税リーグ

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税リーグ(ぜいリーグ)は、日本のプロサッカーリーグであるJリーグに関連して、クラブ運営やスタジアム整備への公的支援に言及する際に使用される表現である。主に批判的な文脈で使われるが、一部の報道機関においてもこの語が取り上げられている。

概要[編集]

Jリーグは1993年の発足以来、「地域密着」を理念に掲げ、各クラブはホームタウン制度のもとで地方自治体と連携しながら活動している[1]。そのため、本拠地スタジアムの建設や改修、クラブの施設利用、運営資金などにおいて、自治体からの財政支援が行われることもある[2]

また、Jクラブと自治体の関係性については、地域貢献活動やまちづくり施策など、複数の報告がなされており、連携の一環として施設整備が進められる例もある[3]

一方で、公的資金の投入に対しては、議会や一部市民から懸念や批判の声が上がることもあり、こうした背景を踏まえて「税リーグ」という表現が風刺的・批判的に用いられる場面がある。制度上の用語ではないものの、報道機関により使用例が確認されている。

ANA総合研究所の2024年8月31日の小論文[4]によるとJリーグのクラブが使用する本拠地のほとんどが公設であり[5]Jリーグの各クラブの公式戦がプロ野球などと比較して少なく、Jリーグその物の人気も高いとは言えず[6]、Jリーグクラブを通してスタジアムが収益を上げる事が難しくなっている一方、スタジアムの維持管理費の負担が大きく赤字経営となり、最終的には税金を含む公金でスタジアムが維持される事が常態化していると指摘されている。

スポーツ庁経済産業省によるスタジアム・アリーナ改革ガイドブック[7]でも、スタジアムはその収益力により将来の負担を軽減する事が想定されており、その意味でも地方財政の負担になり続けるJリーグクラブの本拠地の状態は公設スタジアムのあり方としては想定されていない状態である。

具体例[編集]

札幌ドームは税とJリーグの関係を浮き彫りにした出来事である。北海道日本ハムファイターズ北海道コンサドーレ札幌が本拠地として使用していた札幌ドームは日本ハムファイターズからの収入が20億円以上あり[8]黒字経営であったが、日本ハムがエスコンフィールドHOKKAIDOに移転した後、赤字に転落した[9]。札幌市が所有する札幌ドームが赤字となるとそのしわ寄せは地方自治体に向かう事になる。そして日韓ワールドカップのために国内で新設されたスタジアムの中で札幌ドームが唯一の黒字であったため[10]、サッカースタジアムと税の関係についての関心を喚起する事となった。

報道における使用例[編集]

2023年、日本経済新聞のインタビュー記事において、当時のJリーグチェアマン村井満は、クラブ運営における公費支出の批判に言及し、ある地方自治体の首長から「君たちは『税リーグ』だ。どれだけ税金を使うんだ」と直接言われた経験があると述べた[11]

2024年9月、秋田放送(ABS)の報道特集にて、J2クラブ・ブラウブリッツ秋田の新スタジアム建設構想をめぐる報道の中で「税リーグ」という表現が使用された。放送では、建設費用約140億円のうち秋田市が70億円を負担する案に関し、Jリーグチェアマンがインタビューに応じ、市民からの賛否両論を紹介する中でこの表現が使われた[12]。これと前後して参議院議員の浜田聡も2024年9月4日に公式ブログ[13]において税リーグに言及している。

関連項目[編集]

出典[編集]