よみもの:本来の意味を離れた単位の用法
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このよみものでは、本来の定義や意味を離れて、使われる単位の用法について述べる。
接頭辞[編集]
ここでは、SI接頭辞をはじめとする単位の接頭辞について述べる。
まず、単位の接頭辞というのは単位系の単位の前に付けてその単位にある数を乗じることを表す記号であり、 接頭辞は単体で使用する者ではない。それにもかかわらず、慣習的に接頭辞のみで使用されているものがある。
キロ/k[編集]
本来、キロは1000倍を意味し、「東京駅から上野駅までの距離は3キロメートル」や「新生児の平均体重は約3キログラム」といった用法であるはずである。 しかし、何に単位がその後につくか自明である場合には、わざわざつけないでも伝わるだろう。 このことは、他の接頭辞であるメガやテラでも共通であるが、特にキロでは体重において省略される。 健康診断の後に「70キロだった」といっても、常識的に「身長70km」とはならず、「体重70kg」であるとわかるだろう。
ミリ/m[編集]
本来、ミリは1000分の1倍を意味する。 しかし、「1ミリもわからない」などの用法がある。 たしかにミリは何もつけないときよりも小さくする記号であり、 よく使う1mmや1mLが人間の感覚に対して小さいので「全くわからない」というニュアンスなのは伝わる。 だが、よく考えてみると何の単位にミリをつけているのか全く不明である。 「わかる」ということが長さ(メートル)で測れるのだろうか? そもそも「わかる」は物理量になるのだろうか?
また、同様の事例にマイクロもあって、「1ミクロンもわからない」というものがある。
ギガ/G[編集]
本来、単位としてのギガは10億倍を意味する。 体重メガやテラ、ペタとともに、情報量・通信量の単位としてビットやバイトの前について使用されることが多い。 このため、#キロ/kと同様の理由でビットやバイトが省略されて使われることが多い。 さらに、通信料などを扱う企業が広告において「ギガたくさん」や「ギガ放題」のような宣伝文句を使うことが拍車をかけている。 これによって、ギガがまるで通信量を表す単位かのようになっている。
接頭辞でないもの[編集]
ここでは、接頭辞ではないものについて述べる。
カロリー/cal [編集]
本来、単位としてのカロリーは、熱量の非SI単位である。 しかし、単位ではなく、食品のもつ熱量そのものを意味するように使われている。 例えば、「カロリーオフ」や「カロリーハーフ」である。 実際には、カロリーと言う単位が半減しているのではなく、カロリーで表した熱量が減じているだけなはずである。 ただし、カロリーという語はラテン語で「熱」を意味するcalorに由来するとのことなので、 語源にさかのぼればあながち間違いともいえないのかもしれない。
ベクレル/bq[編集]
本来、ベクレルは放射性物質の放射能の強さを表す単位で、1秒間に原子核がどれだけ崩壊するかを示す量である。 しかし、山本太郎によって「ベクレてる」という動詞化がなされている。 ベクレルの語源はフランスの化学者のアンリ・ベクレルであり人名なので、カロリーのような語源による正当性はない。 また、山本太郎氏の発言は特定の食品が人間に放射線の影響があるかという文脈であると考えられ、 生物への影響を考えるならばシーベルトの方が近い意味であると思われる。