JFNラインネット番組
JFNラインネット番組(ジェイエフエヌ ラインネットばんぐみ)は、全国FM放送協議会(JFN)のネット番組であり、通信回線を利用して常時ネットワーク送出している番組群である。
概説[編集]
ライン(Line,回線)ネットとは、通信回線を用いて常時ネットワーク送出が行われている形態である。
当初より「Aライン」(エーライン)、「Bライン」(ビーライン)、の2種類の配信(供給)系統があり、「Bライン」では各局が任意に放送時間を選択してネット受けすることができた。
- Aライン - TOKYO FMまたはFM OSAKA制作でネットワークスポンサーがつく全国38局同時ネットの番組で、主に平日朝・夜と土日に放送される。
時報明けや番組開始前にJFN共通ジングルあるいは各放送局のステーションジングルを10秒、番組終了後にJFN共通ジングルあるいは各放送局のステーションジングルを10秒流した後ヒッチハイク扱いのCM(スポンサー、JFNCの「アースコンシャス」もしくは「ラジオディスタンス」のCMなど)が終わり、ネット送出が終了する際に各放送局のステーションジングルを10秒それぞれ流す事が特徴である。
- Bライン - ジャパンエフエムネットワーク(JFNC)制作でネットワークスポンサーがつかない番組の事。JFN加盟各局が任意に選択可能である。
現在は「Aライン」、「Bライン」という言葉は使われていないが、A・Bの区別は継続されている。
また、かつての「Bライン」相当番組は、JFNCラインネット番組配信表で以下のように分類される。
- B1プログラム - JFNC制作(一部例外あり)[注 1]
- B2プログラム - TOKYO FMとJFNCとの共同制作扱いの番組(主にBライン扱いだがTOKYO FMのスタジオを使用する早朝・深夜の番組)
なお、B1、B2プログラムとも加盟局以外の番組販売はない。
事実上日本唯一のFM局全国ネットワークであり、かつ放送エリアの重複が多いJFNにおいては、「番組供給の保証」と「近隣局との差別化」という矛盾した課題を持っており、同じ系列でありながら「Aライン」と「Bライン」で異なる生放送番組が配信されることもある。
Aライン・Bラインの誕生経緯[編集]
1983年までには、関東地方で初の民放FM局・エフエム東京を中心とした番組供給ネットワーク組織、「JFN」が組まれていた。参加局は他に、エフエム愛知[注 2]、当初参加局のエフエム大阪、エフエム福岡、エフエム北海道、エフエム仙台、静岡エフエム放送、広島エフエム放送、エフエム愛媛、エフエム長崎である。この時期までに開局した、静岡までを通称「Aライン」[注 3][注 4]と呼んでいる。エフエム石川も「Aライン」局と同時期に周波数割り当てがあったが、一本化調整が難航したため、開局のタイミングを逃した。
その後、茨城県以外の各道府県ごとに1つのFM局周波数が割り当てられることになった。「Aライン」では、狭い区域に限られた先発局と、放送エリアが広い区域(県域の50%超)の後発局で重複することが予想された。
本来、後発局はスポンサーの兼ね合いやリスナーの差別化の観点から、別番組を流す方が良い。しかし、開局間もないことから番組制作力が極端に低く、番組編成に支障をきたす可能性があった。このため、「Aライン」とは別に、エリア規模などから算出された一定の使用料を払えば、いつでも任意で番組編成ができる第二の配信網、「Bライン」が作られることになった。これ以降に開局したFM局は、主に日中に「Bライン」の番組供給を受けた。
「Bライン」の存在が注目されたのは、1985年である。6月に三重エフエム放送[注 5][注 6]が、10月にエフエム群馬[注 7]が開局した[注 8]。両局は共に「Bライン」から番組供給を受けてきた。両局の開局後しばらくして、日本のFM局で初めて、恒常的に24時間放送を開始できたのも、「Bライン」の番組供給の存在が大きい[注 9]。
「Aライン」として開局した局のうち、仙台・広島・静岡・長崎では、JFN設立直後から「Bライン」相当番組の一部をネットし、現在まて、FM北海道、FM静岡、FM愛媛以外の「Aライン」局が「Bライン」相当番組のネットを増やしている。
なお、JFN結成前には、FM局が4大都市圏のみだったため、Aライン相当(FM東京=TOKYO FM製作)の番組を中心に、一部の民放FMがない地域のAM局に番組販売購入の扱いでネットしていたものが多く存在した。
特に、FM沖縄転換前の沖縄県の極東放送は、1972年のアメリカ合衆国の信託統治から日本に復帰した際、宗教放送局からの転換特例として日本語民放AM3局を維持することが認められ、その際にFM東京との番組販売協定を結んだため、AM放送ながら、FM転換前からFM東京の事実上の系列局という体をなしていた時期があった。
関東地方の現状[編集]
関東地方で民放FM局のない茨城県を除くとJFNの「Bライン」に入っているのは群馬・エフエム栃木のみである。また2020年9月よりJFN特別加盟局となったInterFM897では、同年11月より放送対象地域が重複するエフエム東京で放送されていないものに限り「Bライン」相当番組のネットを開始した。
エフエム富士は開局当初は「Bライン」であり、「FMナイトストリート」が東京でも人気となったが、開局5年後にJFNを離脱、独立局となった。
関西圏の現状[編集]
JFN準キー局であるFM大阪でも2007年から「Bライン」相当番組が放送されるようになった。
関西でJFNの「Bライン」に実質入っているのは県域局で開局したFM滋賀と、経営母体が変わったKISS-FM KOBEのみである。京都府にJFN加盟局は無い。奈良、和歌山県両県には民放FM局がなく、両県の三重県に近い地域ではFM三重が、紀伊水道沿岸ではFM徳島が聴かれている。
主なラインネット番組[編集]
Aライン[編集]
- ONE MORNING(月曜〜金曜 6:30 - 6:44頃、7:00 - 7:30、8:00 - 8:20)
- 坂本美雨のディア・フレンズ
- SCHOOL OF LOCK!
