東上高志
東上 高志(とうじょう たかし、1930年1月27日[1] - )は、教育学者。
経歴[編集]
京都府竹野郡網野町(現・京丹後市)[2][3]の禅寺の次男に生まれる[4]。1945年旧制中学校卒業。1949年京都師範学校卒業。網野町立網野中学校に就職[3]。1951年京都市立西院小学校に移ると同時に立命館大学文学部二部日本史専攻の3回生に編入学[3][4]。1953年立命館大学文学部二部日本史専攻卒業[5]、社団法人部落問題研究所に助手として入所。1960年専任研究員[6]、1963年4月理事・事務局長[7]。この間、1958年立命館大学大学院文学研究科修士課程修了[8]。1964年11月『同和教育の歴史』(汐文社、1963年)で毎日出版文化賞受賞[7]。1966年1月の文化厚生会館事件では部落解放同盟(朝田派)との対決を主導。1962年度から立命館大学非常勤講師として教職科目「同和教育」を担当したが、1966年5月に部落解放同盟京都市協議会から大学側に『部落』1966年4月号掲載の「東北の部落」は差別ルポであるとして、執筆した東上の善処を要求する申し入れが行われ、学生・教職員間で対立が起きた[9]。
1982年3月部落問題研究所常務理事・事務局長を辞任。同年4月滋賀大学教育学部に移り[10][11]、助教授、1983年教授。1995年定年退官[12]。大学勤務中も部落問題研究所の非常勤の常務理事を務めた[10]。1999年3月部落問題研究所常務理事を辞任。同年4月理事を退任[13]、顧問に就任[14]。
人物[編集]
同和教育研究をリードした[13]。北原泰作、榊利夫、中西義雄、藤谷俊雄、馬原鉄男、成沢栄寿らと並ぶ日本共産党・全国部落解放運動連合会(全解連)系の論客、「国民的融合論」者[15][16][17][18]。日本共産党員であるとされる[19][20]。思想の科学研究会会員[20][21]。
1965年5月に東上の提起で杉山明男と佐古田好一を中心に部落問題研究所内に「同和教育教材研究会」が発足。住井すゑ、西郷竹彦、杉山明男、佐古田好一の4名によって文学読本編集委員会が構成され、文学読本『はぐるま』が刊行[22]。文化厚生会館事件の後、『はぐるま』掲載の文学教材を対象とした研究集会を「はぐるま研究会」として発足させた[13][22]。1974年に全国同和教育研究協議会(全同教)に対抗し、『はぐるま』を中心にした研究運動を発展させた「同和教育における授業と教材研究会」(同授研)の発足を主導した[13]。同授研幹事[23]、のち代表幹事[24]。1996年の同授研の「どの子も伸びる研究会」への発展を主導[13]。1998年3月に「どの子も伸びる研究会」代表幹事を退任し、顧問に就任[13]。
著書[編集]
単著[編集]
- 『教育への抗議』(潮文社、1957年)
- 『差別――部落問題の手びき』(三一書房[三一新書]、1959年)
- 『新版 差別』(三一書房[三一新書]、1969年)
- 『同和教育論』(新評論[現代教育論叢書]、1960年)
- 『差別はごめんだ』(明治図書出版[教育問題新書]、1963年)
- 『同和教育の歴史』(汐文社、1963年)
- 『部落解放の教育』(汐文社、1963年)
- 『同和教育入門――国民のための部落問題』(汐文社、1964年)
- 『ぼくらの部落問題1 部落の歴史と現状』(汐文社、1964年)
- 『ぼくらの部落問題2 部落問題』(汐文社、1964年)
- 『同和教育の全体像』(汐文社、1969年)
- 『やさしい部落問題』(部落問題研究所、1970年、新版1985年)
- 『みんなの部落問題』(部落問題研究所出版部[同和教育読本]、1971年、改訂版1972年)
