英単語ターゲット1900
『英単語ターゲット1900』(えいたんごターゲット1900)とは、旺文社が発行している大学受験向けの英単語帳(学習参考書)である。同社の「大学JUKEN新書」および「ターゲットシリーズ」の主力商品であり、受験生の間では「ターゲット1900」や「TG1900」「1900」の略称で広く知られる。
2026年現在、6訂版まで出版されている。
概要[編集]
1984年(昭和59年)の初版刊行以来、日本の大学受験界においてトップクラスのシェアを誇るロングセラー英単語帳である。国公立大学や難関私立大学(MARCH・関関同立、早慶上理、旧帝大など)を目指す受験生を主な対象としており、大学入試の過去問データベースを徹底的に分析し、頻出度の高い英単語1,900語が厳選されて収録されている。同レベルの対抗参考書として、システム英単語(駿台文庫)や速読英単語必修編(Z会出版)、そして近年人気の必携英単語LEAP(数研出版)などがある。
時代に合わせた入試傾向の変化に対応するため、数年ごとに改訂(版の更新)が行われており、2020年には「6訂版」が刊行されている。
特徴[編集]
でる順(頻出度順)[編集]
本書の最大の特徴は、アルファベット順ではなく、入試問題で「でる順(頻出度順)」に単語が配列されている点にある。これにより、最初から順番に学習していくことで、最も効率的に得点に結びつきやすい重要な単語から習得できるよう設計されている。基本的には「常に試験に出る基本単語」「常に試験に出る重要単語」「ここで差がつく難単語」といった3セクション(各パート数百語ずつ)で構成される。1~800単語までが「常に試験に出る基本単語」、801~1500までが「常に試験に出る重要単語」、1501~1900までが「ここで差がつく難単語」といった具合に分けられている。さらに、巻末には「TEAPでよく出る難単語」「英検準1級でよく出る難単語」セクションがあり、ここまで1冊仕上げればかなりのレベルに到達することが出来る。
一語一義主義[編集]
一つの英単語に対して、入試で最も重要視される「中心的な意味(あるいは最も頻出する意味)」を大きく赤字などで1つだけ掲載する一語一義(いちごいちぎ)主義を採用している。多くの意味を一度に覚える負担を減らし、まずは「1単語につき1つの意味」を確実にインプットすることを目的としている(派生語や2つ目以降の意味は、小さく補足として記載されている)。
しかしながら同時にこれは多義語に弱いことも意味しており、他の同レベルの英単語帳である必携英単語LEAPなどはこの多義語が充実しているために近年ではシェアが流出しているとも分析されている。
左右見開きのレイアウト[編集]
左ページに「英単語・発音記号・中心的な意味」、右ページに「その単語を使った例文(コロケーションやフレーズ形式の場合もある)と訳」を配置する、左右見開きの構成が伝統的に用いられている。付属の赤シートを使うことで、単語の意味や例文の訳を隠しながら効率的にセルフテストが行えるようになっている。
関連書籍[編集]
以下の姉妹書が展開されている。
- 書き覚えノート:手を動かしてスペルと意味を記憶するための準拠問題集。
- 実戦問題集:収録単語の定着度を測るための三択・四択問題集。
アプリ・音声メディア[編集]
時代の変化に伴い、かつて主流だった付属CDによる音声提供から、スマートフォンアプリへの移行が進んでいる。
旺文社公式の学習サポートアプリ「ターゲットの友」に対応しており、音声のダウンロード、リスニング学習、確認テスト、全国のユーザーと競い合うランキング機能などが提供され、受験生のモチベーション維持に寄与している。
評価・影響[編集]
- メリット:無駄が削ぎ落とされたシンプルな構成であるため、短期間で機械的に多くの単語を暗記するのに適している。持ち運びに便利な新書サイズであることも評価が高い。
- デメリット:語源や背景知識、詳細な解説が少ないため、丸暗記が苦手な受験生にとっては退屈に感じられる場合がある。また、一語一義主義ゆえに、多義語の深い理解には別途対策が必要となる。
受験期における「お守り」的な存在として語られることも多く、SNSや学習管理アプリ(Studyplusなど)でも広く言及される、現代日本の受験文化を象徴する参考書の一つである。
参考書ルートとしての評価[編集]
近年の参考書ルートの台頭により、本単語帳も参考書ルートの設計にあたって前後に何の参考書を挟めばいいのかという議論が数多くされている。特に早慶受験を視野に入れている受験生の間では、近年では英単語ターゲット1900クラスの英単語帳(いわゆる1冊目)に上乗せして、追加でもう1冊難しい英単語帳(いわゆる2冊目)を使うことが常識となっている。
2026年現在は英検準1級単熟語EXがその2冊目として幅広く支持を得ているが、英単語ターゲット1900では先述の通り多義語の知識が弱く、単熟語EXではその弱点がカバーされているとは言えないためにこの参考書ルートの接続を疑問視する声もある[注 1]。
書誌情報[編集]
- 『英単語ターゲット1900(6訂版)』 旺文社、2020年1月刊行。ISBN 978-4010346464
脚注[編集]
- 出典
- 注釈
- ↑ この場合の代替の2冊目の英単語帳として、速読英単語上級編や英単語最前線2500、大学入試英単語 SPARTA3などが提案されている。