定年食
ナビゲーションに移動
検索に移動
「定年食」(ていねんしょく)は筒井康隆による短編小説。
『小説新潮』(新潮社)の1975年4月号に掲載された。『メタモルフォセス群島』(1976年、新潮社)などに収録されている。
あらすじ[編集]
人口増による食糧難が問題となっている世界。
吉村は55歳の誕生日を迎え、働く会社を定年退職となった。
家に戻ると親戚一同が集まり、ささやかな宴席を設けていた。一同は「かにばるのならいめでたや」と歌い、原料不足から入手困難な二級酒[1]を吉村に勧める。軽く酔いが回った吉村の首を一刀の下に落とす。
親戚一同は吉村の皮を剥ぎ、肉を骨から落とし、血液を溜め、解体作業を続ける。どこそこの人は最後に醜態をさらしたのに比べ、吉村は立派だった、自分はどうだろうなどと会話を続けながら。(小説の後半は延々と解体作業が克明に描写されている)
久々の正肉、内臓肉を手に親戚一同は解散となる。
吉村の妻は、これは貴女にと残された吉村の陰茎を前に、どうしたものかと考え込む。