斐伊川に流るるクシナダ姫の涙

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斐伊川に流るるクシナダ姫の涙は、樽屋雅徳によって作曲された吹奏楽作品である。和楽器の響きを意識した西洋吹奏楽の編成で演奏されることが多く、日本神話に基づく物語的要素を持つ楽曲として知られている。タイトルは出雲神話クシナダ姫の悲しみを象徴的に表現しており、斐伊川に流れる涙にたとえたものとなっている。

作者[編集]

作曲者は樽屋雅徳で、吹奏楽作品を中心に多数の作品を手掛ける。『斐伊川に流るるクシナダ姫の涙』は、彼の作品の中でも物語性を重視した代表作の一つとされる。作曲者自身は、作品の意図として「クシナダ姫の悲しみと希望を音楽で表現すること」を挙げている。

背景[編集]

曲は日本神話、特にヤマタノオロチ退治の物語を背景としている。斐伊川は神話に登場する川にちなみ、物語的な情景として「クシナダ姫の涙」が流れる象徴的なモチーフとして用いられている。作品は神話的世界観と感情表現を吹奏楽で描くことを目的としており、静と動の対比によって物語の起伏を表現している。

編成[編集]

中編成吹奏楽向けに作られたオリジナル版は、33パート編成で演奏時間は約8分39秒。小編成向けの改訂版も存在し、23~24パート編成で約8分52秒。さらに、2022年には演奏難易度をやや下げた改訂版(Grade 3+)が出版され、演奏時間は約7分10秒となっている。これにより学校吹奏楽部や市民バンドなど幅広い団体で演奏可能となっている。

構成[編集]

楽曲は静謐な序盤から始まり、徐々に盛り上がる構成を持つ。クシナダ姫の悲しみや希望、物語のドラマ性を音楽的に表現しており、楽器の配置や色彩感を通じて聴覚的なナラティブを構築している。和楽器の響きを模した西洋吹奏楽の音色や、音の高低差、動的なクライマックスなどにより、神話的な情景を描写している。