- JET STREAM
- TOKYO SPEAKEASY
- JA全農 COUNTDOWN JAPAN
- 福山雅治 福のラジオ
- おと、をかし
- 日本郵便 SUNDAY'S POST
- リリー・フランキー「スナック ラジオ」
- 山下達郎のサンデー・ソングブック
- ももいろクローバーZのSUZUKI ハッピー・クローバー!
- NISSAN あ、安部礼司〜BEYOND THE AVERAGE
Bライン[編集]
一部の番組を除き、はがきや封書で番組宛にメッセージを送る場合、宛先が、「お聞きの放送局の『○○(番組名)の△△(コーナー名)』」宛(電子メールの場合は@の後がjfn.co.jp、受付FAX番号も全番組共通のBラインネット専用電話番号)になっている。
- ONE MORNING(平日 Aライン送出の時間帯以外)
- OH! HAPPY MORNING(平日 7:30 - 10:55)
- Otona no Radio Alexandria(InterFM897以外のネット局:平日 11:30 - 12:55、InterFM897:平日 11:00 - 12:54)
- デイリーフライヤー(平日 13:00 - 13:30)
- レコレール(月曜 - 木曜 13:30 - 15:55)
- Happy Our Party!(月曜 - 木曜 16:00 - 16:45)
- A・O・R(月曜 - 木曜 19:00 - 20:55)
- FRIDAY GOES ON! 〜あっ、それいただきっ!〜(金曜 13:30 - 15:55)
- SUNDAY FLICKERS(日曜 6:00 - 7:30)
- 有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER(日曜 20:00 - 21:55)
脚注[編集]
注釈[編集]
- ↑ 土曜放送の『サタ☆スポ』は、FM OSAKAとJFNCとの共同制作扱いの番組である。また、当該番組の受付FAX番号はFMOSAKAの番組専用FAX番号となっている。
- ↑ 民間FM放送局として日本で最初に開局
- ↑ これらの局は自社番組の制作力が大きい。特に上記参加局のうち、長崎以外の局は平日の生ワイドのほとんどが自社制作の生ワイドになっており、「Bライン」相当番組の比率は低い。なお、県境周辺の愛知県東三河と静岡県西遠地域や愛媛と広島の一部地域にFM放送エリアの重複が見られたが、ごく狭い範囲に止まっていた。
- ↑ 90年代初頭にかけては、かなり多くの同時ネット・時差ネット番組が存在しており、現在のように大型ワイド番組のみを連ねたタイムテーブルとはかなり異なっている。愛知・大阪・福岡など、現在でも比較的自社制作率の高い放送局は特に顕著である。
- ↑ 愛知県の5割強でエフエム愛知とエリアが重なる。
- ↑ 愛知と三重の正午前後のタイムテーブルを見比べると、同一系列局とは思えない編成になっている。
- ↑ 埼玉県の4割強でエフエム東京とエリアが重なる。
- ↑ JFNに加盟しない初の独立局の横浜エフエム放送が開局したのは、同年12月である。
- ↑ 厳密には、最初に実施したのはエフエム沖縄である。前身のAM放送局極東放送から引き継いだ自社制作番組「メロディー・フェア」→「FMルート58」で対応していた。しかし、「FMルート58」終了後、深夜帯を休止していた時期があった。