ドイツ語のアルファベットと発音

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この項ではドイツ語のアルファベットと発音の規則について取り扱う。

概要[編集]

難しいと言われるドイツ語の発音だが、実は意外と簡単で母音が不規則な英語とは違いローマ字読みでそのまま発音する。

アクセント[編集]

基本的に、最初の母音にアクセントがある。アクセントのある母音の次に子音+母音なら長音、子音が続く場合は短音となる。例:Lanen ラーネン(学ぶ)、sprechen シュプレッヘン(話す・喋る)

ただし二重母音がある場合はその二重母音にアクセントが置かれる。例:Slowakei スロヴァカイ(スロバキア)、Studieren シュトゥディーレン(勉強する)

アルファベット一覧[編集]

キャプション文
文字 読み 備考
A a アー [a]を表す。
B b ベー [b]
C c ツェー 単独では外来語に多い。a,o.uの前にしか基本来ない。その時は[k]。ただしsch、chなどのダイグラフでは頻繁に用いられる。
D d デー [d]
E e エー [e]。アクセントがあるときはイとエの中間音になる。
F f エフ [f]
G g ゲー [g]
H h ハー [h]。母音の後の場合はその母音は長母音化する。日本語のー(伸ばし棒)と役割が近い。
I i イー [i]。アクセントがあるときはイとエの中間音になる。
J j イット [j]。スラブ系の言語と違って半母音としてはほぼ用いられない。例外はPjögjang(平壌)とか。
K k カー [k]
L l エル [l]
M m エム [m]
N n エヌ [n]
O o オー [o]または[ɔ]
P p ペー [p]
Q q クー quとして用いられる。[kv]
R r エル [r]。巻き舌エル
S s エス [s]と[z]、s+母音は[z]になり、ss+母音は[s]。
T t テー [t]
U u ウー [u]。アクセントがあるときは[o]に近くなる。
V v ファウ [f]
W w ヴェー [v]。地名などで語末では[w]
X x イクス [ks]
Y y ヨット [i]。母音はとしてはほぼ用いられない。ダイグラフの最後にあることが多い。
Z z ツェータ [ts]
Ä ä アー・ウムラウト(ヱー) [æ]。アとエの中間音。アの口をしてエと発音する。aeで代用可能。
Ö ö オー・ウムラウト(オェー) [ø]。オとエの中間音。オの口をしてエと発音する。弱い音のウに聞こえる。oeで代用可能。
Ü ü ウー・ウムラウト(ィユー) [y]。ウの口をしてイと発音する。ueで代用可能。
ß エスツェット [s]。ssはアクセントのある母音が短母音化するのに対してßは長母音である。要するにssとßの違いは直前の母音が短母音であるか長母音であるかの違い。また二重母音の後にくるのもこれ。ssで代用可能。

発音の注意事項[編集]

二重母音[編集]

  • ei,ai,ay,ey:[ai](アイ)例:sein ザイン(いる、である、3人称男性系の2格)、Bayern バイエルン(地名)
  • eu,äu,oi:[ɔi](オイ)例:Preußen プロイセン(地名)
  • au:[aɔ](アオ):Auf アオフ(前置詞の上に、の上で)
  • ie:[iː](イー):spierenシュピーレン(遊ぶ、(スポーツなどを)やる、演奏する)

二重子音[編集]

  • ch:無声軟口蓋摩擦音のフ(ロシア語などのх)。a,o,uの後ろではそれぞれに影響を受け、i,e,ä,ö,üの後ろでは全て[i]になる。また母音が後ろにくる場合はその母音に影響される。例:nach ナッハ(前置詞(地名)に、の後で)、durch ドゥーフ(前置詞:を通して、中を)、noch ノッホ(副詞まだ)、sich ズィッヒ(再帰代名詞)、möchte メッヒテ(~したい、~が欲しい)、kochen コッヘン(料理する)
  • sch:シャ行を表す。例:schule シューレ(学校)
  • tsch,tzsch:チャ行を表す。tzschは一部の地名にしかない。Deutschland ドイチュラント(ドイツ)
  • chs:xと同じになる。Sechs ゼクス(数詞6)
  • tz,ds,ts:前の母音が短母音化する[ts]。tsはあまり見られない。netz ネッツ(網)
  • pf:pとfを繋がるように発音する。「プフッ」みたいな。Apfel アプフェル(りんご)
  • ng:末尾または子音が続く時はgは黙字となり読まない。singt ズィント(三人称単数の歌う)、bringst ブリンスト(二人称単数の持ってくる)、sang ザン(歌)、singen ズィンゲン(ズィネンにはならない)

sindとsingtは同音になってしまう訳だが普通に文脈で判断が可能である。日本語では同音異義語は日常茶飯事だ

  • th,rh:多くの場合hは無声化する。例:Thüringen テューリンゲン (地名)、Rhein ライン(ライン川)

その他[編集]

  • b,d,g:語末またはs,tなどの無声子音の前では清音化する。例:ob オプ(従属接続詞であろうと、かどうか)Sturmabteilung シュトゥールマプタイルンク(突撃隊),Stadt シュタット(市)、Russland ルッスラント(ロシア)、Ding ディンク(もの、こと)、Magdeburg マクデブルク(地名)
  • s:t,pの前ではシュになる。例:Stehen シュテーヘン(立つ、いる),spaß シュパース(楽しい)
  • ig:ヒになる。König ケーニヒ(王)、schwierig (難しい)

ただし形容詞などで格変化する際はイグと読む。例:schwieriges Problem シュヴィーリゲス プロブレム(難しい問題)

  • r:母音が後続しない場合は母音化する。その前の母音のアクセントの有無で発音がことなる。erはエア(アクセントあり)かアー(アクセント無し)。verlassenやergebenなどの非分離動詞の前つづりはアクセントがないのでエアとはならない。地名や人名はアクセントがある場合rと読む。例:Er エア(彼)、Kaiser カイザー(皇帝)、war ヴァー(であった)、wir ヴィア(私たち)、empor エンポー(上)。また例外的に曖昧なrと読むものもある。例:Arbeiter アルバイター(労働者)
  • 母音が連続する場合は長母音になる。例:Staat シュタート(州)、Zoologischer Garten ツォーロギッシャー ガーテン (動物園)
  • tion:ラテン語由来の単語のみに存在。「ツィオン」もしくは「ツィォン」と読む。英語のtionとは異なる。National ナツィオナル(国民)、Reaktion レアクツィオン(反応)
  • 母音+w:ベルリン周辺の地名に多くみられる。wは「ウ」の音になる。Pankow パンコウ(地名)

関連項目[編集]