すきっ腹のブルース
『すきっ腹のブルース』(すきっぱらのブルース)は、手塚治虫の自伝的短編漫画。
『週刊少年キング』(少年画報社)の1975年1月1日号に読み切り掲載された。
同誌に掲載された『紙の砦』の続編である。『紙の砦』と同じく、手塚をモデルにした漫画家を目指す学生・大寒鉄郎を主人公とし、第二次世界大戦中の『紙の砦』の後、第二世界大戦が終戦した後の大寒を描く。手塚には本作より未来の時系列になる作品を描き「紙の砦3部作」とする構想があったようだが、第3部が描かれることはなかった。
あらすじ[編集]
第二次世界大戦が終わり、敗戦国の日本人は空腹を抱えていた。アメリカ進駐軍兵がばらまくチョコレートやガムには、日本の子供だけでなく大人までが飛びついていた。
ある日、いつものように漫画を描いていた大寒鉄郎を見かけた黒人のアメリカ兵が自分の似顔絵を描くよう、大寒に要求する。大寒の描いた絵を気に入った黒人兵は謝礼に軍の携帯食糧缶詰(ビスケット、チョコレート、チーズ、クラッカー、角砂糖、コンビーフ、豆のゼリー、紙巻き煙草入り)を渡した。黒人兵と仲良くなった大寒は、女性のヌードピンナップを描いて渡したが反応はイマイチ。黒人女性のヌードピンナップに修正したところ、黒人兵は非常に喜んだ。これを見かけた白人兵がヌードピンナップを取り上げて破き、大寒を殴り飛ばした。
そこを通りがかった新聞社に勤める美女・河原和子が大寒の描く漫画を気に入り、編集長に紹介したことで、大寒は週に1回、明るい4コマ漫画を掲載してもらうことになった。
大寒は河原に恋をし、ファーストキスも交わす。
翌日、河原の家に招待された大寒は、知人であり北京料理店を営む金さんからお祝いにと料理をふるまってもらうことになる。しかし、食材の買い出しに行った金さんは警察の闇市取り締まりに引っ掛かり、夜遅くになるまで店に戻れなかった。大寒は恋人との約束を破ってまで金さんを待っていた。激怒する金さんから「愛と食い気とどっちが大切なのか」と問われた大寒は「食い気」と即答。
その後、灯りの消えた新聞社、河原の家を走り回り、大寒は「自分は恋人の資格が無い人間だ」と独りつぶやく。
外部リンク[編集]
- すきっ腹のブルース - 手塚治虫公式サイト