毛皮のコートを着たニシン
毛皮のコートを着たニシン(けがわのコートをきたニシン、セリョートカ・バト・シューバイ、ロシア語: Селёдка под шубой)は、ロシアのサラダ料理。
内容[編集]
東ヨーロッパのアシュケナジム料理、バルト海沿岸やスカンジナビア地方の伝統料理、ロシアの前菜を組み合わせた料理である[1]。ロシアでは新年の祝いに欠かせない料理となっている[2]。
なお、アシュケナジム料理(東欧のユダヤ料理)に類似料理があるが、マヨネーズを用いないのが決定的な違いでもある。
ロシア革命後の1919年に創作された料理だと言われている[3]。
レシピの例[編集]
- 食材
- 作り方[1]
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- ジャガイモ、ニンジン、ビーツを茹でて、それぞれ粗くすりおろす。
- ニシンを細長く切る。
- タマネギを薄めの半円状に切る。
- 以下、盛り付け。
- ニシン、タマネギを盛り付ける。
- マヨネーズを上に塗る。
- ジャガイモをマヨネーズの上に重ねる。
- ニンジンを重ねる。マヨネーズ多めが好みなら、ジャガイモの上にマヨネーズを重ね、その上にニンジンでもよい。
- 最後に加えるのはビーツを重ねる。こちらも好みでマヨネーズを重ねてからビーツでもよい。
- 好みでゆで卵をつぶしたものを乗せる。
誕生の伝説[編集]
この料理の誕生については、いかのような伝説が流布している[1]。
排外主義と凋落はボイコットし殲滅に処すべし[編集]
小さな旅館兼居酒屋「ボゴミロフ屋」のシェフが、ニシンにジャガイモ数個、ビーツとフランスのプロヴァンス・ソースを加えて、すべての材料を一皿にまとめた料理を考案し、1919年の大晦日に提供した[1]。客の全員がこの新しい料理を楽しみ、そのため酒量が減って飲み過ぎることもなく、酔ったことに起因するひどい喧嘩も例年ほどは起きなかった[1]。
ジャガイモは小作民や農民を象徴し、ニシンはプロレタリア階級を象徴する。赤いビーツは血と共産主義を象徴し、これらを重ねた料理に付けられた名前が「ショヴニズム・イ・ウパドク — ボイコット・イ・アナフェマ(排外主義と凋落はボイコットし殲滅に処すべし、Шовинизму и Упадку - Бойкот и Анафема)」[1][2]。ソビエトではよく行われていたように、この文章の単語の頭文字を取って「шубой(ShUBA)」という略称を生んだ[1][2]。「шубой(ShUBA)」がロシア語の「毛皮コート」を意味する語であったため、現在の名称で呼ばれるようになった[1][2]。
その他の説[編集]
この料理には、高カロリーの野菜、脂肪分の多いニシンやマヨネーズが使われている[1]。
夏場に好まれる新鮮な野菜のサラダではなく、冬場に体温を温かく保つために体が必要とする高カロリーを含んだ食欲をそそるサラダなのである[1]。そのため、このサラダは、毛皮コートと同様に、冬場を乗り切るための料理として名付けられた[1]。