- 『みんなの部落問題1 部落問題とはなにか』(汐文社[同和教育読本]、改訂版1975年、再改訂版1977年)
- 『部落をどう教えるか』(部落問題研究所、1971年)
- 『国民のための部落問題(全5巻)』(汐文社、1972年)
- 「第1巻 同和教育入門」
- 「第2巻 続 同和教育入門」
- 「第3巻 同和教育の考え方進め方」
- 「第4巻 戦後同和教育のあゆみ」
- 「第5巻 同和教育の全体像」
- 『部落差別と学習運動』(部落問題研究所出版部[同和教育叢書]、1973年)
- 『やさしい同和教育』(部落問題研究所、1974年)
- 『同和教育運動の理論と実践』(部落問題研究所出版部、1974年)
- 『みんなの部落問題2 部落問題はなぜ全国民の問題か』(汐文社[同和教育読本]、1975年、改訂版1982年)
- 『ドキュメント八鹿高校事件』(汐文社、1975年)
- 『社会同和教育の考え方進め方』(部落問題研究所出版部[同和教育シリーズ]、1975年)
- 『社会・生涯教育文献集IV-33 社会同和教育の考え方進め方』(日本図書センター[日本現代教育基本文献叢書]、2001年)
- 『みんなの部落問題』(部落問題研究所出版部[同和教育読本]、1976年/部落問題研究所、新版1985年)
- 『みんなの部落問題3 部落問題とどうとりくむか』(汐文社[同和教育読本]、1976年)
- 『小学校の部落問題学習』(部落問題研究所出版部[同和教育叢書]、1976年)
- 『テキスト親と子の部落問題学習』(部落問題研究所出版部、1977年)
- 『いまこそ同和教育を』(部落問題研究所出版部、1977年)
- 『未解放部落――小さな部落の大きな歩み』(部落問題研究所出版部、1978年)
- 『部落問題をどう教えるか』(部落問題研究所[はぐるまシリーズ]、1979年)
- 『同和教育の全体像と具体像』(部落問題研究所出版部、1980年)
- 『講座これからの同和教育』(部落問題研究所出版部、1981年)
- 『働くものの同和問題――同和教育テキスト』(部落問題研究所出版部、1981年)
- 『人物でつづる戦後同和教育の歴史(上・下)』(部落問題研究所出版部、1982年)
- 『これからの同和教育』(部落問題研究所出版部[同和教育の実践]、1982年)
- 『戦後同和教育史』(青木書店、1982年)
- 『東上高志同和教育著作集(全26巻)』(1-10巻:あゆみ出版、1984年/11-15巻:あざみの書房、1987年/16-26巻:部落問題研究所、1993年)
- 『人間権の教育』(あゆみ出版[あゆみ教育学叢書]、1984年)
- 『部落問題の授業』(あゆみ出版[あゆみブックレット]、1984年)
- 『仲間たち――学校・地域・職場を結ぶ新しい同和教育テキスト』(みゆきてつ劇画、部落問題研究所、1984年)
- 『やさしい学校同和教育』(部落問題研究所、1985年)
- 『やさしい企業内同和研修』(部落問題研究所、1985年)
- 『岐路に立つ同和教育』(部落問題研究所出版部、1985年)
- 『同和啓発の考え方進め方』(部落問題研究所、1986年)
- 『同和教育入門』(同和教育実践選書刊行会[同和教育実践選書]、1987年)
- 『差別はごめんだ』(同和教育実践選書刊行会[同和教育実践選書]、1987年)
- 『芦原同和教育講座』(同和教育実践選書刊行会[同和教育実践選書]、1987年)
- 『現代の部落問題と教育実践』(同和教育実践選書刊行会[同和教育実践選書]、1987年)
- 『大学の同和教育』(同和教育実践選書刊行会[同和教育実践選書]、1987年)
- 『社会同和教育・社会啓発の実践』(同和教育実践選書刊行会[同和教育実践選書]、1987年)
- 『いま同和教育を考える』(あずみの書房、1987年)
