正常性バイアス
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正常性バイアス(せいじょうせいバイアス、normalcy bias)とは、 非常事態や危機的状況に直面しても、「これは大したことではない」「いつも通りだ」と思い込み、適切な行動がとれなくなる心理的傾向のこと。簡単に言えば、「今まで何もなかったんだから、今回も大丈夫だろう」と思ってしまう心のクセ。
例[編集]
- 地震で建物が揺れているのに「すぐ収まるだろう」と避難しない
- 火災報知器が鳴っても「誤作動かも」と思って逃げない
- 津波警報が出ているのに「自分の地域は大丈夫」と思って避難しない
原因[編集]
- 脳がパニックを防ぐために、現実を「正常」と解釈しようとする
- 経験則に頼る:「これまで問題なかった」=「今回も問題ない」と無意識に判断する
- 情報の矛盾に直面したとき、人は「都合のいい解釈」をしやすい(認知的不協和)
メリットとデメリット[編集]
メリット
- パニックを防げる
- 冷静さを保てる
- 慣れた環境を維持しようとする
デメリット
- 危機回避が遅れる・命に関わる
- 避難や対策が遅れて被害が拡大する
- 非常事態に対応できなくなる
有名な事例[編集]
- 東日本大震災(2011年): 津波警報が出ていたにもかかわらず、「過去の津波はたいしたことなかった」と判断して逃げ遅れた人が多くいた
- 米国のハリケーン・カトリーナ(2005年):「自分たちは大丈夫」と思って避難せず、多数の被害者が出た
正常性バイアスを克服する方法[編集]
- 「最悪を想定して行動する」という習慣を身につける
- 周囲の人が避難していたら、自分も行動を起こす(逆・同調性バイアスを利用)
- 訓練やシミュレーションで、非常時の行動を身体で覚える
- 情報を自分に都合よく解釈していないか、一歩引いて確認するクセをつける