梁泰昊
梁 泰昊(ヤン テホ、1946年 - 1998年)は、ライター[1]。在日韓国人問題研究家[2]。
在日2世[3]。大阪生まれ[3]。1971年関西大学文学部史学科卒業[3][4]。日立就職差別闘争を契機として1975年に結成された民族差別と闘う連絡協議会(民闘連)の会員として民族差別撤廃闘争に携わる[5]。民闘連のリーダーの1人[6]。1970年代の権益擁護運動の潮流を象徴する存在[7]。1980年時点で尼崎在日同胞の人権を守る会[8]。1984年時点で民族差別と闘う兵庫連絡協議会会員[3]。1990年時点で会社員、民族差別と闘う兵庫連絡協議会会員、国際在日韓国・朝鮮人研究会会員[4]。
1984年に刊行した『부산[プサン]港に帰れない――「国際化」の中の在日朝鮮・韓国人』(創生社、発売:第三書館)において、「全体の八割を占める二世以降の世代にとって問題なのは「国籍」ではなく、在日朝鮮人であるという事実そのもの」(106頁)、「日本社会にあっては在日韓国・朝鮮人の異質性を認めつつ日本国籍の取得を認めることこそが民族差別をなくす道といえよう」(37頁)と問題提起し、在日の間で賛否両論の議論となった[9]。一部からは「ネオ同化主義」[9]「同化主義に手を貸す」などの批判がなされた[6]。
1985年3月1日に指紋押捺を拒否し、外国人登録法違反で起訴され、指紋押捺拒否裁判闘争を闘う[10]。1審(神戸地裁尼崎支部)で有罪判決を受け、大阪高裁で争うことになったが、昭和天皇死去の関係の恩赦で裁判が消滅した[11]。
姜尚中が「朝鮮系日本市民」の権益擁護運動の限界を指摘し、「祖国」への志向を「方法としての在日」として主張した際(「〈在日〉の現在と未来の間」『季刊三千里』第42号、1985年5月)、「事実としての在日」を対置して批判し(「事実としての在日――姜尚中氏への疑問」『季刊三千里』第43号、1985年8月)、姜と論争を行った[7]。崔洋一が『シティロード』1991年8月号でポーランド映画『金日成のパレード 東欧の見た“赤い王朝”』を批判した際、同誌9月号に反論を投稿し、崔と論争を行った[12]。
著書[編集]
単著[編集]
- 『부산[プサン]港に帰れない――「国際化」の中の在日朝鮮・韓国人』(創生社、発売:第三書館、1984年)
- 『サラム宣言――指紋押捺拒否裁判意見陳述』(神戸学生青年センター出版部、1987年)
- 『知っていますか? 在日韓国・朝鮮人問題一問一答』(解放出版社、1991年)
- 『在日韓国・朝鮮人読本――リラックスした関係を求めて』(緑風出版[プロブレムQ&A]、1996年)
共著[編集]
- 『創氏改名』(宮田節子、金英達共著、明石書店、1992年)
- 『知っていますか? 在日韓国・朝鮮人問題一問一答 第2版』(川瀬俊治共著、解放出版社、2001年)
- 『新在日韓国・朝鮮人読本――リラックスした関係を求めて』(山田貴夫共著、緑風出版[プロブレムQ&A]、2014年)
編著[編集]
- 『朝鮮人強制連行論文集成』(編、朴慶植、山田昭次監修、明石書店、1993年)
訳書[編集]
- 金璡『ドキュメント朴正煕時代』(亜紀書房、1993年)
- 魯樹旼『ソウル火の海』(光文社、1994年)
- 金敬勲編著『韓国が変わる――新世代の生活と意見』(亜紀書房、1995年)
- 李讃三『戦争になれば飢えは終わる――北朝鮮庶民の願いと現実』(三五館、1995年)
出典[編集]
- ↑ 梁泰昊、川瀬俊治『知っていますか? 在日韓国・朝鮮人問題一問一答 第2版』解放出版社、2001年
- ↑ 梁泰昊「「地方参政権」は歴史の通過点」『現代コリア』第355号、1995年10月
- ↑ a b c d 梁泰昊『부산港に帰れない――「国際化」の中の在日朝鮮・韓国人』創生社、発売:第三書館、1984年
- ↑ a b 大沼保昭編著『国際化――美しい誤解が生む成果』東信堂、1990年
- ↑ 琴秉洞、高柳俊男監修『朝鮮人の日本人観・総解説』自由国民社、1986年、190頁
- ↑ a b 飛田雄一「『知っていますか?在日韓国・朝鮮人問題一問一答』」『ひょうご部落解放』第45号、1991年12月
- ↑ a b 水野直樹、文京洙『在日朝鮮人――歴史と現在』岩波新書、2015年、201-204頁
- ↑ 「第6回民闘連全国交流集会の御案内」『朝鮮研究』第204号、1980年10月
- ↑ a b 桂川潤「民族的少数者の人権――在日韓国・朝鮮人の人権保障を考える視点から」『明治学院大学キリスト教研究所紀要』第23号、1990年10月
- ↑ 編集部「梁泰昊氏の指紋押捺拒否裁判闘争はじまる」『ひょうご部落解放』第26号、1987年3月
- ↑ 飛田雄一「在日韓国・朝鮮人と戦後50年」『ひょうご部落解放』第64号、1995年7月
- ↑ 「シティロード」「映画芸術」での『崔洋一× 梁泰昊 論争』 映画 『金日成のパレード』&『北朝鮮・素顔の人々』