- 『同和教育はいま――新しい学習テキスト』(部落問題研究所、1987年)
- 『移行期の部落問題と教育』(部落問題研究所出版部、1988年)
- 『啓発活動はいま』(部落問題研究所、1988年)
- 『「法」以後の同和教育を考える』(部落問題研究所、1989年)
- 『部落問題解決への見取図1 大津からのレポート』(部落問題研究所、1989年)
- 『移行期の部落を行く』(未來社、1989年)
- 『ちょっとまて部落問題・同和教育』(部落問題研究所、1992年)
- 『どうなるどうする同和教育』(部落問題研究所、1993年)
- 『人権の教育としての同和教育』(部落問題研究所、1994年)
- 『「同和啓発」を考える』(部落問題研究所[部落研ブックレット]、1994年)
- 『同和教育の終結と新しい展開』(部落問題研究所[部落研ブックレット]、1995年)
- 『部落問題学習・啓発の終結を』(部落問題研究所[部落研ブックレット]、1997年)
- 『現在、部落問題とは――部落問題研究所50年の歴史』(部落問題研究所、1998年)
- 『川端分館の頃――激動期の部落問題と私』(部落問題研究所、2004年)
- 『教師の仕事の「基礎・基本」』(たかの書房、2005年)
- 『部落問題解決過程の証言――研究所の70年を中心に』(部落問題研究所、20年)
- 『部落問題とは何だったのか 東上高志の仕事1 部落問題の実相』(部落問題研究所、2020年)
- 『部落問題とは何だったのか 東上高志の仕事2 同和事業と逆流』(部落問題研究所、2020年)
- 『部落問題とは何だったのか 東上高志の仕事3 同和教育とは』(部落問題研究所、2021年)
- 『日本教育の青春と部落問題』(部落問題研究所、2022年)
- 『部落問題研究所とは何だったのか』(部落問題研究所、2026年)
共著[編集]
- 『バラック学校』(村橋端、佐々木一行、八木みき、浜本収、岩井はらゑ、てらもと・さとる共著、潮文社、1957年)
- 『部落問題の授業』(野矢一郎、谷口幸男共著、青木書店[どの子も伸びる教育実践シリーズ]、1983年)
- 『写真記録 部落』(文、藤川清写真、柏書房、1984年)
- 『90年代の部落問題――「法」以後への提起』(杉之原寿一、馬原鉄男共著、部落問題研究所、1990年)
- 『反省!部落問題学習』(水谷孝信共著、部落問題研究所、1995年)
編著[編集]
- 『教育革命』(編、部落問題研究所出版部[同和教育シリーズ]、1962年)
- 『社会教育の手引』(編著、汐文社、1963年)
- 『図説部落問題1 人間みな兄弟』(編、汐文社、1965年)
- 『図説部落問題2 憲法』(編、汐文社、1965年)
- 『わたしゃそれでも生きてきた――部落からの告発』(編、部落問題研究所出版部[同和教育シリーズ]、1965年)
- 『世に出ていく君たちに(1-6)』(住井すゑ、宮原誠一、小川太郎共編、汐文社、1966年)
- 『人権・差別・部落』(小倉襄二共編、全国社会福祉協議会[全社協選書]、1973年)
- 『解放教育――教育支配の実態とたたかい』(編、部落問題研究所出版部、1977年)
- 『部落問題学習の資料と手引』(編、部落問題研究所出版部、1980年)
- 『文学教育の実践(1 低学年篇、2 中学年篇、3 高学年篇)』(佐古田好一、杉山明男共編、青木書店[どの子も伸びる教育実践シリーズ]、1983年)
- 『人権と差別』(編、あゆみ出版[中学校教育実践選書]、1983年)
- 『同和教育』(中島修、原田覚次共編、あゆみ出版[中学校教育実践選書]、1983年)
- 『社会同和教育入門』(編著、同和教育実践選書刊行会[同和教育実践選書]、1987年)
