岡山地裁刑事裁判配信事件
岡山地裁刑事裁判配信事件 | |
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場所 |
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日付 |
2023年(令和5年)7月5日 16時ごろ |
概要 | 裁判中の法廷内の音声がSNS上で配信された事件 |
犯人 | 不明 |
影響 |
350人以上が配信を視聴 問い合わせを受け公判は一時中断される |
岡山地裁刑事裁判配信事件(おかやまちさいけいじさいばんはいしんじけん)とは、2023年(令和5年)7月5日に岡山地方裁判所(岡山県岡山市北区)にて起こった事件。
概要[編集]
2023年7月5日、岡山地方裁判所(以下「岡山地裁」と省略)ではこの日の午後4時より、同年2月13日に香川県善通寺市のレンタカー会社において偽造した運転免許証でレンタカーを借りたとして、有印公文書偽造罪や詐欺罪に問われたO被告(仮名)の刑事裁判初公判が行われていた[1]。法廷内では複数人が傍聴していたが、傍聴人の一部がスマートフォンを使用し、Twitterの音声サービス「スペース」機能を介して配信されていた[2]。裁判中の法廷内の撮影や録音は、刑事訴訟規則や裁判所法で原則禁止されている[注釈 1]。裁判中の午後4時45分ごろ、外部から問い合わせを受けた岡山地裁は公判を一時中断し傍聴人の1人1人に確認作業を行ったが特定には至らなかった[1][2][3]。このときインターネット上で外部から音声中継されていることを裁判長は確認していたが、公判はその後も続行された。配信は公判終了の午後5時5分ごろまで中継され続け、一時は350人以上が同スペースを聴いていた[3][注釈 2]。また、配信内では弁護人とO被告の会話などが記録されていた。
岡山地裁は、「裁判に対する国民の信頼を揺るがしかねず、厳格に対処するとともに再発防止に努める」とコメントした[3][1]。また被告の弁護人は「裁判は公開されているとはいえ、インターネット上でみだりに配信され、一種の娯楽のように捉えられるのは遺憾だ」としている。
2023年8月8日、O被告の判決公判が岡山地方裁判所にて開かれたが、一連の問題を受けて地裁は傍聴人が所持するスマートフォンなどの携帯端末機を一時的に封筒に入れて封をする対策を行った[4]。
2023年10月4日、岡山県警は偽計業務妨害容疑で横浜市在住の男性大学生を書類送検した。男は調べに対し「録音が禁止されていると分かっていたが、裁判所に来られない人も内容を知ることができ、面白いと思ってやった」と供述した[5]。また、岡山地方裁判所は8月頃に岡山県警にこれを告訴していた[6]。その後同年11月2日付で、岡山簡易裁判所は偽計業務妨害罪で略式起訴された男に対して罰金20万円の略式命令を出した[7]。
真相[編集]
有印公文書偽造罪や詐欺罪に問われ、裁判に掛けられたO被告は、事件前から界隈では名が知れた鉄道ファン(撮り鉄)の1人であった。このため、裁判の話を知ったO被告の知り合いの撮り鉄らが岡山地裁に一挙に集まることとなり、「岡山地裁激パ[注釈 3]」というワードが撮り鉄の間では飛び交った。傍聴席においてもそれは例外ではなく、傍聴席には複数人の鉄道ファンが裁判を傍聴していたとされており、またスペースを配信した人物も傍聴席に居た鉄道ファンの1人であり、O被告と男は共通の鉄道撮影趣味を通じた知り合いであった[6]。インターネット上ではこれに対して、「捕まった犯罪者を見ようと岡山地裁にまだ捕まってない犯罪者が終結してる」とのように揶揄された。
脚注[編集]
- 出典
- ↑ a b c 岡山 NEWS WEB (2023年7月7日). “岡山地裁で刑事裁判の法廷内の音声がSNSで配信される”. 日本放送協会 2023年7月7日閲覧。
- ↑ a b “法廷音声 SNS配信で公判中断 岡山地裁、裁判長が傍聴人に警告”. 山陽新聞. (2023年7月7日) 2023年7月7日閲覧。
- ↑ a b c “ツイッターで刑事裁判の法廷音声を中継、被告人質問でのやりとりを350人以上聴く…岡山地裁”. 読売新聞. (2023年7月7日) 2023年7月7日閲覧。
- ↑ “法廷内音声SNS配信で異例対応 地裁、傍聴人の携帯端末を封筒に”. 山陽新聞. (2023年8月8日) 2025年6月15日閲覧。
- ↑ “法廷音声配信疑い書類送検 岡山地裁、横浜の大学生”. 日本経済新聞. (2023年10月4日) 2025年6月15日閲覧。
- ↑ a b “法廷音声ライブ配信、「面白いと思ってやった」大学生を書類送検…被告の鉄道写真家と知り合い”. 読売新聞. (2023年10月4日) 2025年6月15日閲覧。
- ↑ “傍聴した裁判の音声をスマホ使いライブ配信、大学生の男に罰金20万円の略式命令”. 読売新聞 2025年6月15日閲覧。
- 注釈