反戦のための万国博

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反戦のための万国博(通称:ハンパク)は、1969年8月大阪城公園で開催された市民主導の文化イベントであり、ベトナム戦争安保闘争に対する反戦反体制の意思を表現する場として企画された。翌年に控えた1970年大阪万博に対するオルタナティブな対抗イベントとして位置づけられる。

概要[編集]

1969年8月、大阪城公園にて「反戦のための万国博」(以下ハンパク)が開催された。このイベントは、翌年に控えた政府主導の1970年日本万国博覧会に対する市民側からの対抗的な文化祭として企画されたものである。ベトナム戦争や安保闘争が激化する中、戦争と体制への抗議を芸術音楽演劇などの表現を通じて訴える場として、多くの市民団体や若者が参加した。会期中には延べ6万人が来場したとされ、草の根の文化運動として大きな注目を集めた。

目的と背景[編集]

ハンパクの開催目的は、「人類の平和と解放のために」というスローガンに象徴されるように、戦争への反対と体制批判を市民の手で可視化することにあった。特にベトナム戦争への日本の関与や、安保条約改定に対する抗議の声が高まる中、政府主導の万博が「経済成長と技術礼賛の祭典」として進められることに対し、民衆の視点から異議を唱える必要があると考えられた。ハンパクは、祝祭性に覆われた万博に対して、現実の社会問題に目を向けるオルタナティブな空間を創出する試みだった。

主な内容[編集]

イベントでは、フォークソングライブ演奏、反戦演劇、の朗読、即興パフォーマンスなど多彩な文化表現が展開された。また、各参加団体が独自のブースを設け、ベトナム戦争の実態を伝える写真や資料、反戦パンフレットなどを展示した。会期中には「日刊ハンパク」という新聞形式の記録紙が発行され、イベントの様子や参加者の声がリアルタイムで記録された。これらの活動は、単なる抗議ではなく、創造的な表現を通じて社会に問いを投げかけるものだった。