水温計
水温計(すいおんけい)とは、液体の温度を測定するための装置である。自動車をはじめとする内燃機関搭載機器や、プラント・空調設備など各種設備に用いられる。
自動車における水温計[編集]
自動車において水温計とは、エンジンのクーラントの温度を運転者に示す計器である。通常はコンビネーションメーター内に配置され、「C(Cold)」と「H(Hot)」の2点間で針が動くアナログ式が一般的であるが、デジタル表示のものもある。
エンジンは冷えていても熱すぎてもその性能を十分に発揮できることはできず、冷間時は燃焼効率の低下[注 1]やエンジンオイルの流動性が低く抵抗が大きくなる。逆にエンジンが高温になりすぎると金属が過剰に膨張してシリンダーが歪むほか、オイルの粘度低下により油膜が保てなくなり、潤滑不良から焼き付きが発生する可能性がある。こうした過熱状態はオーバーヒートの原因となり、重大なエンジントラブルにつながる。
水温計はこのようなエンジン温度の管理を視覚的に把握するための重要な指標であり、ドライバーに対して冷却系統の異常や暖機完了の目安を知らせる役割を担っている。特に冬季の始動直後や渋滞時の長時間停止中など、冷却水の温度変化が大きい状況では、水温計の指示を通じて早すぎる高回転走行や過負荷運転を避けるための判断材料となる。
自動車に装備される水温計は、主にエンジンブロック内などに設置された水温センサによりクーラントの温度を測定する。このセンサはサーミスタと呼ばれる素子が使用され、温度変化に伴って抵抗値が変化し、それを電気信号としてメーターに送信することで針や表示が動くようになっている。純正で装着されている水温計は前述のようにCからHの範囲で表示されるアナログ式のものや冷間時やオーバーヒート時のみ警告灯や表示灯を点灯させるものが主流であるが、これらは実際の冷却水温を数値で示すものではない。そのため、正確な温度管理が必要な環境においては社外品の水温計が取り付けられることも多い。また、内部的には冷却水温を数値で管理している自動車も多く、水温の監視や記録を目的として、OBDポート経由でモニタリングやログ記録・出力を行う装置が用いられることもある。
その他の用途[編集]
水温計は自動車以外にも広く使われている。
- 工業プラントや化学工場では、タンクや配管内の液体温度を管理する目的で水温計(液温計とよばれることもある)が使用される。
- 空調機器やボイラー設備でも、冷水・温水の制御や安全管理のために取り付けられている。
- アクアリウムや水耕栽培の分野でも、水質管理の一環として重要視される。
関連項目[編集]
脚注[編集]
- ↑ 広いバルブクリアランスや燃焼室の温度低下による燃料の気化不足などに起因する