非冷房車
非冷房車(ひれいぼうしゃ)は、冷房などの空調装置のついていない鉄道車両のことを指す。
概要[編集]
近年の日本において、当然のように鉄道車両の冷房が実施されているが、これにより冷房されていない非冷房車が注目を浴びるようになった。
電源や冷媒のなかった時代は非冷房車が当たり前であり、扇風機すらついていないことも常識であったが、客室が木造の半金属車が大半で熱がこもりにくかった。
1970 - 80年代に入ると大手私鉄や国鉄の都市近郊区間では客室も全金属車が普通になり、家庭用クーラーやカーエアコンの普及とともに鉄道でも非冷房車の減少が急速に進んだ一方、国鉄分民化の頃は、地方線区では非冷房が主流で、全金属車のため熱がこもりやすく暑さが目立ち、冷房工事準備車は「空ラー車」と皮肉られた。
しかし、バスに搭載された機関直結型エアコンの流用で気動車から冷房の普及が進み、JR東海などで電力を効率よく使えるインバータエアコンの標準装備がされると、地方の電化区間でも冷房車の普及が進んだ。
2022年現在、JRでは非冷房電車が保留車を除き全滅している。地方私鉄でも冷房の導入は進んでおり、運用列車が全車非冷房の路線は弘南鉄道(弘南線、大鰐線の両方)と山万ユーカリが丘線、および札幌市営地下鉄(東西線、南北線、東豊線のすべて)のみとなっている。非冷房車とはいえ全く快適でないというわけではなく、ファンデリアや扇風機、送風機および開閉窓等の装備で風通しは比較的良い。
札幌市営地下鉄南北線では冷房車による現行車両の置き換えが発表されており、山万でも冷房車の導入を検討中。弘南鉄道も大鰐線の廃止後に弘南線車両の置き換えのために冷房車の導入がなされる可能性がある。
かつては非冷房で窓が開かないのに夏場でも運用されたという最悪の車両もあったがすでに廃車されている。