勅撰和歌集
勅撰和歌集(ちょくせんわかしゅう)は、天皇または上皇・法皇の命によって編纂された公的な和歌集。平安時代の『古今和歌集』から室町時代の『新続古今和歌集』まで21集があり、最初の3集を三代集、最初の8集を八代集、それ以降を十三代集、全体を二十一代集という。南朝の宗良親王を撰者とする『新葉和歌集』は准勅撰和歌集とされる。『小倉百人一首』は10の勅撰和歌集から和歌が選ばれている。
三代集[編集]
平安時代に編纂された『古今和歌集』『後撰和歌集』『拾遺和歌集』の3集の総称。「代」は醍醐天皇・村上天皇・花山天皇の3代を指す。源俊頼の『俊頼髄脳』(1112年頃)で用いられている。藤原清輔の『袋草紙』(1156~1159年頃)によると、拾遺集成立以前は『万葉集』を含めていた。藤原定家は『詠歌大概』(1220年前後)で「詞は三代集の先達の用ゆる所を出づべからず。新古今の古人の歌は同じくこれを用ゆべし」と述べている。
- 古今和歌集
- 窪田章一郎校注『古今和歌集』(角川ソフィア文庫、1973年)
- 久曾神昇全訳注『古今和歌集(全4巻)』(講談社学術文庫、1979-83年)
- 佐伯梅友校注『古今和歌集』(岩波文庫、1981年)
- 小町谷照彦訳注『古今和歌集』(旺文社文庫、1982年/ちくま学芸文庫、2010年)
- 高田祐彦訳注『新版 古今和歌集 現代語訳付き』(角川ソフィア文庫、2009年)
- 片桐洋一『古今和歌集全評釈(上・下)』(講談社学術文庫、2019年)
- 後撰和歌集
- 松田武夫校訂『後撰和歌集』(岩波文庫、1945年)
- 拾遺和歌集
八代集[編集]
三代集に平安時代後期から鎌倉時代初期に編纂された『後拾遺和歌集』『金葉和歌集』『詞花和歌集』『千載和歌集』『新古今和歌集』をあわせた8集の総称。藤原定家の『明月記』や順徳天皇の『八雲御抄』など鎌倉時代初期から用いられている。藤原俊成女の作とされる『無名草子』(1196~1202年頃)では『万葉集』から『千載和歌集』までを八代集としている。
- 後拾遺和歌集
- 金葉和歌集
- 詞花和歌集
- 松田武夫校訂『詞華和歌集』(岩波文庫、1939年)
- 工藤重矩校注『詞花和歌集』(岩波文庫、2020年)
- 千載和歌集
- 久保田淳校注『千載和歌集』(岩波文庫、1986年)
- 新古今和歌集
- 佐佐木信綱校訂『新訂 新古今和歌集』(岩波文庫、1929年)
- 久保田淳訳注『新古今和歌集(上・下)』(角川ソフィア文庫、2009年)
十三代集[編集]
八代集以後に編纂された『新勅撰和歌集』『続後撰和歌集』『続古今和歌集』『続拾遺和歌集』『新後撰和歌集』『玉葉和歌集』『続千載和歌集』『続後拾遺和歌集』『風雅和歌集』『新千載和歌集』『新拾遺和歌集』『新後拾遺和歌集』『新続古今和歌集』の13集の総称。南北朝時代の『遊覚往来』や『異制庭訓往来』では八代集に新勅撰集・続後撰集・続古今集・続拾遺集・新後撰集をあわせた13集を十三代集としている。十三代集の内、以下のものが文庫化されている。
一覧[編集]
番号 | 書名 | 総称 | ||
---|---|---|---|---|
1 | 古今和歌集 | 三代集 | 八代集 | 二十一代集 |
2 | 後撰和歌集 | |||
3 | 拾遺和歌集 | |||
4 | 後拾遺和歌集 | |||
5 | 金葉和歌集 | |||
6 | 詞花和歌集 | |||
7 | 千載和歌集 | |||
8 | 新古今和歌集 | |||
9 | 新勅撰和歌集 | 十三代集 | ||
10 | 続後撰和歌集 | |||
11 | 続古今和歌集 | |||
12 | 続拾遺和歌集 | |||
13 | 新後撰和歌集 | |||
14 | 玉葉和歌集 | |||
15 | 続千載和歌集 | |||
16 | 続後拾遺和歌集 | |||
17 | 風雅和歌集 | |||
18 | 新千載和歌集 | |||
19 | 新拾遺和歌集 | |||
20 | 新後拾遺和歌集 | |||
21 | 新続古今和歌集 |