ランボルギーニ・アヴェンタドール

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ランボルギーニ・アヴェンタドール(Lamborghini Aventador)は、イタリアの自動車メーカー、ランボルギーニが製造していたスポーツカーである。2011年のジュネーブモーターショーで発表され、2022年まで生産された。

概要[編集]

アヴェンタドールは、2001年から2010年まで生産されたランボルギーニ・ムルシエラゴの後継モデルとして開発された。開発コードは「LB834」。ランボルギーニのフラッグシップモデルとして、その時代における最先端の技術とパフォーマンスを追求し、ブランドのイメージを牽引する役割を担った。車名の「アヴェンタドール」は、1993年にサラゴサで活躍した雄牛の名前に由来する。

歴史[編集]

発表と初期モデル (LP 700-4)[編集]

2011年3月のジュネーブモーターショーで、アヴェンタドール LP 700-4が発表された。LP 700-4の「LP」は「Longitudinale Posteriore」(縦置きミッドシップ)、「700」は最高出力700PS、「4」は四輪駆動を意味する。新開発の6.5L V型12気筒自然吸気エンジン「L539」を搭載し、最高出力700PS、最大トルク690Nmを発揮した。トランスミッションには、従来のeギヤに代わり、新開発の7速ISR(インディペンデント・シフティング・ロッド)を採用。これはシングルクラッチでありながら、デュアルクラッチトランスミッションに匹敵する変速スピードを実現した。

ボディにはカーボンファイバー製のモノコックシャシーが採用され、軽量化と高剛性を両立。サスペンションはF1マシンに採用されるプッシュロッド式サスペンションが市販車として初めて導入された。内外装のデザインは、ランボルギーニ・レヴェントン航空機、ステルス戦闘機などからインスピレーションを受けている。

ロードスターモデル[編集]

2012年11月、アヴェンタドール LP 700-4 ロードスターが発表された。クーペモデルのルーフを電動格納式のカーボンファイバー製ハードトップに変更したモデルで、着脱式ルーフは2枚に分割され、車両前方の収納スペースに収めることができる。

派生モデルと限定モデル[編集]

アヴェンタドールは、その生産期間中に数多くの派生モデルや限定モデルが発表された。

  • アヴェンタドール LP 750-4 SV (SuperVeloce): 2015年のジュネーブモーターショーで発表された軽量・高性能モデル。エンジン出力は750PSに向上し、車両重量も50kg軽量化された。空力性能も向上しており、よりサーキット走行に特化したモデルとなっている。
  • アヴェンタドール LP 750-4 SV ロードスター: 2015年に発表されたLP 750-4 SVのロードスターバージョン。
  • アヴェンタドール S: 2016年12月に発表されたマイナーチェンジモデル。エンジン出力は740PSに向上し、新たに四輪操舵システム「ランボルギーニ・リアホイールステアリング(LRS)」とマグネティック・レオロジカル・サスペンション(MRS)を搭載。空力性能も見直され、内外装デザインもリフレッシュされた。
  • アヴェンタドール S ロードスター: 2017年に発表されたアヴェンタドール Sのロードスターバージョン。
  • アヴェンタドール SVJ (SuperVeloce Jota): 2018年に発表された、アヴェンタドールの高性能モデルの最終進化形。エンジン出力は770PSに向上し、空力デバイス「ALA(Aerodinamica Lamborghini Attiva)」を搭載。ニュルブルクリンク北コースで市販車最速記録(当時)を樹立した。
  • アヴェンタドール SVJ ロードスター: 2019年に発表されたアヴェンタドール SVJのロードスターバージョン。
  • アヴェンタドール LP 780-4 Ultimae: 2021年に発表されたアヴェンタドールの最終限定モデル。生産終了を記念してクーペ350台、ロードスター250台が製造された。エンジン出力は780PSに引き上げられ、これまでのアヴェンタドールの集大成となるモデルとして位置づけられた。

その他にも、ワンオフモデルや極少数生産の限定モデルが多数発表されている。

エンジン[編集]

アヴェンタドールには、ランボルギーニが独自開発した新型の6.5L V型12気筒自然吸気エンジン「L539」が搭載された。このエンジンは、ムルシエラゴに搭載されていたV12エンジンとは異なり、完全に新設計されたものである。最高回転数は8,500rpmに達し、高回転まで気持ちよく吹け上がる特性を持つ。

シャシーとサスペンション[編集]

アヴェンタドールは、ランボルギーニ初のカーボンファイバー製モノコックシャシーを採用した量産車である。これは、航空宇宙産業で培われた技術を応用し、極めて高い剛性と軽量化を実現した。サスペンションは、F1マシンに採用されているプッシュロッド式サスペンションを市販車として初めて採用。これにより、路面追従性が向上し、優れたハンドリングと乗り心地を実現している。

デザイン[編集]

アヴェンタドールのデザインは、チーフデザイナーのフィリッポ・ペリーニが担当した。ムルシエラゴから引き継がれたシャープなラインと、レヴェントン戦闘機からインスピレーションを得た複雑な面構成が特徴である。シザードア(跳ね上げ式ドア)もランボルギーニのフラッグシップモデルの伝統として採用された。

評価[編集]

アヴェンタドールは、その圧倒的なパフォーマンス、アグレッシブなデザイン、そしてランボルギーニのV12エンジンが奏でるサウンドで世界中の自動車愛好家から高い評価を得た。発表から生産終了まで、常にスーパーカー市場の最前線に君臨し続けたモデルである。

豆知識[編集]

  • アヴェンタドールの開発には、約4年の歳月が費やされた。
  • アヴェンタドールの最初の試作車は、生産モデルと外観が大きく異なっていたという。
  • アヴェンタドールの生産台数は、最終的に11,000台を超えたと言われている。

関連項目[編集]

参考書籍[編集]

  • 『ランボルギーニ大全』、ネコ・パブリッシング
  • 『ワールド・スーパーカー・ガイド』、モーターマガジン社