拳銃天使
『拳銃天使』(けんじゅうてんし)は手塚治虫による西部劇漫画。
概要[編集]
1949年4月に東光堂から描き下ろしの貸本向け漫画本として刊行された。
当時の日本では西部劇映画がブームとなっており、それにあやかった作品である。しかし、手塚本人は西部劇にはさほど興味もなく、これまで西部劇映画も見たことはなかった。手塚は、1946年のアメリカ映画『悪漢バスコム(Bad Bascomb)』を作画の参考にしており、この映画の影響が各所に見られる。
当初、悲劇的な結末で終了するはずだったが、主人公が哀れ過ぎるということで、出版間際になってハッピー・エンドとなる原稿を追加したのだが、製本のミスによって追加分は奥付の後になってしまった。読み終わり、奥付をめくると、意外な結末が待っていたという構成になったことで、かえって評判となった。
日本の児童向け漫画として初とされるキスシーンが描かれており、発表当時には手塚がPTA的な一部の人に抗議を受けただけでなく、当時の(おそらく)日本共産党系の児童文学派からも攻撃を受けた[1]。
あらすじ[編集]
ニューメキシコ州とアリゾナ州との境にある小さな田舎町。この町の悪徳警官ハム・エッグは、町長と手を組んで町を支配しようと企んでいた。しかし、それにはインディアン青年モンスターが邪魔だった。
ハム・エッグはインディアン討伐隊を派遣するが、敗退。その際に町の少年ジムがインディアンたちに捕らえられてしまう。ジムはインディアンたちに殺されれようとしたが、モンスターに助けられ、仲間となって銃の腕を磨く。
大金持ち・サットンの姪・アンナは駅馬車のモンスターと出会い、恋に落ちる。
ハム・エッグはモンスターに懸賞金をかける。しかし、ハム・エッグの悪行が明らかになったことで、逆にハム・エッグは町を追い出されてしまう。ハム・エッグは仲間を引き連れて町を襲い、アンナを誘拐しようとするが、これもモンスターによって阻まれた。
モンスターとアンナの恋が成就するかに見えたが、モンスターは逮捕されてしまった。
その後、恩赦によってモンスターは自由に身となり、逆にハム・エッグは悪事が露見して掴まってしまうのだった。
脚注[編集]
- ↑ 貴志元則 『恋獄漂流』 グループ・ゼロ、2017年、電子書籍版、261頁。
外部リンク[編集]
- 拳銃天使 - 手塚治虫公式サイト