Qニューロン
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Qニューロンは、マウス第3脳室周囲に存在するQRFP陽性神経細胞である。特に前腹側周室核・内側視索前野に存在するものを指す。 休眠誘導神経とも。
概要[編集]
2020年に、マウスの視床下部の小領域である前腹側周室核にある特定のニューロン群を特異的に興奮させると、自然では見られない冬眠様の低体温・低代謝状態が誘起されることが明らかにされた。QRFP遺伝子を発現することや、英語で休止を意味する"Quiescence"、日本語の「休眠」の"休"と"Q"の読みが同じことからQニューロンと名付けられた。
冬眠との比較[編集]
Qニューロンを興奮させると、体温のセットポイントが低下する。これは風邪で体温のセットポイントが上がることの逆のように思える。 そのため生理機能・代謝・体温は低下するが、体温がしきい値をこえて低下すると体温を保つ恒常性制御が見られるようになる。 さらに、マウスは障害もなく自発的に復帰することや、繰り返しこの状態になることも可能だった。
通常、体温が低下しすぎると震えなどによる熱生産が不可能になり、恒常性制御ができず死亡する。 また、体温を下げられても復帰時に循環器系の問題から障害を負うこともある。
これに対して冬眠動物では恒常性制御や復帰が可能で、短期間の休眠(トーパー)を繰り返すものもいる。 このように、Qニューロンの興奮による休眠は冬眠と似ている。
Qニューロンは、哺乳類が一般的にもっている体温の恒常性制御用の神経細胞であると目されており、人間も同様の機能がある可能性が考えらている。 薬品を使って人間のQニューロンあるいは同様の機能をもつ神経細胞を制御することで、人間が人工冬眠できるようになると期待されている。