正演算子確立測度

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正演算子確立測度(POVM)とは物理学における量子力学的測定過程を記述するものである。数学的には、POVMは値が正の数ではなく正の演算子である確立測度の一種である。

意味[編集]

可測空間(Ω,𝒜)上のPOVMとは、ヒルベルト空間ℋの有界線形作用素の集合に値を取る写像μ:𝒜→ℬ(ℋ)のことであり、以下の3つの条件を満たすものである。

  • すべてのA∈𝒜について、0≤μ(A)≤idℋが成り立つ。(ここでidℋは、ヒルベルト空間上の恒等写像を表す。)つまりμ(A)は正であり、したがって自己共役である。
  • μ(Ω)=(⁡id)ℋ
  • 互いに素な集合の列(An∈𝒜)n∈ℕに対して、μ(⨄n=1∞An)=∑n=1∞μ(An)が成り立ち、この無限級数が強い演算子位相の意味で収束する。

説明[編集]

POVMの定義は、確率論におけるコルモゴロフの公理に類似しており、確立は正の実数ではなく正の演算子によって記述される。POVMは、自己共役演算子のスペクトル理論で現れるスペクトル測度の概念を一般化したものである。

量子力学[編集]

量子力学においてPOVMはより一般的な測定を記述する概念である。ここでは通常、いわゆる効果Eiの一連の離散的な集合が存在し、これらは以下の条件を満たす。

  • 0≤Ei≤I。(iは単位行列)特にEiは正半定値である。
  • ∑iEi=I

Eiはさまざまな測定結果を記述する。系が状態ρにあるとき。測定結果iとなる確立はpi=Tr(ρEi)で与えられる。

この過程は、フォン・ノイマン測定よりも一般的である。フォン・ノイマン測定では、Ei=|ψi⟩⟨ψi|が、測定される観測量の固有ベクトルに対する射影演算子となる。しかし、あらゆるPOVMは、拡張系(元の系+補助系)におけるフォン・ノイマン測定としてみなすことができる。特に量子情報理論においては、非直行状態の識別や、量子暗号における盗聴対策においてPOVMが重要となる。