タンク機関車

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タンク機関車(タンク式蒸気機関車、タンク式とも)とは、車体構成における蒸気機関車の分類の一つ。

対極をなす機関車はテンダー機関車。こちらは機関車の後部に炭水車を連結し、そこに燃料や水を積載する構造となっている。

概要[編集]

石炭などの燃料や機関車本体に搭載する方式。
小型のものが多いが、車両によっては大型のものもある。

特徴[編集]

炭庫は主に運転室後部、水槽(水タンクとも)は主にボイラーの両側面に搭載されるといったものであるが、水の積載方法によって、細かく種類が分けられる。

長所[編集]

  • 一部を除き、後方の視界が良く、逆機による高速運転が容易。また、全長がテンダー機関車より短くなるため、小回りが利くし、転車台も小型のもので済む。[注 1]
  • 構造が至ってシンプルなため、保守が比較的容易。また、製造費も比較的安い。
  • 燃料と水の重量が動輪上に直接かかるため、その重量を粘着重量(トラクションの発生に寄与し牽引力となる動輪上重量)として活用することができる。
  • 燃料や水を補給する時間が短い。

短所[編集]

  • 燃料や水の積載量が炭庫や水タンクの大きさと比例するため、それらが小さいほど補給回数が多くなる。また、一度に補給する燃料や水の量が少ないため、長距離の運転が難しい。[注 2]
  • 燃料や水が不足すると、軸重が変わるため、牽引力が低下する。
  • 基本的にボイラーの側面に水タンクを配置するため、大きなボイラーは搭載することができない。そのため、出力が小さい。

狭義の分類[編集]

先述のとおり、タンク機関車には水の積載方法によって細かく種類が分けられる。

サイドタンク[編集]

水タンクが台枠上まで設置位置が下がっているタイプで、もっとも標準的な方式。
日本ではC11形C12形などで広く使われた。

パニアタンク[編集]

一見サイドタンクと似ているが、水タンクはボイラーから張り出すように設置してあり、タンクと床との間には空間がある。
主にイギリスグレート・ウェスタン鉄道で多く使われた。[注 3]

サドルタンク[編集]

水タンクがのように機関車中央のボイラーを跨ぐように設置されているタイプ。

リヤタンク[編集]

水タンクが運転室後部の石炭庫の下に設置されているタイプ。
構造としてはテンダー機関車の炭水車部分をそのまま石炭庫として機関車部分にくっつけたような形である

ウェルタンク[編集]

台枠を補強し、その一部を仕切って箱状にして水タンクに流用したタイプ。
給水方法は大きく2種類に分けられる。[注 4]

脚注[編集]

  1. これを生かし、構内貨車客車入換、大馬力を要する長大編成列車の発車の補機、故障車の牽引等に力を発揮した。
  2. そのため、長距離の輸送に用いられることはほとんどなかった。その反面、短距離運転には向いており、地方のローカル線でも大きな活躍を見せた。
  3. 一例として、汽車のえほん及びきかんしゃトーマスに登場するあのキャラクターが挙げられる。
  4. ボイラー脇の台枠上に設置したタイプ前面の台枠端梁(連結器の上)に給水口を突き出したタイプ

関連項目[編集]