シビル・コンクエスト

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シビル・コンクエスト (Sybil Conquest 、? - 1966年8月12日[1]) は、謎のイギリス人女性冒険家である。

経歴と伝説[編集]

裕福な家庭に生まれ幼少期にイギリスからインドへ移住[2]。シビルはインドに伝わるバイラダ王子 (Prince Byrada) の財宝伝説を聞いて育った。

その昔、インド中西部を支配するバイラダ王子は王位継承と共に王家が蓄財してきた莫大な金銀財宝を相続した。バイラダ王子には双子の弟がいたが、彼は王子よりも1時間遅れで生まれたため王位を授かることはできなかった。憤慨した弟は兄を恨み彼を暗殺しようとした。その状況に危機感を抱いた王子は少数の信頼に足る人物とともに莫大な財宝をヴィンディヤ山脈の奥地に隠した。

王子が王国に戻ってみると弟は何者かによって殺害されていた。まもなく、王子自身も象に踏み潰されて亡くなってしまい、財宝の有りかを知る他の一名も暗殺されてしまう。こうして財宝は永遠に失われてしまった。これがバイラダ王子の財宝伝説である[3]

シビルはヴィンディヤ山脈で狩りをしている時に現地民から 「財宝は炎の湖という場所に隠されている」 と教えられた。財宝の隠し場所に関する具体的な情報を得ることができたシビルは1878年に実際に探検隊を組織して宝探しに向かった[4]。出発日の前日、ファキール (修行僧のこと) がシビルの前に現れて 「財宝探検を中止せよ。さもなくば、不幸が訪れるだろう」 と警告した。しかし、シビルは警告を真に受けなかった。

ヴィンディヤ山脈に到着した探険隊は目標の湖を簡単に見つけることができたが、それは湖というよりは小さな水溜まりだった。また、当時は雨期だったため水中の財宝を引き上げることは出来なかった。そこで乾期になってからポンプを使って水溜まりの水を抜き財宝を探すことにした。帰り支度をしていたシビルがふと水溜まりの方を見ると、あのファキールがシビルを無言で睨みつけていた。当時水溜まりの周辺は無人だった。

乾期になり探検隊は再び水溜まりに戻ってきた。計画通りポンプを使って水を抜くことに成功し地面が見えて来たところで、あのファキールが再びシビルの前に現れて今度はヒンドゥスターニー語で 「間に合う内に立ち去れ」 と呼びかけてきた。しかし、シビルは彼を無視した。次の日の朝、突然、隊員のひとりが姿を消した。そして、次の日の夜までにはシビルを除く全員が熱を出して死亡した。シビルは恐怖に襲われて山脈から必死で逃げた。数週間後、村人がシビルを発見したが彼女は半分発狂していた。

シビルは仲間の死の責任は忠告を聞かなかった自分にあるといい、自分自身を責めた[5]。シビルは財宝は水溜まりの下にあると確信していたが、神秘的な呪いによって財宝が守られていると信じていたため誰にも水溜まりの位置を明かさなかった。

実態[編集]

シビル自体は実在の人物だが、はたして彼女が本当に宝を探したのか、そして双子の王子の財宝伝説が現代の創作ではなく本物の言い伝えなのかは不明である。

シビルの物語は1926年、つまり探検から約50年後に新聞で報道されたものである。また、双子の王子が本当に実在したのかは不明である。おそらくは、当時の新聞記事が王子の名前を間違えて (スペルミスして) 伝えているため調査を難しくしている[6]。シビルは1930年代に南アメリカオーストラリアをファーストクラスの大型客船で旅していた。当時、そんな贅沢をできる人は限られていたため、父親から遺産を相続したか財宝を見つけたかのどちらかたろうと推測されている[7]

また、シビルと他の財宝伝説の物語が混合されているのではないかと疑う人もいる[8]

余談だが英語圏では彼女の 「シビル・コンクエスト」 という独特な名前が話題になっており、「初期のジェームズ・ボンド映画に出てきそうだ[9]」 や 「昔の映画の名前みたいだ[10]」 などとイジられている。

脚注[編集]