USB Power Delivery

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USB Power Deliveryとは、USB Type-Cの急速充電規格である。[1]通称はPD。

なお、この記事では便宜上、PDではないUSBでの電力供給についても解説する。

概要[編集]

最大で100W、さらにEPR対応なら240Wまで出せる。

通常ではUSB BCでも7.5Wだったので、100Wがいかにすごいか分かるだろう。ただし、いつ何時も100W出力が出るわけではない。

通常のUSBは5Vで充電するが、PDは20Vでの充電が可能。これがPDが大電力を流せる理由の一つでもある。[2]

なお、

  • 充電する機器(スマートフォンの場合はほぼ対応済)
  • 充電電力を供給する機器(PD対応を謳っているやつを買えばOK)
  • ケーブル(Type-Cならほぼ心配なし、だけど非対応のものもある)

がPDに対応していないと使えない。更に使えはするが60Wまでしか出せないケーブルもある。[3]

パワールール[編集]

電圧ごとに流してよい電流を決めたものがパワールールである。どういう風に使うかは後で説明する。

パワールール(USB PD)
充電電力 5V 9V 15V 20V 28V 36V 48V
~15W ~3A -
15~27W 3A ~1.8A -
27~45W 3A ~3A -
45~60W 3A 3A ~3A -
60~100W 3A ~5A[P 1] -
100~140W 3A 5A[P 1] ~5A[P 2] -
140~180W 3A 5A[P 1] 5A[P 2] -
180~240W 3A 5A[P 1] 5A[P 2]

脚注[編集]

  1. a b c d 3Aケーブル使用時は~3A
  2. a b c EPR対応ケーブル使用時のみ。通常の5Aケーブル使用時は20V@5Aまで、3Aケーブル使用時は20V@3Aまで。

例①[編集]

45Wで充電するノートパソコンがあったとする。

ノートパソコン.jpg
15V@3A(45W)の電源くれー
充電器
えっと?15V@3Aは規格にあるからOK!はいよ!

例②[編集]

実際にはこんなにうまくいかないこともある。

ノートパソコン.jpg
18V@4A(72W)の電源くれー
充電器
おまえ珍しいな。悪いけど15Vで我慢してくれ。
ノートパソコン.jpg
分かった。電流は72/15=4.8Aちょうだい。
充電器
おまえほんとに珍しいな。悪いけど3Aまでなんだ。
ノートパソコン.jpg
15*3=45Wじゃないか。全然足りないぞ。
充電器
別にPD対応ならそれでも動くようにしろって仕様だろ。
ノートパソコン.jpg
まあそうだな…

実際はPCが「全然足りないぞ」という前に問答無用で給電が始まる。

充電器の言うことは正しく、PD対応ならこれでも動くように設計しなければならない。

脚注[編集]

  1. なお、Type-CがないのにPD対応を謳っている商品は偽物と思ってOK。
  2. 一般的な充電用ケーブルでは50mΩほど配線抵抗がある。ここに電流を流すと電圧降下が起き、電力をロスする。
    PDでは、100Wで20Vなので、5A流れる。すると、0.25V(1.25W)の損失である。
    仮に5Vで100W流すと、20A必要で1V(20W)の損失である。損失が大きいと効率が悪くなるだけでなく、発熱も増える。そのため、大電力化はできない。
  3. eMarkerが入ってないUSB3.0以下のケーブル