いかなご

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いかなごとは、スズキ目イカナゴ科に属する細長い魚である。

概要[編集]

細長い体形であり、吻が尖っているのが身体的な特徴である魚である。尾鰭がなく、稚魚は春に収穫されることが多い。兵庫県の名産である。旬は後述する「夏眠」明けの「2月から4月頃」である。だが、近頃いかなごは不漁であり、3日でいかなご漁が終了した年があったほどである。そして、どんどん漁獲量が減少し徐々に価格が高騰してきている魚。主に瀬戸内海で捕獲され、養殖はあまり盛んではない。名産だというだけあって、兵庫県はいかなごの捕獲量が約1万t(トン)から2万tと、全国の約2割以上の捕獲量を占める。瀬戸内以外にも北海道や東北などでも多く獲れる。いかなごの旬は2月から4月頃である。冬から春にかけて産卵し、その後稚魚が3cm程度に成長した頃が、「くぎ煮」などの加工食品の食べ頃になる。稚魚は「小女子(こうなご)」と呼ばれる。そして、成長すると「大女子(おおなご)」「カマスゴ」などと呼ばれることもある。なお、類似名の「キビナゴ」とは別の種類の魚である。

不漁の理由[編集]

プランクトン不足[編集]

不漁の理由としてプランクトン不足などが挙げられる。海の水質が改善され、逆に窒素が減少し、結果的にプランクトンが減少してしまったと考えられる。これにより、餌のプランクトンが不足し、以前よりも多くいかなごを獲ることは難しくなった。また、これらの理由により養殖のりなどの色落ちなども発生している。

海水温上昇[編集]

地球温暖化により、海水温が上昇し過ぎたことも理由の一つである。いかなごは冷水を好む魚であるため、生育や産卵などに影響を及ぼし不漁になってしまったのではないかと考えられる。海水温が上がると産卵時期の遅れや産卵期間の短縮、親魚の体力低下を招く。これが不漁の要因の一つになっているならば、10年後20年後にはいかなごが獲れなくなっている可能性がある。

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乱獲や、環境破壊による産卵場所の減少、海砂の過度な採取による生息場所の減少などが考えられている。が、現在の主な原因は上記2つである。

加工品[編集]

漁獲量が減少し続けているいかなごだが、鮮度が落ちやすいため加工して食べられるのが主流である。その中でも「くぎ煮」が有名であり、主に瀬戸内海で獲れる稚魚を煮たものである。甘辛い味付けでご飯のお供にピッタリである。煮あがった様子が錆びた釘に見えることから、「くぎ煮」と名付けられた。元々は漁師の家でだけ作られていたが、1980年代以降広く知られるようになった。発祥の地は兵庫県神戸市であると言われている。他にも、煮干し、オイル漬けなどに加工されることもある。

栄養価[編集]

カルシウムリンビタミンDビタミンB12亜鉛などが豊富に含まれており、栄養価は非常に高い。また、骨ごと食べられるためカルシウムは多く摂取することが可能。一方、あまり炭水化物ビタミンCは含まれていない。その代わりタンパク質が15~35g当たり約13.8g含まれている。100g当たりのカロリー量は111kcal含まれている。その他、コレステロールが非常に多く含まれており、いかなご自体には食塩があまり含まれていない。が、塩分を多く含む加工食品もあるので、割と多く摂取していたりする。なお、1パック当たり(80g)のカロリーは89kcal。

夏眠[編集]

水温が20℃を超える6月、7月頃になると海底の砂の中にもぐって一時的に活動を停止する「夏眠(かみん)」をする。それから11月、12月頃まで餌を食べずにじっとしている。水温が13℃を下回る、年明けから2月辺りから砂から出てきて、満1歳となる前に親となり、産卵する。夏眠をする理由は、「高体温を避けて体力を温存するため」 「外敵から身を守るため」と考えられている。夏眠場所は必ず砂地であり、砂地でないと夏眠することはできない。逆に、冷水を好むためいかなごは冬眠をしない。魚の中で夏眠するものは珍しく、夏眠する性質を持っている魚はいかなごだけであると考えられている。

関連項目[編集]