阿武ノーマル

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
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阿武ノーマル』は、原作:川上大和、 作画:タイジュンによるサイコ・サスペンスコメディ漫画。

講談社のWebサイト『マガジンポケット(マガポケ)』にて2023年9月3日より、2025年10月まで連載された。全83話予定。単行本は既刊7巻(2025年8月時点)、最終8巻が2025年11月発売予定[1]

マガポケでは初登場第1位を獲得し、マガポケ読者の応援数で決まるマガポケオリジナルランキングでも第1位を獲得した。バラエティ番組の『川島・山内のマンガ沼』ではかまいたちの山内健司が「2024年の1冊」として紹介している[2]

あらすじ[編集]

阿武英子は空虚な人間であった。協調性というものがまったく欠落しており、相手に合わせて笑ったり泣いたりすることができなかった。しかし、それでは社会生活を営む上で不便でもあるため、英子には「普通になりたい」という意識があった。大学を卒業後は就職した会社が違うこともあって疎遠になったが、数年して就職先を解雇された英子が、大学の先輩・相田一香に再就職先を相談したところ、相田の手ほどきと英子自身の努力の甲斐もあって「普通の人間」という仮面を手に入れ、英子は相田が就職していたカタヤ企画に再就職することができた。英子は「普通の人間」を極めるべく、同僚の榊原撫子を研究しながら、穏やかな社会生活を送っていた。

そんなある日、派遣社員として河原京介が、相田、榊原、英子の女性3人グループに加わることになる。河原は、「無能が嫌い」と公言し、「低脳女は非効率作業しかできない」と暴言を吐く。拠なき自信と上から目線に空虚なロジックを振りかざすが、自分の手は動かさない。河原の矛先が向いた榊原はハラスメントに耐えられず、退職を考えるようになった。研究対象の榊原が退職すると不都合な英子は、業務の自動化や効率化を図り、河原の居場所を無くし、派遣社員としての契約解消に成功する。これを河原は逆恨みし、夜道で英子をナイフで脅し、殴りつけた。殴られながらも隙を突いて河原からナイフを奪うと河原京介の太ももをメッタ刺し、「正当防衛が成立するかな」と昔のような空虚な瞳でつぶやく。英子の表情を見た河原は英子が本気で殺しにくると思い、謝罪を述べはじめ、観念して「好きにしてくれ」と英子に言う。

それに応える英子の台詞は「では結婚しましょう」だった。母親から「もう30手前だから、普通は結婚する」と言われたことで、「普通」になるために英子は結婚が必要であったのだ。

河原は、英子宅に同棲という名の拉致監禁された。英子は、結婚情報誌の付録についていた婚姻届の用紙への記入を河原に迫る。河原は全力で拒否したいのだが、拒否したら英子が何をするかわからないし、生命的な死すらも起こりうる。河原は真剣に結婚を回避し、なおかつ英子を納得させて別れられる回答を考える。

登場人物[編集]

阿武 英子(あぶ えいこ)
29歳。自身が普通ではないことは自覚しており、「普通」に強い憧れを抱いている。英子が「普通」と見込んだ人物を異常なほど観察してデータを集め、自分の行動に反映させている。
河原 京介(かわはら きょうすけ)
他人に厳しく、自分に甘く、拠なき自信と上から目線で他者に暴言を吐きつつ、自分では仕事ができない33歳のダメ男。
逆恨みで英子に襲い掛かって逆襲され、拉致監禁され、「普通」なら「結婚」するという英子の認識から、結婚を迫られる。…が、飯は英子が作ってくれる、1日ごろごろしてて、働かずとも英子からは何も言われないという同棲生活も手放したくないという考えに至るダメ男。
河原自身の両親に英子と共に挨拶に行った際には父親の「(河原が)無職のうちは結婚を認めん」という発言を利用し、働かない宣言をしてしまうダメ男。
カタヤ企画生産技術部
相田 一香(あいだ いちか)
大学では英子の1年先輩の30際。大卒後、カタヤ企画に就職。英子が「普通」でないことを知っており、「普通」の演技を叩き込んだ。
大学時代にはキャバクラでアルバイトをしていたこともある。
榊原 撫子(さかきばら なでしこ)
24歳。英子の「普通」の研究対象。英子は榊原の言動をボイスレコーダーで録音し、研究を重ねている。
カタヤ企画マーケティング部
新設の部署。上司が「全員、普通」と言うったため、英子は異動を了承する。
「普通の人間のデータが取り放題」と認識してしまった英子にとっては「黄金郷」である。
新庄(しんじょう)
部内で最も普通な男子新入社員。英子から「普通の申し子」と命名され、研究対象となる。英子は盗聴器を仕掛け、営業トークなどをコピーする。
が、営業成績は悪く、契約ゼロである。
後に林田と共謀した英子から、英子が開拓していた優良顧客案件リストを押し付けられ、過労で倒れる。
田中(たなか)
マーケティング部で英子の上司となる係長。残業や休日返上は当たり前、プライベートを犠牲にしても仕事をする熱血仕事人間。
飲み会から徹夜ゴルフで朝日を鑑賞する接待コースを繰り広げて大口契約を取ったという成功談を英子に語る。
林田(はやしだ)
無気力なマーケティング部の女子社員。「定時に帰る」「休日出勤しない」をモットーとするため、田中係長とは相性が悪い。
「普通の会社員は仕事で結果を出す」と認識した英子が、河原と過ごす時間が作れないのを悩んでいるところに「働き方改革」を持ち掛けてくる。林田は「(英子と林田の)2人で定時に上がって休むことの正しさを伝える」という作戦を提示するが、英子から「過労被害者を出して問題にする」ほうが早いと切り返される。
工藤 光一(くどう こういち)
河原の同級生で、会社経営者。
高校時代には河原をいじめていた。
工藤 美香(くどう みか)
光一の妻。インフルエンサーを自称する。
松永 秀之助(まつなが ひでのすけ)
結婚式場を見学していた英子と河原に近づき、トイレで河原に「300万円かかる結婚式を無料する方法」を持ち掛けて、300万円を巻き上げた詐欺師。
あるクラブの常連で、店に大金を落とす太客でもあるが、ナンバーワンしか相手にしない。そのため、英子はクラブに入ってナンバーワンを目指すことになる。
泉華(せんか)
松永か通っているクラブでナンバーワンのキャスト。
300万円を取り戻すためにクラブのキャストになった英子に嫌がらせをする。

脚注[編集]

外部リンク[編集]