「四季」より「秋」
「四季」より「秋」(しきよりあき)は、1723年、ヴィヴァルディが45歳のときに作曲した作品。キーはヘ長調(英:Fメジャー、独:F-dur)。3楽章構成。RV.293。表記法は、「「四季」より「秋」 第○楽章/ヴィヴァルディ」。
楽曲構成・分析[編集]
- 第1楽章
キーはF(ヘ長調)。4/4拍子。リトルネッロ形式。「A(R1)→B(E1)→A(R2)→C(E2)→A(R3)→D(E3)→A(R4)→E(E5)→A(R5)」の順番の形で構成されている。Aは、1~13小節。Aの部分は基本となる旋律・主題を示し、主調のヘ長調から始まっている。32小節後半からは、Cの部分で、Cからは、ヘ長調のトニックコードのアルペジオの旋律を出し、次に転調を準備するためのメロディーを転回するものであって、41小節前半まで主調のヘ長調。41小節後半以降に続く素材は、ト長調→ヘ長調を経て、末尾でホ長調に移行するが、これは実はホ長調の第3音(ソ#)はイ短調の導音で、Eのメジャーコードはイ短調のドミナント扱いであって、次に「コード:Dm6」が鳴り、ベースの旋律が、「レドシラソ#ファミレ」で、Aハーモニックマイナースケールのイ短調の第4音からの下行音階で、オクターブまで下がり、イ短調への転調を明確にするものの、次にG#dim7が鳴り、イ長調に到達してしまう。G#dim7と、イ長調のトニックコードは、これは実は、それぞれ、ニ短調のドッペルドミナント→ドミナントである。イ長調に到達後、次に「Em7(♭5)」が鳴り、ベースの旋律が、「ミレド#シ♭ラソファミ」で、Dハーモニックマイナースケールのニ短調の第2音からの下行音階で、オクターブまで下がり、ニ短調への転調を明確にするものの、次にA7(♭9)が鳴り、ニ長調に到達し、同様な反復となる。ニ長調のトニックコードは、これは実はト短調のドミナントであって、次にト短調のドミナント9th「D7(♭9)」が鳴り、すぐにト短調へと接続される。ト短調の部分では、途中でナポリの六「A♭/C」や、イタリア増六の和音「ミ♭ソド#=E♭7」が出る。Eの部分は、始めは、ト短調でAの旋律を出し、次に2度下行形の反復進行を経て、Aの旋律がニ短調に移る。短調に形を変えることにより、弦楽器が荒々しい響きを出している。
- 第2楽章
キーはニ短調(Dm)。3/4拍子。ハープシコードのアルペジオに合わせたまま、各1つのコード進行を鳴らしている。和声進行は、通常の規則から外れており、ドミナントセブンスコードの第7音をベースにしたものが連続し、ドミナントセブンスコードは、トニックには解決せずに、別の方向へと道を切り替えている。地味な印象、寂し過ぎる夜、孤独な感じを受ける。