵐などの意。「吹雪」の「tempête de neige(直訳すると雪の嵐)」で、高志の姓と掛けた名称になっている。本作オリジナルの架空の料理。
- 海猫島の土地が観光地化して居場所がなくなった狸が海岸沿いの道路に降りてきたのを避けようとして、車ごと海に転落して、死亡。
- 吹雪 涼二(ふぶき りょうじ)
- 高志の実弟。見様見真似で「ソース・タンペット」を作れるくらいには技量は高い。
- 高校を中退し、高志のような料理人になるべく東京へ出るも、周囲と衝突して料理店を転々としていた。高志の結婚報告および海猫亭開業の際にいっしょにやることを誘われるが断っている。
- 「誰にでも食べられる安くて美味い料理」を提供するために海猫亭を開業した高志の意志を継ぎ、同じ信念をもって海猫亭の料理長を継ぐ。コックコートは高志が着ていたもの。
- 義姉である羽純に好意以上のものを抱いており、高志を超える料理人となったら告白する気でいる。
- 吹雪 羽純(ふぶき はずみ)
- 高志の妻。涼二にとっては「義姉」となる。
- ソムリエの学校を出ており、海猫亭ではソムリエール(女性ソムリエ)を務める。
- 旧姓は
大空 ()。パリ旅行中に食事をした店で高志と出会い、その後のセーヌ川観光で再開したことから交際を開始し、結婚した。 - 実家は酒造を営んでいる。会社としては跡取りであったが、女性のため杜氏としては後継者とは考えられておらず、ソムリエールの道を歩んだ動機ともなっている。
- 高校時代には剣道部所属で、そのときの先輩が鮫島。
- 吹雪 ハナ(ふぶき ハナ)
- 涼二の祖母。海猫亭の送迎マイクロバスの運転手を務める。岩海苔獲りなども行っており、元気溌剌。
- 吹雪 早苗(ふぶき さなえ)
- 高志、涼二の母親。存命。眼鏡着用。普段は和装で海猫亭2階の宿屋のほうを営んでいる(海猫亭の予約は宿泊者が優先)。
- 吹雪 蕩次郎(ふぶき とうじろう)
- 高志、涼二の父親。漁師をしていた。
- 涼二が中学くらいのときに、不倫を咎めた高志に殴られて家を出た。その後、死亡したことが蕩次郎と早苗の友人だった貝塚から伝えられた。遺体が上がっていないことから、早苗は「どこか別の場所で一攫千金の夢を追ってる(蕩次郎の)写真が届くのではないか」と、蕩次郎の葬儀を行うことを拒否している。
- 最終話近くに生存が判明し、ラスベガスのカジノで大儲けし、3億円をるいの口座(口座の存在は貝塚と蕩次郎しか知らない)に振り込んでいる。
- るい
- 海猫島ではなく「本土」で暮らす。保育士兼ソープ嬢。高志、涼二とは異母兄妹になる。
- 涼二はるいの事は「愛人に産ませた子がいる」くらいしか知らなかったが、るいのほうは父親から涼二たちとの写真を見せられていたため、初対面でも涼二と判った。
- なお、母親はるいが3歳のときに別の男と家出して行方不明。蕩次郎が亡くなってからは、貝塚が面倒を見ていた。
- 蕩次郎が偽名で振り込んだ3億円を元に孤島を買い、飼い主の無い動物たちや、身寄りの無い老人たちが暮らす場所を立ち上げる。バックアップは二階堂物産。
- トージロー
- るいが保護した大型犬(外見はセントバーナード風)。海猫亭の裏に犬小屋が設けられ、寝起きしている。
- 海猫島の別荘で飼われていたが、住人が東京に戻る際に置いて行かれた。
- 海猫亭の従業員
- 住居は海猫亭2階。1室に3人寝起きしている。涼二と羽純も2階にそれぞれ個室で寝起きしている。
- 鱒田(ますだ)
- セカンド。
- 料理人としての実力とキャリア、知識は、涼二をはるかに上回る。
