特定地方交通線

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

特定地方交通線とは、国鉄再建法に規定する地方交通線のうち、バス転換が適当として廃止対象にした路線のことである。

概要[編集]

1980年に国鉄再建法が成立し、翌1981年に旅客輸送密度が1977-79年の平均の輸送人員等から地方交通線、幹線と分類し、地方交通線のうち旅客輸送密度が4000人/日未満の路線はバス輸送が適当であるとして「特定地方交通線」に指定された。

前回の赤字83線の失敗からの反省から、今回は法整備を行い、転換を進めた。例をあげると営業キロ1kmあたり3000万円を上限とする転換交付金を地元市町村に交付することや、特定地方交通線転換鉄道等運営費補助制度という転換後5年間は赤字の補填を事業者に対して行う制度も整備された。また、今回は赤字83線のように一部区間を廃止して存続[注 1]のような指定は一切なく、路線全体で実施された。輸送量や路線の特性などによって、第1次、第2次、第3次廃止対象路線に分類されることとなる。

このように赤字83線の反省を生かしどんどん転換を進めていったが、問題点もあった。例をあげると名無し支線と呼ばれる支線を単体としてみれば、明らかに旅客輸送密度が4000人/日未満であるのに「本線の売り上げの一部」としたため廃止対象には一切ならなかった。この例で有名なのは函館本線の上砂川支線であろう。上砂川支線はお隣の歌志内線と輸送密度が大きく異なるわけでもないが歌志内線は歌志内線単体として見たため第2次廃止対象路線に選定されたが、上砂川支線は特急街道の函館本線の「一部」としたため幹線扱いとされ、もとより対象にはならなかった。最終的に歌志内線が廃線となり上砂川支線は存続することになってしまった。[注 2]

また、廃止対象から外れる路線が孤立しかけるという問題もあった。中村線[注 3]は廃止対象に選ばれたが、中村線の窪川~若井間で走行する予土線が寸断される可能性は考慮されなかった。

廃止対象[編集]

前述した通り路線全体で4000人/日未満の路線が選定されることとなり、以下の条件によって第1~3次まで分けられることとなる。

第1次廃止対象路線

  • 1.盲腸線である
  • 2.旅客輸送密度が2000人/日未満または営業キロが50km以下かつ旅客輸送密度が500人/日未満

これに該当する路線は以下の通り。前述した4つの除外規定に当てはまる路線は記載しない。

第2次廃止対象路線

  • 輸送密度2000人/日未満

第3次廃止対象路線

  • 輸送密度4000人/日未満

除外路線[編集]

ただし以下の条件に当てはまる路線は除外された。

  • 1.ラッシュ時の乗客が一方向1時間あたり1000人を超える
  • 2.代替輸送道路が未整備
  • 3.代替輸送道路が積雪で年10日以上通行止めとなる
  • 4.平均乗車キロが30kmを超え、輸送密度が1000人/日を超える

これに該当する路線は以下の通り。なお路線の隣に書いてある数字は除外規定の番号、〇は第2次、△は第3次を表す。

  • 1△宗谷本線
  • 1△石北本線
  • 4〇釧網本線
  • 4〇留萌本線
  • 2〇深名線
  • 1△札沼線
  • 4〇日高本線
  • 1△江差線
  • 1△津軽線
  • 4〇大湊線
  • 4△釜石線
  • 4△花輪線
  • 1△八戸線
  • 4△北上線
  • 4△大船渡線
  • 4△陸羽西線
  • 1△五能線
  • 2△山田線
  • 2〇岩泉線
  • 4〇気仙沼線
  • 1△米坂線
  • 1△磐越東線
  • 3〇只見線
  • 1△烏山線
  • 1△水郡線
  • 1△小海線
  • 1△参宮線
  • 2〇名松線
  • 3〇越美北線
  • 4△小浜線
  • 1△姫新線
  • 1△因美線
  • 1△境線
  • 2〇木次線
  • 2〇三江線
  • 1△福塩線
  • 1△芸備線
  • 1△可部線
  • 1△山口線
  • 1△小野田線
  • 2〇予土線
  • 1△香椎線
  • 1△唐津線
  • 1△後藤寺線
  • 1△日田彦山線
  • 2△肥薩線
  • 4△吉都線
  • 1△三角線
  • 2△日南線

第1次[編集]

1982年度末までに廃止する予定として、以下の条件に当てはまる路線が選定された。

  • 1.盲腸線である
  • 2.旅客輸送密度が2000人/日未満または営業キロが50km以下かつ旅客輸送密度が500人/日未満[注 4]

これに該当する路線は以下の通り。前述した4つの除外規定に当てはまる路線は記載しない。[注 5] ただし、△がつく路線は備考によって廃止を免れたか、第2次や第3次まで保留された路線である。

  • 興浜北線
  • 興浜南線
  • 美幸線
  • 白糠線
  • 相生線
  • 渚滑線
  • △幌内線[注 6]
  • △歌志内線[注 6]
  • 万字線
  • 岩内線
  • 大畑線
  • 久慈線
  • 黒石線
  • 宮古線
  • 角館線
  • 盛線
  • 丸森線
  • 矢島線
  • 日中線
  • 赤谷線
  • 魚沼線
  • 木原線
  • 清水港線
  • 明知線
  • 樽見線
  • 神岡線
  • 信楽線
  • 高砂線
  • 北条線
  • △鍛冶屋線[注 7]
  • 三木線
  • 倉吉線
  • 若狭線
  • 小松島線
  • △内子線[注 8]
  • 香月線
  • 勝田線
  • 添田線
  • △宮田線[注 7]
  • 室木線
  • △漆生線[注 9]
  • 矢部線
  • 甘木線
  • 宮原線
  • 高森線
  • 妻線

第2次[編集]

輸送密度2000人/日未満の路線が選定された。 これに該当する路線は以下の通り。前述した4つの除外規定に当てはまる路線は記載しない。

  • 士幌線
  • 広尾線
  • 湧網線
  • 羽幌線
  • 歌志内線
  • 幌内線
  • 富内線
  • 胆振線
  • 瀬棚線
  • 松前線
  • 標津線
  • 名寄本線
  • 池北線
  • 天北線
  • 会津線
  • 阿仁合線
  • 足尾線
  • 真岡線
  • 二俣線
  • 越美南線
  • 伊勢線
  • 岩日線
  • 漆生線
  • 上山田線
  • 佐賀線
  • 松浦線
  • 山野線
  • 大隅線
  • 宮之城線
  • 志布志線
  • 高千穂線

第3次[編集]

輸送密度4000人/日未満の路線が選定された。 これに該当する路線は以下の通り。前述した4つの除外規定に当てはまる路線は記載しない。

  • 長井線
  • 岡多線
  • 能登線
  • 宮津線
  • 鍛冶屋線
  • 大社線
  • 中村線
  • 伊田線
  • 糸田線
  • 田川線
  • 宮田線
  • 湯前線

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. 例を上げると札沼線
  2. 結局JR後の1995年に廃止
  3. 最終的に土佐くろしお鉄道が引き継いだため、孤立は免れた
  4. ただし石炭輸送量が72万t以上の路線は除く。
  5. ただし第1次廃止対象路線には該当なし
  6. a b 石炭輸送量が72万t以上の路線は除外されるという規定により第2次まで保留
  7. a b 利用客の増加が見込まれるため、第3次まで保留
  8. 予讃線の短絡線になることが決まっていたため
  9. 利用客の増加が見込まれるため、第2次まで保留