遠州鉄道1000形電車
遠州鉄道1000形電車(えんしゅうてつどう1000がたでんしゃ)は、1983年より遠州鉄道が導入した鉄道車両のこと。
登場の経緯[編集]
約22年間にわたり増備が続いた30形は、登場当初は画期的な装備を特徴としていたが、時代が進むにつれてつりかけ駆動方式や自動空気ブレーキといった、陳腐化した設備が課題となっていた。そこで、さらなる技術革新を目的として30形の51Fにてカルダン駆動方式を採用したが、ブレーキ方式の刷新も兼ねて登場したのが本系列である。
その後1996年まで増備が続き、合計7編成14両体制となった。
構造[編集]
19m級の両開き3ドア全鋼製車体を遠鉄で初めて採用。1003F以降は遠鉄浜松駅高架化に伴い中扉締め切り扱いスイッチは省かれ、初期の2編成も撤去された。この車体は2024年以降も増備が続く2000形にまで基本構造が踏襲されている。
制御方式は30形51Fで実績のある発電ブレーキ付き・直並列組み合わせ抵抗制御を採用し、主電動機出力も51Fと同様の120kWを確保。ブレーキ方式はHRD-1D電気指令式ブレーキを採用し、30形やモハ21との併結は一切できない。
台車は初期の2編成が51Fと同様のペデスタル式ダイレクトマウント空気ばね台車を採用。1003F以降はボルスタレス台車が採用された。
車内案内表示装置は当初設置されておらず、1999年の2000形登場以降にLED式のものが設置され、2017年からはLCD式に交換された。
増備[編集]
以下の年度に1編成ずつ増備された。
- 1983年度 - 1001F
- 1985年度 - 1002F
- 1988年度 - 1003F
- 1989年度 - 1004F
- 1991年度 - 1005F
- 1994年度 - 1006F
- 1996年度 - 1007F
以降はVVVF車の2000形に増備を移行している。
廃車[編集]
40年以上にわたり遠鉄線内の全区間で使用される本系列だが、抵抗制御で回生ブレーキの取り付けが困難なことが災いしたのか、2021年以降2000形のさらなる増備により機器更新されることなく廃車が進んでいる。2024年までに以下の編成が運用を終えた。
- 1001F - 2021年運用終了
- 1002F - 2024年運用終了
残る5編成も検査周期に合わせた後継車投入による代替廃車が予想される。