月の土地の権利書
概要[編集]
月の土地の権利書とは、ルナー・エンバシー社が販売しているジョークグッズ(ただの紙切れ)である。この権利書によって、実際に月の土地を所有することはできないが、それを販売することは違法ではない。
「月の土地の権利書」の起源[編集]
デニス・ホープというアメリカ人が1980年代に、「宇宙条約では“国家の所有”が禁止されているだけで、“個人の所有”は禁止されていない」という解釈を根拠に、「自分は月を所有する」として「Lunar Embassy」という会社を設立し、月の土地を1エーカー単位で売り出した。
内容[編集]
含まれる内容(例):
- あなたの名前
- あなたが所有するとされる「区画の座標」
- 月面の「地図」(ここがあなたの土地です、みたいな)
- 「正式な登記番号」風の記述
- 発行会社のロゴやサイン
- 「この権利はLunar Embassyによって証明されます」といった文言
宇宙条約(1967年発効)[編集]
月の土地の権利について最も重要な国際条約が「宇宙条約(正式名称:宇宙空間の探査および利用に関する条約)」である。この条約には次のような規定がある。
第2条:「国家は、月や他の天体を含む宇宙空間を、自国の主権のもとにすることはできない。」
つまり、国家が月の土地を所有したり、他国に主権を主張したりすることは禁止されている。だが、この条約は「国家」に適用されるものであり、個人や企業に直接の規制はしていない。しかし、実際には次の理由で「月の土地の売買」は法的効力がない、ただし違法でもないという立場になる。
「所有権の主張」が国際的に無効だから、誰も月の土地を法的に「所有」していない状態なので、「所有権」を主張しても誰もそれを認めていない。 販売は「記念品」として扱われているから多くの業者(例:Lunar Embassy)は「これは法的な権利ではなく、ロマン・ジョーク・記念としての販売です」と明記している。あくまで商品(商品券や証明書)であり、法的な土地取引ではないというスタンス。詐欺や虚偽でなければ違法とされにくい 「月の土地を所有できる」と誤解させるような表現があれば問題になるが、そうでなければ詐欺罪などにはあたらないとされる。
法的効力はゼロ[編集]
たとえ「権利書」があっても、将来、月に行ってその土地を占有する「権利」はない。将来的にも無効の可能性大。今後どんな国際ルールができても、現在の「月の土地の販売」はそのままでは認められないだろう。