- 妻子がいたが、鱒田が忙しさにかまけている間に不倫され、離婚となっている。離婚後、抜け殻同然となっていたところを高志に声を掛けられ、海猫亭で働くようになる。
- 江波 秀樹(えなみ ひでき)
- ギャルソン兼マネージャー。
- かつては一流ホテルである「帝都ホテル」でフロント係だった眼鏡男子。
- ソムリエを目指して勉強もしていたがアルコール依存症となりホテル勤務中にも飲酒するようになって免職となった過去がある。
- 高志とはホテル学校留学中にパリで知り合い、ホテルをクビになった際に海猫亭の開店スタッフとして声をかけられた。その際に「二度と酒は口にしない」と約束し、それを守っているが、ときおり依存症の症状に苦しんでいたが、後に克服。
- 鳥塚 圭介(とりつか けいすけ)
- 見習い。初登場時は未成年で、コミックス1巻終盤に成人式を迎えていたことが語られる。
- 鮎美が初めて海猫亭を訪れたときに一目惚れし、告白を行う。
- 文字通りに半人前だったが、帝都ホテルがパリに出店する店の菓子職人(パティシエ)として鷹村と鮫島の推薦を受けるほどに上達し、鮎美に婚約指輪を渡して渡航する。
- 実家は青森県津軽で魚屋を営んでいる。
- 二階堂 オサム(にかいどう オサム)
- パリ留学した圭介に代わって雇われた見習い。
- 世界的にも知られる超一流の総合商社「二階堂物産」の社長の息子である。国立大学を中退し料理人を目指すが、調理師学校のほうも「バカバカしい」とこちらも中退。一見するとちゃらんぽらんな若者であるが、料理に対するセンスは鋭い。
- 社長の愛人の子であり、アメリカで生まれ育った。実母の死を機に社長に日本でいっしょに暮らすことを勧められる。しかし、正妻の兄である悟(さとる)は社長(父)のお気に入りであるオサムを跡継ぎに指名するのではないかと、オサムを遠ざける。しかしながらオサム自身には企業に跡継ぎになる気はなく、悟から譲ってもらった古いウォークマンを修理しつつ使い続けるなど、腹違いの兄を敬愛している。
- 海猫島の住人たち
- 海猫島には商店街やら映画館、パチンコ屋もあり、路線バスもあればタクシーも走っている。
- 夏期には観光客で賑わい、冬には寒ブリも獲れる。
- トライアスロン大会を開催している。前年大会の優勝は源太、2位は鱒田。作中開催の大会では1位、2位は同じ。3位は渡瀬。トライアスロンのコースにもなっている島の外周道路は1周約10キロメートル。海水浴場となっている砂浜もあるが、断崖絶壁となっている箇所も多い。「
夫婦岩 ()」と呼ばれる場所は「遺体が上がらず、2人はあの世で結ばれる」と心中の名所になっていたこともある。 - 所在地が明言されているわけではないが、「本州のはずれに位置する」「関西方面からの最寄り空港が八戸空港[1]」などから、青森県の太平洋側に位置すると思われる。
- 末永 時枝(すえなが ときえ)
- 中学校で美術を教える女性教諭。江波と交際することになり、最終話で結婚式を挙げる。
- 吉原 鮎美(よしわら あゆみ)
- 「吉」字は牛丼の吉野家と同じく「土+口」の漢字。
- 当初は涼二に思いを寄せていたが、後に圭介と相思相愛になる。
- 鮎美が難産の末に産まれて、ほどなく母親が死亡したことから、父親が荒れることになった。その父親も鮎美が家出している間に海で死亡。なお、家出した鮎美は東京にいた涼二の部屋に泊まっている。その際に、涼二は鮎美に手を出してはいない。
- 中学時代には演劇部に所属していたらしい。
- 吉原 源太(よしわら げんた)
- 鮎美の兄で、涼二の幼馴染。子煩悩ならぬ妹煩悩。
- 昔から惚れっぽく、1回入ったソープ嬢(るい)にも惚れる。そのソープ嬢が涼二の異母妹のるいと判明して、ひと騒ぎ。るいのほうからはまったく顔を覚えられていない。名前も「ごん太」と認識されている。
