柳生裸真剣
『柳生裸真剣』(やぎゅうらしんけん)は、永井豪の漫画作品。「柳生十兵衛が女性だったら」という架空設定にもとづいた歴史漫画である[1]。
『週刊ポスト』(小学館)誌上にて、2021年5月21日号(2021年5月10日発売)[2]から連載中。
あらすじ[編集]
柳生十兵衛は、将軍家の剣術指南役を務めていたが、実は男装の美女であった[2]。
自分が女性であることを幼少期から隠して、将軍・徳川家光との信頼関係を築いてきた十兵衛であったが、ある日、家光に裸を見られてしまう。家光は、十兵衛が女であることを知ると、十兵衛の身体を求めてきたが、十兵衛は断り、出奔する。怒った家光は十兵衛に刺客を放つ。追われる身となった十兵衛には「裸真剣」奥義を駆使し、追っ手を討ち払う逃亡の日々が始まった。
創作の経緯[編集]
『週刊ポスト』編集部からの依頼は「色っぽい連載を」であり、こういった依頼内容は『キューティーハニー』連載開始前の依頼と同様であった[1]。
永井が1968年に連載した『ハレンチ学園』では、ヒロインは「十兵衛」と呼ばれる、「柳生みつ子」であるが、柳生十兵衛その人である[1]。永井には「強い女性像を描きたい」との考えがあり、「十兵衛が本当に女だったら」という素案も『ハレンチ学園』執筆当時からあった[1]。
史実では、柳生十兵衛が将軍・徳川家光の元を去っており、その理由について各種の創作物で様々な見解、設定が作られている。本作でもこの「謎」について永井なりのストーリーが組み立てられている[1]。
本作の柳生十兵衛には「脱げば脱ぐほど強くなる」というキャッチフレーズが付けられており、対戦相手の刀によって十兵衛の着物を斬られ、肌が露わになっていくほど剣が冴える設定となっている[3]。
裸体の描き方としては、『キューティーハニー』の如月ハニーはアンドロイドであり、柔らかな身体のラインを持っているのに対し、本作の十兵衛は割れた腹筋に鍛えられた上腕が描かれている[3]。これは、十兵衛が剣豪であることから、女性ながらも筋骨隆々のアスリート体型に設定していると共に、剣豪として男性的な心を持っていることを表している[3]。
「戦うヒロイン」という観点からは、永井は『デビルマンレディー』も描いているが、デビルマンレディーの主人公・不動ジュンは、女性性が強く、「なぜ戦っているのか」という悩みを抱える女性でもあったことから、永井自身も描いていてつらいことがあった[3]。本作の十兵衛は、身体は女性だけが、自分は男と思っており、このほうが面白く描けると永井は考えている[3]。
実写版[編集]
楓ふうあが本作の柳生十兵衛に扮し、作品世界を「完全再現」したヘアヌード写真集『実写版柳生裸真剣』が2022年に発売されている。カメラマンは松田忠雄。
脚注[編集]
- ↑ a b c d e 輔老心 (2023年12月8日). “【『柳生裸真剣』連載100回突破】永井豪インタビュー「昔から強い女性像を描きたかったんでしょうね」”. NEWSポストセブン. p. 1. 2025年8月15日確認。
- ↑ a b “「週刊ポスト」本日発売! 小池都知事「五輪中止爆弾」ほか”. NEWSポストセブン (2021年5月10日). 2025年8月15日確認。
- ↑ a b c d e 輔老心 (2023年12月8日). “【『柳生裸真剣』連載100回突破】永井豪インタビュー「昔から強い女性像を描きたかったんでしょうね」”. NEWSポストセブン. p. 2. 2025年8月15日確認。