- 『部落子ども会』(編著、同和教育実践選書刊行会[同和教育実践選書]、1987年)
- 『どの子も伸びる家庭塾』(岸本裕史共編著、部落問題研究所、1989年)
- 『部落問題解決への見取図5 日野町からのレポート――同和対策課を廃止して新しい町づくりへ』(編、部落問題研究所、1992年)
- 『「部落問題学習」の考え方・すすめ方――小・中・高でどうとりくむか』(編、部落問題研究所、1993年)
- 『同和教育の終わり』(編著、部落問題研究所、1996年)
- 『「部落の終わり」がはじまる――「夜明け」を実現した町から』(編著、部落問題研究所、1998年)
- 『校長の死と「日の丸・君が代」――「解放教育」の一掃のために』(編著、部落問題研究所、1999年)
- 『育ち合う教育学――戦後日本教育の核心』(河瀬哲也共編著、部落問題研究所出版部、2015年)
- 『八鹿高校事件から半世紀――「日本教育の青春」と同和教育』(編著、部落問題研究所、2023年)
出典[編集]
- ↑ 東上高志『東上高志同和教育著作集 第11巻 戦後部落問題の出発』あずみの書房、1987年、254頁
- ↑ 東上高志等著『バラック学校』潮文社、1957年、1頁
- ↑ a b c 東上高志『東上高志同和教育著作集 第11巻 戦後部落問題の出発』あずみの書房、1987年、248頁
- ↑ a b 東上高志『東上高志同和教育著作集 第11巻 戦後部落問題の出発』あずみの書房、1987年、251頁
- ↑ 『立命館大学校友名簿 昭和45年』立命館大学校友会、1970年、116頁
- ↑ 「文化厚生会館問題について」『部落』第200号、1966年3月
- ↑ a b 東上高志『いま同和教育を考える』あずみの書房、1987年、96頁
- ↑ 東上高志『やさしい学校同和教育』部落問題研究所、1985年
- ↑ 立命館大学産業社会学部二〇年小史編纂委員会編『学部づくりの二十年――立命館大学産業社会学部二十年小史』立命館大学産業社会学部二〇周年記念事業実行委員会、1984年、31-32頁
- ↑ a b 東上高志『いま同和教育を考える』あずみの書房、1987年、103頁
- ↑ 東上高志『いま同和教育を考える』あずみの書房、1987年、著者紹介
- ↑ 部落問題とは何だったのかー東上高志の仕事-部落問題の実相―東上高志の仕事〈1〉 紀伊國屋書店
- ↑ a b c d e f 「部落問題研究所ひとすじ――「東上高志常務理事の労に謝する会」の記録」『部落』第650号、1999年7月
- ↑ 「部落問題をめぐる主な動き(略年表)」『部落』第670号、2000年12月
- ↑ 津村喬「もう一つの東京都論」『現代の理論』1975年7月号
- ↑ 大賀正行「第2分科会 部落解放理論の諸問題」『部落解放』第125号、1978年11月
- ↑ 亀井トム「部落史論争の批判――本当の転換とみせかけの転換」『現代の理論』1980年12月号
- ↑ 田中欣和編著『解放教育論再考――教育労働者の今日的課題』柘植書房、1981年
- ↑ 佐和慶太郎『部落解放の歴史と現実』三一書房、1976年
- ↑ a b 森秀人『実録・我が草莽伝――知識人たちの終宴』東京白川書院、1982年、44頁
- ↑ 東上高志『東上高志同和教育著作集 第11巻 戦後部落問題の出発』あずみの書房、1987年、244頁
- ↑ a b 東上高志「あとがき」、佐古田好一、杉山明男、東上高志編『文学教育の実 3 高学年篇』青木書店、1983年
- ↑ 東上高志「「同和教育における授業と教材研究会」(同授研)が発足」『部落』第319号、174年10月
- ↑ 同和教育における授業と教材研究協議会編『国語教科書攻撃と文学の授業』青木書店、1982年