- 漁師であり、島の青年団の団長で人望は厚い。
- 土谷 火見子(つちや ひみこ)
- 陶芸家。夫は美術鑑定人。もともとは夫も陶芸家であったが、大会優勝作品が裏金で決まったことを知ってからは、銭儲け優先になってしまった。この為、離婚届を置いて出奔したものの、届け出はなされていなかった。
- 「別れた妻子が再婚したこと」から心を乱された鱒田が「無心になりたい」と弟子入りを志願し、夫とのひと悶着があった後に離婚届けも受理された後には、鱒田と交際しているようである。
- 狸穴(まみあな)
- 寺の和尚。高志の葬儀や一回忌では念仏を唱えている。
- 酒も呑めば、肉食も行い、居酒屋の女将を「抱きたい」と広言して触る。これは戒律を守って誰からも尊敬されていた父(先代の住職でもある)が病で死んだことへの反動でもある。
- 渡瀬が殺人の前科持ちということを記した怪文書をばらまくも、普段の行いもあって海猫島の住人は渡瀬の応援&離島の引き留めを行った。
- 志乃
- 小料理屋。
- 志乃(しの)
- 小料理屋「志乃」の女将。かつては銀座でトップクラスのホステスをしていた。
- 父親は板前で、渡瀬はその弟子だったこともある。
- 渡瀬(わたせ)
- 銀座で花板をしていたこともある。
- 店のパトロン(志乃のパトロンでもあった)に銀座で引き合わされて志乃と出会う。肉体関係などはなかったが、勘違いしたパトロンを諍いを起こし、志乃がパトロンを押し倒したことで、パトロンは頭を打って死亡。渡瀬が罪を被り、過失致死で収監された。出所後、2人で海猫島に渡ってきて店を開くが、未だに肉体関係は持っていない。
- 若いころは陸上部に所属していた。
- 鴨下医院
- 島の病院。
- 鴨下(かもした)
- 医院長。20年前は大学病院に勤務する「日本で10指に数えられる」ほどの優秀な外科医であった。
- 信条は「医は人術」、「患者の心を忘れた外科医は医者ではなく技術者」
- 森口 優作(もりぐち ゆうさく)
- T大医学部で引く手あまたな優秀な外科医で、自分から海猫島の鴨下医院への勤務を要望してやって来た。
- 村川家
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- 村川(むらかわ)
- 元・村長。末期癌に侵され鴨下医院に入院中。後に死去。
- 村川 譲太郎(むらかわ じょうたろう)
- 村川の息子。中学時代の喧嘩で源太が唯一勝てなかった相手でもある。プロボクサーとなり新人王を獲得するほどの腕前だが、遊び歩いた末にホステスのヒモのヤクザを喧嘩の末に撲殺。譲太郎が先に手を出したなどの要件もあって執行猶予はつかずに過失致死罪で刑務所に入ることになった。
- 入所を機に離婚。森口の一発を受け、身を引いた。後にヤクザの用心棒に身をやつし、凪子と加賀の件で再登場する。
- ヨーコ
- 譲太郎の元・妻。元は「本土」のヤンキーで、もめごとを譲太郎に助けてもらったことから交際をはじめ、デキ婚となった。村川の家からは結婚に反対されていたこともあり、譲太郎が入所したことを機に離婚した後は「村川家とは関係がない」と宣言されている。
- 翔太(しょうた)
- 譲太郎とヨーコの1人息子。交通事故で骨折したところを海猫島に来たばかりの森口に救われる。
- 実父である譲太郎のことは「幼い頃に死んだ」と聞かされていた。
- その他
-
- 鰐口 荘三郎(わにぐち そうざぶろう)
- 「世界中のあらゆる料理を食べ歩いている」とも称される料理評論家であるが、料理店に難題を吹っかけては応えられない料理店に車代を要求したり、悪く書くなど評判は良くない。
