沖縄県立博物館・美術館

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沖縄県立博物館・美術館(通称:おきみゅー)は、沖縄県那覇市おもろまちに位置する県立の複合文化施設。2007年11月1日に開館し、沖縄の歴史自然民族美術工芸などを総合的に展示・紹介する博物館部門と、沖縄の現代美術を中心に展示する美術館部門を併設している。

建築[編集]

設計は石本建築事務所・二基建築設計室設計共同体によるもので、外観には琉球石灰岩が用いられており、沖縄の伝統的な建築様式を現代的に再構築した意匠が特徴である。延床面積は約23,721平方メートル。

館内[編集]

博物館[編集]

常設展示[編集]

常設展示は「海と島に生きる-豊かさ、美しさ、平和を求めて」をテーマに、約2万年にわたる沖縄の歴史と文化を総合的に紹介している。展示は以下の2つの構成に分かれる。

総合部門[編集]

港川人などの古代人の登場から現代までの約2万年にわたる沖縄の歴史を、自然・文化・生活の視点から俯瞰する。展示は時代順に構成されており、地層模型やジオラマ、映像資料などを用いて視覚的に理解しやすい工夫がされている。

部門展示[編集]

以下の5分野に分かれており、専門的な資料と解説により深い学びが得られる。

  • 自然史:沖縄の地質、動植物、海洋環境などを紹介。固有種や絶滅危惧種の標本も展示。
  • 考古:遺跡からの出土品、古代の住居模型、土器や石器などを通じて先史時代の生活を再現。
  • 美術工芸:琉球王朝時代の漆器、染織、陶器などの伝統工芸品を展示。技術と美意識の変遷をたどる。
  • 歴史:琉球王国の成立から近代沖縄、戦後復興、本土復帰までの歴史的資料を網羅。
  • 民俗:沖縄の衣食住、年中行事、祭祀、民具などを紹介。生活文化の多様性と地域性を学べる。

企画展示[編集]

国内外の自然史・歴史・文化をテーマにした特別展を定期的に開催している。

ふれあい体験室[編集]

子どもから大人まで、五感を使って沖縄の文化・自然・歴史を体験できるスペース。体験キットや遊具、音声ガイドなどを通じて、遊びながら学べる工夫がされている。

実習室[編集]

漆喰シーサーづくり、民具づくり、染織体験などのワークショップを開催。団体利用も可能で、学校教育との連携プログラムも実施されている。

屋外展示[編集]

博物館の外構には、沖縄の伝統的な建築や文化資源が展示されている。

  • 高倉:穀物などを保管する高床式倉庫。
  • 赤瓦の民家:沖縄の伝統的な住居を再現。
  • 湧田窯:県庁舎建設時に発掘された窯跡を保存・公開。
  • 有用植物コーナー:繊維植物、染料植物など、沖縄の生活に密接した植物を紹介。

講座室[編集]

見学の事前学習や学芸員による講座、講演会などを行うスペース。50〜100席を備え、教育普及活動の拠点として活用されている。

美術館[編集]

美術館部門は以下の主要展示・活動エリアで構成されている。

==コレクションギャラリー[編集]

沖縄出身または沖縄にゆかりのあるアーティストによる近現代美術作品を中心に展示。絵画、彫刻、版画、映像作品など多様なジャンルを網羅しており、沖縄の文化的背景を反映した作品群が特徴である。

企画ギャラリー[編集]

学芸員による調査研究に基づいた企画展を開催。日本国内および海外の優れた美術作品を紹介する展覧会も行われ、全国巡回展の会場としても利用される。展示内容は定期的に更新される。

県民ギャラリー[編集]

県民の創作活動の発表の場として設けられたスペース。個展やグループ展、ワークショップなどが開催可能で、ギャラリー3室とスタジオ1室を備える。公募展や地域団体による展示も行われる。

県民アトリエ・こどもアトリエ[編集]

創作体験の場として、アーティストを招いた実技教室や学校教育との連携プログラムを実施。就学前の幼児を対象としたワークショップも開催され、芸術教育の普及に貢献している。

屋外展示[編集]

館外には彫刻作品が常設展示されており、音楽や演劇などの野外イベントも開催される。開放的な空間でアートを体感できる場として親しまれている。

講座室[編集]

美術に関する講座や学芸員による講話、研修会などを行うスペース。事前学習や作品解説など、教育普及活動の拠点として活用されている。

その他の施設[編集]

エントランスホール[編集]

館中央に位置する吹き抜けの空間で、クバの木(ビロウ)をイメージした柱と天井から木漏れ日が差し込む設計が特徴。来館者をやさしく迎える開放的な空間であり、待ち合わせや休憩・イベントにも利用される。

情報センター[編集]

沖縄に関する書籍や映像資料を閲覧・視聴できるスペース。博物館・美術館の収蔵品を検索できるデータベース端末も設置されており、調査・学習目的の利用にも対応している。

講堂[編集]

210席を備えた多目的ホールで、講演会、シンポジウム、映画上映、音楽イベントなどが開催される。一般貸出も可能で、地域の文化活動の拠点として活用されている。

ミュージアムショップ「ゆいむい」[編集]

博物館・美術館に関連するオリジナルグッズ、図録、書籍、工芸品などを販売。沖縄の伝統文化やアートに触れられる商品が揃っており、来館記念や贈り物にも人気がある。

カフェ「カメカメキッチン」[編集]

島野菜を取り入れたパスタやオリジナルスイーツ、ドリンクなどを提供するカフェ。展示鑑賞の合間にひと息つける空間として親しまれており、地元食材を活かしたメニューが特徴。

外部リンク[編集]