- 第1話では、涼二が見習いをしていたレストランでメニューにない「伊勢海老のソース・タンペット」を注文した。
- 鰐口は涼二の才能を高志に匹敵すると買っているが、涼二からは嫌われている。
- 薫子(かおるこ)
- 鰐口の娘。 グルメライター。父と違って、悪いことはなるたけ書かないようにしている。
- 取材の一環として海猫亭を訪れ、☆3つの評価を下す。実家の父が倒れて一時帰郷した羽純に代わり、海猫亭を手伝う。
- 料理評論家としての分析能力やソムリエールとしての知識は豊富で、接客能力も高い。プロポーションも良いが、自他ともに「あと10キロ痩せれば」と言われる。
- 鷹村 信也(たかむら しんや)
- 「帝都ホテル」の総料理長。日本のフランス料理界の重鎮であり、日本のフレンチシェフからは「神」とも認識されている。
- 鰐口から推薦され、帝都ホテルの新館に新規オープンするレストランのセカンドに涼二を迎えるべく、海猫亭を訪れた。
- 美沢 凪子(みさわ なぎこ)
- 元アイドル。出身は石川県恋路(現・能登町)。
- そこそこファンもいたが、マネージャーの加賀と不倫の末、妊娠。人気が下火になった際に加賀からも捨てられ、傷心旅行で海猫島を訪れた。
- アイドル時代に涼二が見習いをしていたレストランで食事をしたことがあり、その時の笑顔が涼二には印象的であった。海猫亭でその時に食べていた料理を提供され、涼二からそのことを告げられたことで、心機一転。後に演歌歌手として再起を果たす(その際にも海猫亭が絡んでくる)。演歌で紅白歌合戦にも出場している。
- 鮎美の見立てでは、涼二に好意以上のものを持っているとのこと。
- 加賀(かが)
- アイドル時代の凪子のマネージャ。凪子と不倫し、妊娠させた過去もある。
- 凪子の後にも私費を投じてアイドル育成をしていたが、全て失敗に終わり、離婚。演歌歌手として再出発を果たした凪子に金銭をたかりに来るも、ヤクザ系興業事務所からの金の持ち逃げもあって、警察とヤクザの双方から追われる身となる。
- 鮫島(さめじま)
- パリのホテルで高志が総料理長を務めたときの副料理長。その前は「帝都ホテル」にも勤めており、フロント係だった江波も名前と腕前は知っている。
- 羽純の高校時代の先輩で、剣道部では日本一になったこともあり、羽純のファーストキスの相手でもある。羽純と高志を引き合わせたのだが、鮫島が羽純に交際を申し込んだのは高志との結婚数か月前だった。それが理由でパリのホテルも辞め、連絡先不明となっていたことで高志の葬儀には出席していない。
- 鱒田が肺炎手前の風邪をこじらせ入院となった際のヘルプとして羽純から声をかけられ、海猫亭を手伝いに来る。料理の腕前そのものは涼二よりもはるかに高く、涼二を見下し、指示などには従わず、厨房で煙草を吸うなど態度も悪かった。そこで涼二は鷹村を判定人として料理勝負を持ち掛けた。鮫島が作った「スズキのパイ包み ショロンソース」は鷹村に「完璧」とまで称され、他の海猫亭関係者も涼二の料理より美味いと感じる逸品。しかし、ソースに市販品を用いたこと、スズキまる一匹を用いて作るフランス料理であるため、1000円で提供する海猫亭の料理としては相応しくない料理として鷹村の軍配は涼二に上げる。その夜、羽純を襲おうとして涼二に殴られる。
- 涼二の口添えで、「帝都ホテル」に再雇用された後は、喫煙も止め、心機一転。「帝都ホテル」がミシュランの星獲得するのに尽力する。
- 蛭沼(ひるぬま)
- ヤクザ。鮎美を暴行罪したかどで収監される。出所後は、加賀が奪った金銭回収のために動くが、再び逮捕される。